ＳＰＩＲＩＴ　１７　　ＧＷ

「今年は３０日休むと７連休だね！」

始業時間はとっくに過ぎていたが、話題は月末のゴールデンウィークでもちきりだった。

「休んでいいかなあ。今年は係は欠員だしね。」

「そうねえ。」

「私、休もうっと！」

いつものとおりＴ主事が切り出してきた。こいつは、祝日が飛び石だと必ず連休にする役所の中でも有名な腐れた職員だ。

まあ、役所生活２７年で、一度も本庁経験のない主事に欠陥がないはずはないからな。きみはいわゆる訳あり職員なんだ

ということを自覚しているのかね。なんでも生まれ育った家庭環境が複雑だったとかで、自分の子供だけはそうしないように

溺愛しているのだそうだ。自分で溺愛と言っていることですでに終わっているね。せいぜい金属バットで叩き殺されないよう

にヘルメットをかぶって寝るんだな！この権利ダニめ！貴様のような職員がいるからなあ、公務員は楽だ、手抜きだって思

われるんだよ！きさまのような奴はいつか社会から葬り去ってやるううう！！！はあはあはあ。

そして予想どおり、Ｔ主事が俺のほうを向いた。

「係長！わたし飛び石休みますからね！」

「ああ、いいよ。自分の休みですからね。でもＴさん、有休大丈夫なの？去年の繰越し１０日もないんじゃないの？」

「大丈夫ですよ！計画的に休みますから！」


俺が皮肉っているのがわからないのかあああああ！！！

「あのう、私もいいですか。」

「係長わたしも！」

Ｔ主事が切り出したとたん、堰を切ったように休暇希望者が出始めた。はいはい、ゴールデンウィークは、俺と主査さんの２

人で頑張ります。予想通りの展開ですね。

「わたしも！」

バイト！きさまもか！！