あ∽うん  斎藤 良夫
満福寺の参道木彫り狛犬 〜 抱いているのは乳児?
神奈川県小田原市中里にある満福寺(藤原慈舟住職)。
山門前に木彫りの狛犬というか獅子像一対が鎮座している。
共に
子獅子?を胸に抱いている。
「?」を付けたのは、吽像は分かるのだが、阿像がはっきりしないからだ。
阿吽とはいうもののどちらも口は開けており、中に珠が彫られている。
参道に木彫りの獅子像があるのは珍しい。
ビルマ(現・ミャンマー)のもので、先代住職の藤原義章師がアジアの仏跡巡礼中に買い求めた。
20年以上も前の話だという。
一刀彫で大きさはほぼ1m。
胴体などにひび割れがあるが、よく持ちこたえていると思う。

これは一体何を抱いているのだろうか?
満福寺は建長6年(1254)創建の東寺真言宗の古刹。山伏による火渡り呪法で知られている。
境内には仏足跡や石仏、石造狛犬、それにタヌキの置物まである。
「真言宗は神仏混合ですから。鳥居もあるでしょう」とは藤原義章師。
義章師は東寺真言宗の宗務総長。
獅子像の詳細は「分からない」と話していた。
私には吽像が抱いているのが幼児
阿像のは乳児で授乳の状態ではないかと推理するが、う〜ん、分からない……。

火渡りは毎年1月28日に行われる。
参拝者は多いが獅子像にはほとんど目をくれない。
外国生れの獅子像がお寺に溶け込んでいる証しなのだろうか。

2007年58号より