サ ザ エ


磯の香りいっぱいのサザエ
 サザエはアワビと並んで、海産巻貝の双へきであるが、アワビは朝廷への貢物と、高級品の扱いを受けてきたのに比べ、サザエは庶民の貝として愛されてきた。幼貝は干潮時露出するところから、水深10mの岩場に殻口を下にしてちん座している。
 夜行性で主食は海藻、裸潜りで手づかみできるが、見つけるまでが一苦労、サザエの移動する性質を利用した刺網で漁獲する。
 貝殻は渋い褐色色だが、捕食する海藻によって七変化する。ホンダワラで褐色、アラメは白色、テングサで黒色となる。
 貝殻の棘は荒波に転がらぬよう外海性のものはよく発達し、内湾性のものほど少ない。2年で成熟し、日中は岩陰やくぼみに潜んでいるが、夜は時速2.5mで岩から岩へ、一夜にして20m以上も歩くが、砂地は歩くのは苦手らしい。
 性の区別は夏の産卵期肉を殻から出して、生殖腺を見ると、白色はオス、緑色はメスである。
 刺身でも食べるが、つぼ焼きは野趣があって美味しい。