SPIRIT 9  事件 後編


 1班報告「見つかりません!」

 2班報告「ありませんでした!」

 3班報告「立ち寄った郵便局の総務課長にあってきましたが、届いていないそうです。」

「そうか…。わかった。みんな、ご苦労だったな。解散しよう。係長、止むを得ん。申請者にもう一度申請してもらうしかない

な。行ってくれるか。」

「はい。」

 係長っていう奴は、どぶさらいが仕事だということを身にしみて体験し、
俺は申請のあった会社ま

でラッシュに巻き込まれながら2時間かけて到着した。


「すみません、営業部長の伊藤さんはいらっしゃいますか。」

「ああ、区役所の方ですね。先ほど電話で内容は伺ってました。」

「申し訳ありませんでした!私どもの不始末で大切な申請書を紛失してしまいました。本当に申し訳ありませんでした!」

俺は額がズボンにぶつかるほどに体を折り曲げて、平謝りした。これ以外の方法はなかった。

「・・・・まあまあ山川さん、まちがいは誰にでもあることです。顔を上げてくださいよ。肝心なことは過ちを繰り返さないことで

はないですかね。」

「部長さん、ありがとうございます。」

 俺は相手が人格者であったことにほっとしてため息をつきながら、まだラッシュの残る街中を走って戻ると、
なんと

区役所はすでに電気が消えていて、真っ暗だった。
全員が帰ってしまっていた

のだ。

 1時間に1本しかないバスを待って、ようやく家にたどり着くと、家族はすでに寝静まった後だった。あのう、俺のごはんは

どこにあるんですかああああ!!!

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