木彫りと陶器の狛犬展 〜 編集長のスペシャルリポート 〜
前号、前々号でお知らせした二つの狛犬展へ行ってきました。
参道の石像狛犬が好きなのですが、木彫りや陶磁器の狛犬も見られるときには見ておきたいと思いまして。

京都国立博物館正面入口
まず京都国立博物館の「獅子・狛犬展」へ。
開催最終日に滑り込み、何とかこの有名な狛犬展を初めて見ることが出来ました。
普段見ることの少ない木彫り、しかも重文クラスが並んでいて…さすが京博!
写真で見慣れた、あの大宝神社の実物(平安時代の作で重文)を見る事が出来てうれしかった!
各地の神殿狛犬のモデル、かつ招魂社系参道狛犬のモデルと言われているものです。
キリッと引き締まったその姿は、塗りが剥げかかっている部分もあるとは言え、素晴らしいものでした。
また、湛慶の作と伝えられる高山寺の小さな三対の狛犬は、それぞれに個性があり、やわらかく、優しい感じ…心を引かれるものがありました。大振りな八坂神社のものも良かったなぁ。
次は陶磁器の狛犬。「お知らせ」したのは大阪での開催でしたが、同じ「愛知県陶磁資料館コレクション」展を町田市の市立博物館で開催していると知り、近いのでさっそく覗いてきました。

町田市立博物館(町田市本町田3562)

「個々の作品ではなく全体の雰囲気だけならOK」と撮影許可が得られた
題して「陶磁のこま犬百面相」。
正直言って、それほど期待はしていなかったのですが、見事に裏切られました。
小さな博物館ですが、全ての展示スペースが室町期から江戸期までの100点以上の狛犬で埋め尽くされたその姿は壮観!
陶磁器の狛犬はそのユーモラスな顔と姿が魅力です。
特に江戸期の作品における自由な発想と表現には驚かされました。
タイトル通りの百面相が楽しめます。

また、会場で発売されている作品カタログ(1200円)は素晴らしい写真集です。
みなさまも是非ご覧になることをお勧めします。
会期は5月21日まで。
入館料・無料。月曜休館。

            阿由葉 2006年53号より