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イソップの犬

「犬さんお願い、その肉を少ぅし分けてくださいな。あたしはお腹がペコペコで、今にも死にそうなんですよ」
 犬さんどこで奪ったか、大きな肉を咥えてる。だからあたしは犬さんに、コバンザメなどしたいのよ。
「うるさい野良猫め。これは俺様が手に入れた肉だ。だから俺様が一人で食べるんだ。お前も肉が欲しければ、自分で探すことだな」
 なーにさなにさ、偉そうに。それが面倒だからこそ、あなたにコバンザメなのに。
 犬さんのしのし歩いてく。あたしはトコトコついて行く。のしトコのしトコのしトコと歩いて川辺に来たときに、犬さん急に立ち止まる。
「ほら、見てみな。あそこにも肉を咥えた犬がいるぜ」
 犬さん肉を咥えたままで、口の隙間で喋ります。
「よーし、脅かして、あいつの肉も奪ってやれ」
 犬さんそれは違うのよ。あれはあなたの影なのよ、水面に映った影なのよ。言ってみたけど、聞かないで犬さん川を睨みつけ、大きな声で、
「ワン」
 あっ、肉が落ちちゃった。
 犬さんパッと飛びのいて、感心したよな独り言。
「あいつは凄い犬だぜ。この俺様でさえ、びびってしまって、肉を取られてしまったぜ」
 犬さんすたすた歩いてく。あたしはトコトコついて行く。
「どうした、俺はもう肉を持っていないぜ」
「でーーーーも、あなたについていたならば、いつかはきっと象よりも大きな肉にありつけるもの」
「よし、じゃあその時は、蚤の心臓ほど分けてやろう」
 これにはあたしも噴き出しちゃった。
                  おわり