スズキ思想差別裁判が勝訴!
 

 スズキ(自動車メーカー)で働く7人の共産党員が「思想差別により賃金・賞与・退職金において差別を受けた」としてその差額の賠償を請求した裁判で、9月5日地裁浜松支部は、「被告スズキの反響労務政策の存在を認め、原告6人に総額3,523万円の支払いを命じる判決」を出しました。
 原告の一人については「著しく低い考課があったとは言えない」として請求を棄却しました。
 判決は「スズキが原告らの門前ビラ配布に対する妨害や、管理職研修での反共教育、労働組合選挙への職制の介入などを認定し、被告会社が共産党に対し嫌悪、警戒していて、原告らに合理的な理由がなく低い考課をした。」としています。

 秋山原告団長は「本判決が30年余にわたる日本共産党員への差別意志と差別行為を認めた意義はきわめて大きい。スズキが判決に従い、企業の社会的な責任を果たすことを臨みます。」と語ると共に、棄却された一人を含めて完全勝利までがんばる決意を表明しました。
 

 原 告 団 声 明

判決を受けての声明

本日、静岡地裁浜松支部は、日本共産党員である私たち7人の原告が、その活動を理由に賃金、賞与、仕事上の差別を受けたとして、被告スズキ株式会社に対して賃金等の賠償を求めた裁判で、原告勝利の判決を言い渡しました。一人の原告については請求が認められず、まことに遺憾であります。

しかし本判決が被告会社の30年余にわたる日本共産党員に対する差別意思と差別行為を認めた意義はきわめて大きいものがあります。

この勝利は、不屈にたたかい抜いた原告と党の仲間、家族、弁護団、裁判を支援してくださった多くの方々の固い団結と広く全国の戦う仲間に支えられて勝ち取れたものです。心からお礼を申し上げます。

私たち原告は、10代から20代にかけ矛盾の多い社会と真剣に向き合い、自らの生き方を模索する中で日本共産党に入党しました。

働く人たちの生活を良くしよう、社会を良くしようと活動して来ました。特に職場では、「他社に比べ低い賃金の是正や、サービス残業の改善、職場の冷暖房化、とりにくい有給休暇の改善」など、切実な要求実現の運動をすすめてきました。

利潤最優先の会社は、これらの活動を嫌悪し様々な差別をおこなってきました。特に、見せしめとして仕事上の差別や信じられないほどの賃金差別は、30年勤続でも手取りは20万円足らずというひどいものであり、共働きの妻の収入や家族の援助なくして生活できない状態になりました。

原告とその家族の苦労は言葉にいい尽くせないものがあり、長く続きました、が一人一人の人生をかけた闘いとして、活動に裁判に、邁進してまいりました。

この判決により、スズキの職場における思想差別が断罪され、自由と民主主義がよみがえる第一歩となることは確かであり、またそのようになることを切に望むものです。そして、職場の労働者の切実な要求を抑える役割を果たしてきた反共的差別が解消され、職場に自由にものが言いあえる雰囲気ができ、従業員の労働条件の改善も進み、消費者のニーズにこたえた安全な車づくりに必ず結びつくものと確信いたします。

県下のトップ企業であるスズキ株式会社は、判決に従い、自ら定めた企業倫理規定にのっとり、社会的ルールに従い、地域社会の発展と繁栄に貢献すべく企業の社会責任を果たさすことを望むものです。

我われ原告団は、全面的な差別の撤廃と賃金差別の是正を求め、さらにたたかいを進めていく決意です。より一層のご支援を宜しくお願いいたします。

 

2005年9月5日

スズキ思想差別撤廃・賃金差別是正裁判原告団

  


 弁 護 団 声 明

声  明

 本日、静岡地方裁判所浜松支部は、日本共産党員の原告7名が、その活動故に賃金、賞与等において不当に差別されたとして、スズキ株式会社(以下「スズキ」という)に対して、差額の賃金等の賠償を求めた裁判で、日本共産党員として活動したことによる差別を認定し、被告スズキに対し、原告6名への賠償金を命ずる判決を言い渡した。

 裁判所が認定した損害は、原告久米の請求は棄却し,その余の原告6名についても,請求の一部を認めるにとどまったが、スズキが日本共産党員に対する差別政策をとり、原告らを差別してきたことを認定した点で、明らかに原告勝訴の判決といってよい。

  原告らは、入社後まもなくの若い時期に日本共産党に入党し、以後一貫して職場における労働者の権利と生活を守るために、さまざまな活動を展開してきた。

  それら活動は、あくなき利潤の追求のために、労働者の肉体と精神をぎりぎりまで搾り尽くそうとする企業の論理・行動と必然的に衝突するものであった。               

  原告らは、職場では労働者の模範となるように人一倍職務に励み、労働者として要求すべき事は要求して労働者のために活動したから、原告らに対する職場の同僚の信頼は高かった。

  それゆえ、スズキは、日本共産党の影響が職場で強くなることを怖れ、これを妨害するために、公安警察出身者を日本共産党対策の責任者として中途採用し、日本共産党員の活動を徹底的に妨害し、彼らを職場で孤立化させ、その影響力をそごうとしたのである。そして日本共産党員に対する見せしめの最たるものが賃金差別であった。

  もともとスズキは自動車会社の中では最低の賃金水準にあるが、その上に賃金差別されたため、勤続30年になっても手取りで月額20万円にもならないという異常な低賃金となった原告もいる。共働きの妻の収入や親族の援助がなくては、家族の生活は到底成り立たなかった。

  それゆえこの裁判は、原告らにとって日本共産党員としての自らの生き様を問うた裁判でもあった。

 訴訟において、スズキは、日本共産党員は企業破壊者であると決めつけ、日本共産党員に対する偏見を公然と披露し、原告らの低賃金は原告らが企業破壊者として真面目に仕事をしなかったこと、例えば時間外労働に協力しないとか、仕事の能力、意欲の無さなどに原因があるとして、個人の責任に帰着させようとしたが、原告らは、事実と道理に基づいて、これを打ち砕いた。その結果、、裁判所はスズキの主張を排斥したのである。

  今回の判決は、職場での思想差別は許さないという裁判の流れを確固たるものにし、企業は、思想差別はもとよりどのような差別でもしてはならないという高い倫理性を確立すべきことを要請している。

  スズキは、本日の判決を真摯に受け止め、差別政策をあらためるべきである。

 われわれ弁護団は、引き続き原告7名全員の差別是正を求め,全面勝訴、全面解決を目指して今後とも全力を尽くす決意である。

                                                             2005年9月5日

                                                        スズキ賃金差別訴訟弁護団



 静岡県争議団共闘会議の春の総行動の一環として行われた「スズキ本社包囲行動」で、スズキ本社工場をデモ行進する支援共闘会議の参加者。
 スズキでは、このほかに小松弘人さんの過労自殺が労災認定されたにも関わらず、遺族に対しての謝罪も、今後このような悲しい犠牲が出ないように安全管理に配慮して欲しいとの申し入れに対しても誠意ある回答をせずに、現在裁判が行われています。
 NTTもそうですが、企業の社会的責任を追求することが必要です。スズキの鈴木修社長は、新浜松市の行政改革委員を始め静岡県政や浜松市政に大きな影響力を発揮しています。しかし自社の中では「人権侵害・思想差別・過密労働での過労死・サービス残業の不払い・下請けに選挙での票の締め付け」など憲法や労働法などの法を無視した社会的に許されない企業運営を行っています。
 この裁判の勝利はその一旦を知らしめることになりました。今後予想される高裁での闘いも同じ争議団共闘会議の仲間として、NTTリストラ反対裁判静岡県支援共闘会議西部連絡会も共に奮闘する決意です。 
             静岡県西部争議団連絡会 運営委員(鈴木記)
 

スズキ賃金差別裁判闘争勝利おめでとうございます!

NTTリストラ闘争を支援する西部の会

 30余年にわたり差別され続けてきた原告の皆さんの不屈の闘いの勝利おめでとう御座います。全面勝利まではもう少し時間を要するようですが、今回のこの勝利判決は企業の反共労務政策の存在を認めさせ日本共産党員に対する思想差別を断罪する価値あるものであると言えると思います。

 私たちNTTリストラ闘争を支援する西部の会も大企業NTTの違法・脱法の横暴と闘っています。NTTは毎年50歳になると、退職再雇用を迫り応じなければ、満了形を選択したとみなし全国広域配転の見せしめ配転を強行しています。県内でも3名が必要の無い名古屋に見せしめの広域配転を強行され現在裁判で闘っています。

スズキの賃金差別の闘いに結集している皆様には日頃NTTのリストラ闘争を支援する西部の会に、ご支援頂きありがとう御座います。私たちの闘いはこれから証人尋問に入る予定です。スズキの賃金差別の全面勝利目指す闘いと、私たちNTTのリストラ闘争を支援する西部の会と、今後とも連帯し闘っていきましょう!

200596日(月)

NTTリストラ闘争を支援する西部の会

事務局長 米山 喜九雄


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