謎の外国人石工 〜 その名はエリフィー?!
日本で唯一の外国人石工による狛犬
狛犬に刻まれた銘を読み解くのは楽しいものです。
台座に石工銘があり、足座に彫刻者の名がある〉と言う場合、普通に考えるなら
     
狛犬の作者=彫刻者であり
     石工=台座を据える等の全体的な石仕事
をしたという意味です。
横須賀の相澤靖久さんという方から
「盤台裏面に
英文のサインのような文字が彫られています。」
と聞き、ビックリしてすぐ見に行ってきました。
この狛犬自体は以前見ていましたが、その時は気が付かなかった…
江戸両子獅子タイプで、ウマヘタ(ヘタウマ)彫りといった印象。
阿像の子獅子が「足上げ」にもたれているのは多くはないか?
阿像の足座、後ろ側
確かにハッキリ「Carved by …」と彫刻者名が刻まれています。
が、by の後が読めない!
普通に読むと…
 B. Chifiy B.Chifiyei  B.Elifiy Belify B. Elifyc etc …
B の後がピリオドなのか、単なるキズなのか?
その後は C なのか、E なのか?
最後は y 迄なのか、yc あるいは yei なのか?
色々検討し、鐸木さんやその知人の翻訳家の方、通訳の方等英語のプロの方にも相談していただき、「
名前としてありえるものとすると B. Elifiye が最有力」との結論になりました。
トルコ系の名前らしいとのことです。

という訳で、これは日本で唯一の外国人(中国系は別として)石工・エリフィーさんが彫った狛犬に間違いないと、取り敢えず現段階では結論づけることにしました。

その後も色々調査していますが、全く手掛かりがつかめていません。
やはり、「謎の外国人石工」ではあります。

神社名
 神明社
住 所
 神奈川県横須賀市深田台40
 建立年 
 明治44年3月(1911)
石 工
 石工 高橋長蔵
 彫刻 B. Elifiye
奉 納
 三番組若者中
 発起人 畑清三郎、他8名
 台座下部に寄付者名多数記載有り
 寄付者に小泉又次郎(小泉純一郎の父)の名もある

2007年第61号より
阿由葉 郁夫 

石工・高橋長蔵銘の狛犬が近くにもう1対ありますので、
参考までにその狛犬をご紹介します。
江戸タイプの狛犬。左像も口が開き気味です。
エリフィー狛犬と比べると、尾の感じと阿像の口(歯)が似ています。
顔も似ていると言えば似ていますね。
火災にあった狛犬特有の黒く焼けた跡がありますが、ほとんど傷みはありません。
明治44年から9年後の作ですが、ずんぐり・ガッチリとした狛犬で
こちらの方が出来は上です。
この高橋長藏がエリフィー狛犬にどこまで係わったのか?
興味深いところではありますが、想像の域は出ません…
 神社名 
 諏訪神社
住 所
 神奈川県横須賀市若松町
建立年
 大正9年7月吉日納之(1920)
石 工
 石工 高橋長藏
奉 納
 若松町70番地 肥後冨一郎