<共同声明>     高松高裁がNTT11万人リストラを断罪

――「退職」に応じない労働者への見せしめ遠隔地配転は違法――

一、3月25日、高松高等裁判所民事第2部(杉本正樹裁判長)は、原告重見、高野、矢野氏に対し、松山から名古屋・大阪への配転は無効と訴えた控訴は棄却したが、2006年7月の再配転命令(名古屋から大阪2名、大阪内での再配転1名)について「配転命令権を濫用して命じられた違法な命令」と断じ、NTT西日本に対して、原告それぞれに200万円の慰謝料支払を命じる判決を下した。

二、この裁判は、持株会社NTTが子会社東・西会社に2002年5月から強行させた「50歳退職・賃下げ再雇用」という「構造改革」と称するリストラで、「退職」に応じなかった社員に対して強行した異職種・遠隔地配転の効力を争う訴訟である。

  NTT東・西日本が行った「50歳退職・賃下げ再雇用」制度は、その業務のほとんどを新設子会社に外注化し、51歳以上の社員を「退職」させ、賃金を15%から30%切り下げて子会社に再雇用させるものである。そして、NTT西日本は、「退職」に応じなかった社員に対し、報復・見せしめを目的として異職種で遠隔地への配転を行なった。

本件配転は、こうした不当な目的に基づき実施されたものであり、配転先での業務の適格性はおろか、経済的合理性も考慮することなく、「退職・再雇用」に応じなかった51歳以上の者だけを対象者としてわざわざ遠隔地へ配転したもので、業務上の必要性は全くなかった。にもかかわらず強行された無期限の遠隔地配転は、本人ばかりでなく家族の人権を侵害し多くの不利益を与えた。

三、判決は、2002年の当初配転については違法性を認めず、控訴審で新たに主張・立証した2006年7月の再配転に対して、「退職・再雇用を選択した社員に対する配慮を優先するあまり、60歳満了型を選択した社員に対しては、長年勤務し、かつ、本人が希望する勤務地(松山)には原則として戻さないことを前提とした、不当な差別的意図を推認することができる」と「退職」に応じなかった社員に対する嫌がらせ配転の意図を明確に指摘し、「配転命令権を濫用して命じられた違法な命令」と断じた。また、原告高野の義父の介護に対しては、「育児介護休業法26条の趣旨からも問題がある」と指摘した。

この判決は、「50歳退職・賃金30%カットの再雇用」というリストラ遂行のために行われた遠隔地配転の違法性を認めたもので、NTT東・西会社は、ただちに「50歳退職・再雇用」リストラを中止すべきである。

四、私たちは、NTT西日本に対し、原告重見、高野、矢野氏をただちに地元松山に再配置することを要求する。さらに、不当な意図を持って遠隔地配転されている全ての配転者を直ちに地元に戻すことを要求する。

この画期的な判決が勝ち取られたのは、全労連をはじめ、多くの労働組合、民主団体、サポーターのみなさん、そして通信労組の全組合員の大きなご支援・ご協力によるもので、改めてお礼を申し上げる。私たちは、この画期的な判決を確信にして、引き続き、NTTの「50歳退職・賃下げ再雇用」制度の廃止のために全力を尽くす決意である。

 

2010年3月29日

                            NTTリストラ松山裁判原告団

NTTリストラ松山裁判弁護団

                            全労連NTTリストラ闘争本部

家庭破壊・公共通信放棄のNTTリストラに反対する労働者を支援する会

                              通信産業労働組合