強面の「大耳ダンボ」狛犬
京急線金沢文庫駅から宮川沿いに15分程行くと、左側に社叢がみえ、樹齢320年のケヤキ(横浜市指定名木古木)の巨木と、川沿いの参道に五段もの紅白の提灯がずらりと飾られ、丘の上の社殿が垣間見えてくる。
釜利谷の総鎮守・村社「手子神社」は、小田原北条氏康の家臣で釜利谷の領主伊丹左京亮が、文明4年(1472)に金沢八景の郷社瀬戸神社の分霊を宮ヶ谷の地に勧請したのに始まるという。
ご祭神は大山祗命である。

石段下の立派な石灯籠は、森平四郎の奉納によるもので、台座に「牡丹と唐獅子」が刻られているが、図柄は平凡である。
石段を上がると、小さな獅子山が一対あり、阿吽とも谷底から這い上がる子獅子を上から叱咤激励している。
親獅子の顔をよくみると、人の顔のようにもみえ、強面
(こわもて)だがどこか優しさを感じる。
親獅子の厳しさと、優しさをみるような獅子山であるが、何より強烈な印象は大きな耳である。
ディズニーの「空飛ぶダンボ」を思い起こすような、異様に大きい耳は、カメラのフレームからはみ出てしまった。
まさに「大耳ダンボ」狛犬と呼びたい奴である。

慶應三丁卯年十一月吉日建立(1867)と彫った小さな板碑と、奉納者を連名で彫った板碑と共に建つ。
石工は不詳である。

                                   田辺英治  2008年64号より

境内奥には竹生嶋弁財天社がまつられており、中には宇賀神の像がある。
宇賀神については、こちらをご覧下さい。                    
(この項:阿由葉 記)