NTT偽装請負い裁判

大企業の脱法を処罰しない不当な最高裁決定


 2012年6月15日、最高裁はNTT偽装請負い裁判に対して「上告棄却」および「上告不受理」を通知してきました。

 京都府精華町にあるNTT持株会社直属の研究所で働いていた請負い会社の労働者が、三重の偽装請負の状態で働かされ、偽装請負いの発覚を恐れた会社は労働者を契約型派遣社員にすることを通告しますが、就職時に約束された長期雇用の継続を求めると、NTTは一方的に契約終了を伝えました。労働者は、NTTの違法な偽装請負いの隠ぺいにたいして「私のような人が出ないためにも訴訟を決意した」として、2008年5月、NTTとNTT−ATに対して地位の確認と慰謝料を求めて京都地裁に提訴しました。

 2010年3月23日には京都地裁で、NTT・NTT−ATとも雇用しているという意識はなかったとし、労働契約の成立を認めず、また、偽装請負状態についての損害賠償についても請求を棄却する不当な判決が出されました。

そして、2011年2月17日またもや大阪高裁でも原告主張を退ける不当判決が示されました。第二審判決では、控訴人の採用に関して、被控訴人社員らの判断の影響はかなり大きなものであったことや被控訴人NTTは控訴人に対して作業上の指揮命令を行っていたものと認めるのが相当であるとの認定を行いました。そしてNTTらは職安法44条、労基法6条に違反していると決定しました。にもかかわらず、直接の契約を否定し、損害賠償も退けました。

原告・弁護団は早々上級審の最高裁への上告を決めました。そしてこの間、最高裁での公正判決を求める取組を進めてきました。通信労組では中央本部・京都支部から全国の支部に支援の訴えがおこなわれるとともに、本部を中心としたほぼ毎月の最高裁要請行動と署名の提出が取り組まれてきました。また、京都総評をはじめ多くの県労連やその加盟単組から多くの支援をいただくことができました。

京都地裁提訴から最高裁判決までの間で皆様からいただいた「公正判決を求める要請署名」は、団体・個人を合わせ、累計で3270筆に達しました。

原告の主張が届かなかったとはいえ、この裁判が大企業の横暴とたたかう多くの働く仲間を激励し、偽装請負の根絶に向けた取組みにプラスになったことは確信できるのではないでしょうか。

今後も上記の問題の根絶にむけ働く皆さんとも協力しながら奮闘していく決意です。

 これまで、数々のご支援をいただいたすべての皆様に改めて御礼を申し上げ。この裁判に対する結びの言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

2012年7月14日
NTT偽装請負弁護団
通信産業労働組合京都支部
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