今月の一枚


平成己巳年己巳月己巳日奉納の龍
弁財天の縁日は60日に一度廻ってくる己巳(つちのとみ)の日で、弁財天の神使は蛇、龍、などとされています。

滋賀県・琵琶湖の弁財天の島、竹生島にある都久夫須麻神社の常行殿の下に石鳥居と共に一対の龍が奉納されています。
立派な石の龍像ですが、驚いたのは、この像の奉納日がなんと

平成己巳年己巳月己巳日」となっていることです。

日常の日付では「平成元年5月9日」に相当します。
己巳年は60年に一度しかない年、己巳年己巳月は一生に一度あるかどうかわからない日付です。

「奉納某氏」の己巳へのこだわりは、信仰心ばかりでなく一生に一度だけの幸運な機会を絶対に逃さない執念さえ感じられます。
(竹生島・都久夫須麻神社 滋賀県長浜市早崎町1664-1665)

2016年第111号より
写真・文:福田博通