SPIRIT 20  運転 U


「おはようございます。保険センターからきました。」

「おはようございます。ごくろうさまです。パネルの件ですよね。奥の倉庫の出入り口に出しておきましたから。」

「おりがとうございます。」

おい、バイト!おまえはあいさつもできないのか!お願いにきたんだ!その腐れた頭をなぜ下げられないんだ!おまえも見かけ上は

保険センターの職員なんだ。恥かかせるなよ。

「係長、これですね。うわあ、結構重いですね、これ!これを3人で運ぶんですか!係長、何枚運ぶんですか?」

「20枚は必要だな。どれ、がんばるか!」

「ああ、Iさんラッキーだったわね。ねえ、係長!」

S主任のぶつぶつが始まった。君が結うのであることは俺は認める。しかしなあ、仕事っていうyやつはピンキリなんだ。そのピンキリ

をな、不平不満を言わず、黙々と難なくこなして初めて有能と評価されるんだ。自分の担当業務だけこなせても決して有能とは言えな

いんだ。わかってくれよ、な。

「あゝ、つかれた!つかれましたね、係長!」

「…そうだな。」

たった20枚で何が疲れるだぁ!

「ねえ係長、おなかすきません?」

「ん、いや…そうか、もう11時半か。帰りに食事でもしていくか!」

「はあい!」

「わたしお金ないんです。」

何言ってんのよ。ごちじゃない!ごち!係長のごちよ!ねっ、係長!

だから、そういうところが有能じゃなくてもいいんです。


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