SPIRIT 19  運転 T


今日は中央市民センターにパネルの借用に行く日である。

「Iさん、行って来てくれるか?」

「すみませえん。わたし急な仕事が入ってしまってえ、行けそうにもありませえん。」

お嬢様、頼みますよ。仕事はほうれんそうだということを教えたじゃないですか。約束したことは守るということが社会のルールなんで

すよ。ここはお家じゃないんです。開業医のパパは助けてはくれないんですよ。

「Sさん、N美さんと行ってもらえますか?」

「私、センターの場所知らないんです。係長もいくんなら行きますよ。」

おい、何だ!その投げやりな目つきは!Iのミスのしりぬぐいはしたくないっていうのかあああ!

「N美さんも行ってくれ。」

「行けと言われたらいきますよ。」

ふざけるなあ、このバイトごときがあああ!誰のおかげで採用されたと思っているんだあああ!あん?きさまみたいな根無し草はな

あ、つまんねえ男にひっかかってなあ、子供だけさっさと作ったらバイバイだあ。残されるのはなあ、乳飲み子抱えて途方にくれる貴

様だけだぁ!生活保護受けて、お国に迷惑かけるなよな!

「そうか。よし、じゃあSさんとN美さん、行くか。」

俺は3人で行くことにした。

「係長!車のカギ忘れないでくださいね。」

…俺に運転させる気なの?…まあ、殺されるよりはいいですか。

そうして、俺は、バイトが後部座席に座り、助手席に係の影番のトドが座り、係長の俺が運転するという奇妙な組み合わせで、中央

市民センターへ向かったのだった。

係長って、一体なんですか…。


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