労災認定をされた3人に対し、NTTは労基署のこの決定を認めず、療養のための休暇を私傷病として扱い、賃金の減額を続けている。3人は、会社規則にも違反するこの扱いを不服として説明を求めた。労働組合(通信産業労働組合)も説明を求める要求書をあげた。しかしNTTは、無視の態度を何ヶ月もとりつづけた。こうしたNTTの労働者無視の態度に強い怒りを感じるものである。
3人は「労災認定されたのに、私傷病扱いで賃金減額されるのはおかしい」と申し出たが、会社は知らんふり。社員が自分の賃金上の扱いについて質問すれば、会社は納得のいく説明をすべきである。この当たり前の社会常識をNTTは知らないのか。こうした NTTに対し、地域の争議や労組の仲間たちが何回も申し入れを行った。労基署にも相談し、「どうなってるのだ」と質(ただ)してもらった。その結果、やっと会社から3人への説明が行われた。その内容は納得のいくものではないので別項で述べる。
NTTのこうした労働者への対応は社会常識を逸したものである。「会社の意にそぐわない労災認定だから、そういう措置も仕方ない」という意見があるが、3人は法に定められた当然の権利である申請を行い、その結果の労災認定である。法治国家の企業としてそれにいさぎよく従うのは当然のことである。「気にくわないから話もしない。質問にも答えない」という態度は、だだっこのようだ。大企業のとるべき態度ではない。NTTに反省を求めると同時に、こんな幼稚な、だれでもわかる常識を大企業NTT に向かって言わねばならない現実を、なさけなく思う。
一方、3人の所属する労働組合(通信産業労働組合)は会社に対し、文書で賃金減額の理由を質問した。「規則にのっとり行っている」という簡単な回答がきただけである。
会社回答はまったく不当であり、その理由は、
第一に、他労組(NTT労働組合)の組合員の場合と較べ、大きな差別扱いがされている。他労組組合員の場合、自分の不利益な扱いがあれば苦情処理委員会にかけ、納得のいく回答をもらうことができるようになっている。通信労組の場合はこの機関がなく、団体交渉で扱うとされている。そうした経緯にかかわらず、このような木鼻回答はまったく不当なことである。
第二に、労働法では会社は労働組合の質問に誠実に答えなければならないとされている。この馬鹿にしたような回答は、これに反した不誠実交渉であり不当労働行為にあたるものである。
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