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EOS20Dの縦位置グリップ(BG-E2)の電源直結改造
(200504.02作成)
※以下の記事は、新藤修一様のサイトにて紹介して頂いた内容に加筆修正を加えたものです。

 

実際の改造 使用した工具 20D本体との接触不良問題 キヤノンの対応 最後に 修理報告

いきさつ

私が2004年11月に購入したEOS20D専用の縦位置グリップBG-E2(シリアルnク念)には、
グリップ内部で電圧が約0.4V低下するという欠陥がありました。
(バッテリーパックや単三電池ホルダーの接点と、BG-E2の20D本体との接点で測定。)
その欠陥によって生じる不具合は、

BG-E2にてバッテリーパックBP511A(1000カット撮影可能)使用時に、
200〜300カットでバッテリー残量表示が一目盛り減り、動作音ももたついた感じになる
(公称値では500カット程度でこのようになるはず)。
ところが、同じバッテリーを20D本体に直接装填すると満充電標示される
(動作音も明らかに機敏になる)。
同様に、BG-E2使用時に動作不能となったBP511Aを20D本体に直接装填すると、
半充電標示で200カット以上撮影できる。

単3マガジンを使用した際に、
ニッケル水素電池・アルカリ乾電池共に全く撮影できない。
(シャッター半押しで動作不能となる)
しかし、(わざわざカタログに正誤表まで入れて)使用できないとしている単3リチウム乾電池では、
100カット以上撮影できた。

というものでした。
しかも、販売店による新品交換(シリアル039186)でも症状は改善されません。
店頭でも動作確認をしましたが、
この時には最初に同時に購入し、電源周りの不具合で一緒に交換となった20D本体
(17-55ミリとのレンズキット・シリアル0410107572)とのセットだったため、
原因が特定できず、一旦持ち帰りました。
その後、20D本体は再度の交換を経て不具合改善しました(最終シリアル0710401435)。

仕方がないので、キヤノンのカメラ相談センターに確認したところ、
上記の症状を説明したにもかかわらず
「バッテリーの接点を拭いて下さい」「取り付けネジをしっかり締めて下さい」
などといった的はずれな返答。
改めて具体的なデータを示した上で追求したところ、5分ほど待たされた結果の回答は
「BG-E2使用時には電圧が若干減る傾向があり、それに伴い撮影枚数も若干減少します。」
というものでした。
あきれながらも、「その若干というのは具体的にどれくらいですか?」と聞いたところ、
「データがないので分かりません。」とのことでした。
ちなみに、上記の返答を得る迄に延べ20分近く掛かっています。

対策としては「検査しますので、こちら(キヤノン)に送って下さい。」とのこと。
結果、今度は修理扱いとして販売店よりキャノンに送られ、
再度新品交換(シリアル068636)になったにも関わらず、全く症状は変わりませんでした。
(販売店側の対応は、最後まで非常に誠実でした。)

また、販売店より修理扱いとしてキヤノンに送られる際には、
複数のBP511AとBP511及び単三アルカリ電池・ニッケル水素電池をBG-E2と20D本体で使用した際の、
様々な残量状態での電圧及び動作状況を測定したレポート
と質問状を添付しましたが、
それについてはキヤノンから具体的な返答はありませんでした。

もはやどうしようもありませんし、
そもそも構造的な欠陥(おそらくは電源を管理している基盤が原因)であることは明らかです。
仕事道具である以上、安定して動いてくれなくては困ります。
そこで、BG-E2内の基盤をバイパスしてバッテリーを直結することにしました。

予想される電源基盤の機能は、
BP511Aを2個使用した場合の、双方の電圧の管理。
単3マガジン使用時の、電圧管理方法の切り替え。
といったところのようです。

基盤の正確な機能は分かりませんが、
つまりはこういった機能(他の電源)が使えなくなるだけの話です。
「不安定な多機能」よりも
「BP511A一個で確実に使用出来る」を選択しました。

いきさつ 使用した工具 20D本体との接触不良問題 キヤノンの対応 最後に 修理報告

 

実際の改造
※以下の改造内容の実践につきましては、あくまで自己責任にてお願い致します。


外側に見えているネジを外しただけでは、BG-E2は分解出来ません。
ポイントは底部グリップラバーの下にある隠しネジでした。
グリップラバーは、ドライヤーでゆっくり暖めると両面テープが弛んで簡単に剥がせます。

 


この時、剥がしたラバーが再びくっついてしまわないように、ラバーの糊面に何かを貼っておくと作業が楽です。
私はその場で気付いたため、とりあえず手元にあったビニールを貼りましたが、最後に剥がす時に大変でした。
もう少しコシのある、100円ショップのクリアファイルなどを切って使用すると良いと思います。
大きめのシールなどの剥離紙(剥がすと残るツルツルした紙)があると便利そうです。
(予想ですが、乾かした牛乳パックの内側でもいけるかもしれません。)
三脚座を補強するプレートの四隅のネジも外します。
(私は全て外しましたが、上下どちらか2個だけでも問題ないと思います。)


BG-E2上面のネジは全て外します。
キャノンのロゴの入ったプレートを外すと、その下に薄い真鍮のワッシャーがありますので無くさないように注意。
三脚座締め付け機構のパーツを外すと、その下にも銀色のネジがありますのでこれも外します
また、20D本体に差し込むパーツを外した下に見えるネジも外します。

 


以上全てのネジを外すと、筐体が分離します。
といっても、スムーズには外れてくれません。
何カ所か引っ掛かる部分があるので、あちこちに動かしながらゆっくり引っ張ると、何となく外れます。
ただし!


基盤にはフィルム基盤が3カ所繋がっているのですが、内側の1本は長さがギリギリだったらしく、
筐体を分離させる際に嫌な音と共に抜けてしまいました。
幸い破損はしませんでしたが、分離させる前に抜いておいた方が良いでしょう。

こんな感じで、先の細い工具を利用すると比較的楽に取り付け・取り外しが出来ます。

 


配線は至って簡単です。
基盤の端に繋がっている赤と黒の電源用のコードを一旦外し、
右(写真では左)のバッテリー用端子に繋げます。
赤がプラス、黒がマイナスです。
更に、左右のバッテリー用端子のそれぞれのプラスとマイナス同士を繋いで終わりです。
配線のコードは、組み上げが楽な様に少し遊びを持たせましたが、もう少し短くても問題無さそうです。

組上げは逆の手順で問題はありませんが、グリップラバーの両面テープが粘着力を失っていたので、
薄手の強力両面テープで貼り直しました。
元の両面テープが剥がせなかったため重ね貼りになりましたが、特に見た目に変化はありませんでした。

改造後の使用感ですが、テスターでの測定の結果、電圧低下は皆無。
以後3ヶ月間の実際の撮影においても、公称値通りの枚数が撮影できています。
また、BG-E2のボタンやダイヤルの機能は全て使用できました。
ただし、単3アルカリ電池とニッケル水素電池は全く使用できませんでした。

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使用した工具

使用したドライバーは精密ドライバーの#0。
締め付けが堅いネジが多いので、
しっかりしたモノでグッと押さえながら回さないとネジ頭をナメる危険性大です。
最悪の場合、ネジが中途半端に弛んだ状態でネジ山が潰れ、元に戻すこともできなくなる可能性があります。
100円ショップの安物は使わない方が良いと思います。
今回の作業での最も堅いネジに対しては、片手で思い切りドライバーを押しつけながら、
ドライバーの軸をペンチで挟んで回すという荒技で切り抜けました。

半田ゴテは15〜20Wのもので十分でした。
グリップラバー用の薄手・強力両面テープは、カー用品に手頃なものが多くあります。

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20D本体との接触不良問題

むしろこちらの方が、初期の不具合としては有名だったようです。
私の場合、自分で購入した20Dでは発生しなかったのですが、
会社で購入した20Dに配線改造済みのBG-E2を装着して撮影した際に、
上面の液晶パネルが点滅する。
撮影直後に動作が不安定になり、データが記録されない。
撮影直後に電源が落ち、データが記録されない。

といった症状が頻発しました。

原因は、やはりBG-E2の設計ミスのようです。
よく見てみると、BG-E2と20D本体底部のモードダイヤル側との接触面が明らかに浮いています。
ネット上でも、この部分にカードなどを挟んで対応している画像が見受けられました。
私の場合は、滑り止めゴムシートをカットして貼り付けました。
(ホームセンターなどで数百円で手に入ります。)
以降、全く問題なく使用できています。

ちなみに、分解の際に見つかった薄い真鍮製のワッシャーは、
この問題に対するキヤノンサイドでの対策だったようです。
ワッシャーをかますことで上面のプレートの底上げを図ったようですが、あまりに物足りない対策です。
(実際効果は無かったわけですし。)

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キヤノンの対応

2005年4月2日現在の段階でも、上記と同様の不具合の報告は進行形の形で見受けられます。
しかし、この問題に対してのキヤノンの正式なコメントはありませんし、
修理に関してはあくまで持ち込んだユーザーへの個別の対応となっているようです。
ただ、キヤノンサイドでも不具合の多さは認識しているようです。

5月25日追記
4月27日付けで、修理対応予定のメールがキヤノンより届きました。

◆「EOS 20D/20Da」用バッテリーグリップ「BG-E2」をご使用のお客さまへ
デジタル一眼レフカメラ「EOS 20D/20Da」用バッテリーグリップ「BG-E2」に
おきまして、フル充電されたバッテリーパックあるいは新品の単3形電池を使用
しても、撮影可能枚数が少ない、またはすぐにバッテリー残量が少ないと表示さ
れるなどの現象が発生する場合があることが確認されました。
本製品をご使用のお客さまには、多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを
深くお詫び申し上げます。

この問題を半年以上放置しておいて、さも最近判ったかの様な表記です。

また、5月25日付けで、同30日より無償修理開始の告知がようやくなされました。
http://cweb.canon.jp/e-support/info/bg-e2.html

 

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最後に

このBG-E2の不具合は、全ての製品で発生するものではないようです。
実際、問題なく動作しているという報告も聞きます。
判断の目安としては、
まずBG-E2で撮影を行い、バッテリー残量標示が減った時点で20D本体に直接装填する。
という作業を行ってみて下さい。
残量標示や動作音が明らかに異なるようでしたら、不具合の疑いがあります。
購入時に店頭で確認するのが最良なのですが、
バッテリーの残量の問題もありますのでタイミングが難しいかもしれません。

 

修理報告
(20050621追記)

キヤノンによる無償修理の告知に伴い東日本修理センターへ送ったところ、10日ほどで戻ってきました。
改造した配線もそのままに、特に特記もしないままでしたが、問題はありませんでした。
修理内容はメイン基盤の交換と、単三バッテリーマガジンの交換(端子部分が全て金メッキに変更)となっています。

早速、懸案であったニッケル水素電池による撮影テストを、以下の内容で行ってみました。

使用電池:ソニー製4本(前日の夜にフル充電)+日立製2本(一昨日の夜にフル充電)。全て2100mA。
使用レンズ:EF28-70/2.8
メディア:レキサー80倍速512M
露出:1/500s f5.6 ISO400
画像サイズ:Mファイン
内蔵ストロボ:使用しない。

レンズの画角指標を50ミリに固定し、約1メートルの被写体にピントを合わせる。
そのまま、約5メートル先の被写体にピントを移動し、シャッターを切る。

以上を繰り返してシャッターを切り続けた結果、最初からバッテリーの残量表示は半分だったものの、
動作不能となるまで727カット撮影できました。
その直後に一旦バッテリーマガジンを抜き差しすると残量表示が元に戻り、
更に130カット撮影できました。
再び同じ操作を行うと更に132カット撮影でき、
次は55カット、そして数カットでいよいよ動かなくなりました。
ところが、1時間ほど間を空けたところ、再度90カット程度撮影できました。
実用面はともかくとして、1000カット以上撮影できたことになります。

興味深いことに、撮影テスト中のニッケル水素電池はわずかに温かくなった程度でした。
また、撮影不可能になった電池を簡易バッテリーチェッカーで確認すると、グリーン表示(まだ使える)であり、
充電器の液晶表示(残量状態を示す)も6〜7割は残っているであろう表記でした。
この辺りは、電池の放電特性とカメラ本体の電源管理の相性もあると考えられるため何とも言えませんが、
とりあえず実用十分なレベルになったと言えます。

発売当初の説明書にあった撮影可能枚数を遙かに上回り、
仕事でも差し支え無く使える性能を持たせたことに対しては素直に感謝したいと思います。

いきさつ 実際の改造 使用した工具 20D本体との接触不良問題 キヤノンの対応 最後に

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