題 数 指 定 打 ち / 実 戦 編 (2005年2月3日)

 2005年1月23日(日)、東京・練馬にある「光が丘地区区民会館」で行われた「第8回三上杯/高段者の部」はテストケースとして『題数指定打ち』が採用されました。私は2年ぶり2回目の出場でしたが、河村名人に敗れて残念ながら優勝を逃しました。その局は、まあ相手が強かったと言うことですが、LLIO Renju Globe などで『題数指定打ち』を何局か経験していたので、対局はスムーズに消化できました。その中から1局をご覧頂きながら、『題数指定打ち』とはどのようなものかご紹介いたしましょう。

[第8回三上杯/高段者の部 2回戦]
仮先:石谷信一 八段 仮後:飯尾義弘 七段

 まず石を握って石谷八段の仮先と決まりました。石谷八段は少考の後、斜月を打ち、盤上に黒石を3つ並べられました。
黒番を取った方は、5手目を従来の二題打ちでなく、3ケ所示さないといけません。「それでも黒を取りますか?」というわけです。このように仮先の人が、珠型を提示する時に同時に黒5の題数も提示するわけです。(従来は必ず二題ということ)
 第1譜(珠型と題数提示)

 従来、斜月と丘月は共通型にする白4が最強ですが、黒5は図2のA、B、Cがよく打たれており三題打ちでもどうということはありません。あまり黒有利にはならないかもしれませんがDも十分打てます。
 斜月の場合は、図3の白4の作戦もありますが、Aの定石、Bの慣珠共にほぼ黒必勝なので、名人戦A級リーグ以上の試合では打たれることはありませんでした。
 ただし、「五珠三題打ち」となると図3で3つめの手があるのかどうか?
 図2    図3

 というわけで私は白を取り、この白4を打ってみました。
 第2譜(黒5を3題提示)

 石谷八段は黒5を上図のA、B、Cの3ケ所提示されました。あえて図2の定石をはずしたのはどういう意図なのか?「AとCの変わった手のどちらでも自信があるぞ」というところでしょうか? 
 私は、図3のような展開を考えてCの石を残しました。
 図3 

 いずれにしても、過去に何百回(どころか1000回を越えているかも)も打ったことのある従来の斜月・丘月共通型ではなく、未知の形になりました。序盤からすでに自分のカンとヨミしか頼るものはない、という状態です。このように『題数指定打ち』になると、30年以上のキャリアのある私でも見たことも無い局面が数多く出現することになりそうです。
 世界選手権や名人戦では、昨今『疎星』『瑞星』『松月』がそのほとんどを占めている状態ですから、一気に珠型選択の幅が広がりそうです。

  第3譜(白16まで)

 さて、黒は上図の7とひねってきました。白8は、まあ引いておきたい所。白10と引いたのは、「第3譜までとなって三々禁で白勝ちじゃん」と考えたからですが、白14と四伸びをしようとしてガクゼン!白16は三じゃないし。。。
「ありゃあ〜失敗した。負けた。」と思いましたが、今さらどうしようもなく、白16まで打って開き直ることにしました。
後は、黒の『華麗なる収束』を待つ『まな板の上の鯉』のはずでしたが。。。。

 考えてみるとけっこう黒の打ち方が難しいのです。私は当初、図4の黒17でカンタンに負けると考えたのですが、図4のようになると白に四追いが生じています。これでは黒勝てない。
 石谷八段もこの図は考えられたそうで、これではダメなので、第4譜の17を打たれました。これには私も白22までとなっては黒勝ちなし、白が先手を取れるので白勝ちだろう。と読んでいました。
 図4  第4譜(白22まで)

 黒は23と止めるしかなく、後は乗り手に気をつけて攻めればよい。四三を見せてから三々を最後に打つ、という白らしい決め手がありました。私は「失敗した」と思ったのですが、局後の調べではどうも白16で黒に手がなく白必勝形になっているようです。(白14は省略してもよい)
 わかってみれば、「なぁんだ」という結果ですが、白10を引く時に黒17からの変化を読み切ることなどできるはずもなく(名人レベルの人でも1時間以上の長考が必要であろう)、負けたと思ったら、実は勝っていたと言うあたりが未知の局面を打つ醍醐味ですね。
 第5譜(白26にて黒投了)

 今年は関西でも「京都リーグ」「阪神リーグ」共に『題数指定打ち』を採用することになりました。
 現在『均衡打ち(坂田ルール』『タラニコフルール』など、近い将来のルールとして、あれこれ試されている状況です。日本人にはこの『題数指定打ち』が無理なく移行できるルールだと考えられます。皆さんもぜひこのルールで打ってみて下さい。



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