SPIRIT 14  講演会


今日は我が庶務係の一大イベント「市民保険講座」を開催する日である。

「さあ、みんな!今日は係の大事業だ!頑張っていくぞ!まずは会議室の設営から始めよう!」

「はあい」

覇気のない声で、のろのろと準備が始まったが、なんとか設営は整った。

「よし、ご苦労様!あとは、資料と受講証を運んでおしまいだ。N美さん、先週頼んでおいた資料はどこへしまっています?」

「・・・。わたし、聞いてません。」

「えっ?印刷は?」

「聞いていないんで、してません。」

N美は俺をにらみ返しながら答えた。こ、このくそ馬鹿バイトがあああああああ!バイト如きにに反論する資格なんぞねえ!

「じ、じゃあ、大至急印刷してくれ!丁合いはみんなでやるしかないな!みんな、がんばろう!」

「はああい。」

講演会がおわるまであと2時間がタイムリミットだ。係員総出で、手を真っ黒にしながら、なんとか資料を綴じ終わったのは、

開始15分前のことであった。しかし、肝心の受講証は乾かなかったので使えなかった。


おい、N美!お前の頭の中に「ごめんなさい!ご迷惑をおかけしました。」という言葉はないのかああああ!そのふて腐れ

ている顔づらはなんだ!おまえのせいだ!このくされガキがあああああ!


「本日受講のみなさま、大変申し訳ありません。プリンターの調子が悪いため、受講証は後日送付することにします。」

講演会の最後に市民に頭を下げておわびしている俺がいた。


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