SPIRIT 23  史上最大の悪夢


次の日、俺はいつもの通り当所した。いつものとおり課に一番に入って、室内に電気をつけた。

「あっ・・・!」

俺は声にならない声を挙げた。俺の席に誰か座っている。だ・だれだ・・・。

信じられないことに所長が俺の席に座っていた。

俺は我が目を疑ったが、それは事実だった。しょうがない、腹をくくり俺は対応することとした。

「所長、おはようございます。」

所長は少しにやけながらも黙っていた。

「所長、どうされたんですか?」

「おまえの席はない。」

「はっ?」

「お前の席には俺が座っている。」

「じゃあ、わたしはこの通路にでも座りますか。」

所長の魂胆はわかっていたので、とぼけてみた。どうせ昨日の対応の件だろう。

「おまえなあ、お前の席に俺が座っているから、席がないと俺はいっていない!おまえは首だ。

おまえの席はない。

「???はあ。私の席はここにありますが。」

今考えても殺意を覚える会話だった。てめえのような権力にしがみつくパワハラ野郎に首を切る権利なんてねえ

よ。旧帝大の助教授だったかどうか知らんが、権力闘争に敗れて市役所に都落ちしたゴミ野郎に言われる筋合い

なんかねえええ!俺の首を切れるのは市長だけだ。きさま一体何様だと思っているんだあ・・・。しかし、それがた

とえ喉にでかかっても言えないのが宮仕えというものだ。

 

幸いにしてS副主任が登所してきた。

「所長、おはようございます。どうされたのですか。」

「おはよう。いや、俺は今日から庶務課勤務になったんだ。」

「じゃあ、係長の席はどこに行くんですか。」

「こいつの席はない。」

「係長かわいそう。」

所長はバツが悪くなったのか、お茶を濁して消えて行った。このパワハラ所長の弱点は、上司と年下の女には弱

い。本当に最低最悪の組織人としてはゴミのような奴だ。ゴミだああああ!いつか絶対にギャフンと言わせてや

る!この職場に異動して初めて、姫に助けてもらった。ありがとう。今までのことは水に流すよ。共通の敵はあ

の腐れ所長なんだから!

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