卒論は着々と進んでいる。まだ、1行も書いていない。60ページ。
15000字だそうだ。調査用のチェックリストはまだできていない。その前に、
友人に質問回答を依頼した。皆からは、協力の温かい言葉を頂いたが、
それに併せて言葉・意味がさっぱりわからないというコメントをもらった。
質問表作成のよいアドバイスである。説明資料を作成した。「IT早やわかり」
とでもしておこう。
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質問表の補足説明
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(1) ITをTechnology、Systemと捕らえている。
(2) ITを競争優位の道具として捕らえている。
(3) ITをビジネスを変える道具の一つとして捕らえている。
(4) ITをERPというプロダクトで導入している。
(5) ITをE-commerceという形で導入している。
(6) ITがこれからのビジネスの中核であると捕らえている。
ITとは:
Information Technologyの略です。言葉は簡単なのですが、実態は
時代とともに変化してきています。指導教官は、様々な企業理論がアカデミック
の世界に存在するけど、IT + Business Strategy で、うまく整理できないか?
という問いを投げています。私がまとめた内容を説明します。
(1)ITをTechnology、Systemと捕らえている。
ITは社内システム構築、社内ネットワークの更改、データベースの構築
など、技術・システムとして捕らえていた。その意味で、担当する人々は、情報
システム屋さんということになります。
(2)ITを競争優位の道具として捕らえている。
ポーターという人が、企業戦略を議論の中心にしました。悲しいかな、ITは脇役
なので、ポーターの理論を使って、ITを説明し、地位を高くしたいという思いが、
この頃のITの研究でした。Competitive Advantage(競争優位)というのがポータ
の有名な理論です。コスト・差別化で他社より競争優位を勝ち取ろうとするもの
です。ここでは、情報システム屋さんだけだは太刀打ちできなくなってきます。
具体的な実態はないのですが、会社がITを競争優位という観点で捕らえているか
がこの段階かどうかとなります。
(3)ITをビジネスを変える道具の一つとして捕らえている。
Porterの偉大な功績も時代の流れでほころびがでてきます。企業戦略では
新しい流れが出てきます。具体的には例として以下が挙げられます。ITを以下の
実現のための道具として捕らえていると、この段階だと言えます。
Business Transformation
この段階を一般化して言葉が、Business Transformationです。非常に概念的な
言葉です。それだけに最近の研究対象となっています。主に、組織・人の観点
からの研究です。
Strategic Change
Business Transformationと同様な言葉で、戦略的に如何に会社を変えていく
かというのが主題です。会社リーダが交代したときに、会社の方向性をどの
ように持っていくかなど、主にリーダの戦略を時系列に調べている研究も見受け
られます。
Knowledge Management
会社の有形無形の知識を活用することにより、生産性を向上させようとする
試みです。例として、コンサルティング会社の知識共有などが挙げられます。
Collaboration
現在では、Porterの競争だけの視点から、Strategic alliance (戦略的提携)に
焦点があります。顧客・競争会社・サプライヤ・政府などと協力関係をうまく
利用していく必要があります。
CIO/CKO
IT・知識の戦略上の大切さから、欧米企業では、Corporate Information
Officer/
Corporate Knowledge Office という役職を設けて、何とか先んじようという動き
があります。また、CIO/CKOは経営に関わっていないと効力がないとも言われて
います。日本企業では、情報システムは独立した存在であることが多いです。
Outsourcing
以前は多角化という方向性でしたが、無駄なことはやめて、企業の核となること
に集中しようという動き(Core competence) が近年の流れです。そこで、付随
業務は外部委託しようというのが、Outsourcingです。社内ネットワークの保守、
会計業務、人材派遣、などが一例です。
Supply Chain Management, Customer Relationship
Management
業務プロセスなどの見直しの一例です。Supply Chainとは材料を仕入れ、製造
し、顧客の手に届くまでの流通過程のことです。また顧客とより密接な関係から
サービス向上に努めるようなものが、Customer Relationship Managementとな
ります。
BPR (Business Process Reengineering)
ERPの項(4)を参照してくてください。
(4) ITをERPというプロダクトで導入している。
Enterprise Resource Planning の略です。ちょっと前まで、皆がERPはすごいと
言ってました。例えば、経理・製造・営業などをResourceと捕らえて、うまく繋げて
有効活用しようという、社内プロセスの効率化が目的です。前にはBPR(ビジネス
プロセスエンジニアリング)という言葉で概念化されていましたが、ERPは商品化
されていて、パッケージソフトとして導入できます。(3)は概念的だったのが、
この段階では、製品として具体化されています。但し、ERPの性格上。会社の
内向き且つ、内部に閉じたものとなります。
(5) ITをE-commerceという形で導入している。
E-Commerce (Electronic Commerce)、電子商取引きのことです。インターネットを
使った商売です。B to C (business to customer) 消費者向けなら、本・服・PC
などをホームページ上で購入できたりします。B to B (business to Business)
企業同士では、材料を仕入れの受発注業務などに使われています。Internetとい
うOpenな基盤を使っているのがERPや、系列企業内だけのシステムなどとは異な
るところです。E-Commerce は、WWW(World Wide Web: ホームページの集まり)
上での宣伝、商品売買、サービス提供であると整理できます。
(6) ITがこれからのビジネスの中核であると捕らえている。
この段階は、E-Business、Internet、WWWなどの基盤を使い、上記で触れた、
競争優位、組織を戦略的に買える、企業価値を高める、よりよいサービスを提供
するなどを包含します。これまでの段階は、企業戦略に併せて、ITを利用していま
したが、この段階では、ITによって、企業戦略を立てて行くという段階です。
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つづく