お前は狼か?ドーベルマンか!
藤沢バイパスの境川の少し先、467号線を跨ぐ白旗陸橋の左側に『白旗神社』の屋根が見える。
鎌倉街道上の道に面する亀形山に相模一ノ宮寒川神社の分霊を勧請して祭った古社である。
白旗神社の交差点に大鳥居があり、境内は広く、藤の名所である。
白い花は「義経藤」、薄紫の花は「弁慶藤」という。

義経の「首塚」は、藤沢の首洗い井戸の傍にあり、「胴塚」は宮城県北部の栗駒町沼倉の判官森御葬礼所にある。義経公八百十年祭(平成八年)の折、八百年も離れ離れになっている御骸(胴)と御首を合祀しようと、判官森の土と腰越の砂を合わせ、御霊土とし、鎮霊祭を斎行して鎮霊碑が建てられた。  

        参道の石段の登り口に、こちらをじっと見つめる一対の白い狛犬がいた。

比較的新しく奉納されたものの様だが、その姿は異様でギョッとする。
狛犬というより、狼か番犬が不審者の進入を威嚇するように見える。
「阿」は狼のようだし、「吽」は頭に角があるので犬らしいが、異様にスリムな姿は狛犬というより、
西洋犬のドーベルマンの様にも見える。
長い牙が生えているので、やはり狼なのであろうか。
あまり見かけない異様なタイプで、気になる一対である。

                                   田辺英治  2007年63号より

追記(2008.3. 阿由葉)
この狛犬には銘が全くなく詳細は不明ですが、円丈本(193P)によると
手向山八幡宮(奈良)の鎌倉時代・運慶作と伝えられる木彫り神殿狛犬と全く同タイプ」とのことで
それを模したものと思われます。
この、重文指定の神殿狛犬はこちらをご覧下さい
また、同じくこれを模したものとしては、鳥越神社(東京都台東区鳥越)の狛犬もあります。

(2014.3.9 追記 手向山八幡及び箱根芦之湯の同形狛犬…こちらも参照下さい。)

この狛犬から短い石段を上がると、拝殿が見えてきます。
そして、その前にも狛犬がいます。
シンプルな江戸片子獅子タイプです。
特に素晴らしい出来という訳ではありませんが、吽像のすっくとした立ち姿に好感が持てます。

建 立 年 昭和2年2月吉日建之
石  工 藤澤町 石工 服部源次郎
奉  納 鳶太子講中 世話人 藤澤町 36名 連記