オニオコゼ


毒針を持つ
通称オコゼと呼ばれるものはオニオコゼで、見るからにみにくい魚である。
 顔はデコボコ、目は体の背面近くに飛び出して小さく、体はブヨブヨした感じで鱗はない、口は下向き、下顎にはゴミを思わせるようなものをくっ付けて、歌舞伎役者のような顔でもある。
 体色の変異は大きく、浅海の砂泥や岩礁帯に棲むものは茶褐色、少し深い海藻の間などにいるものは黄色、更に深い所に棲むものは赤色と補色による保護色となっている。
 背鰭の先端は鋭く尖り、恐ろしい毒トゲがあって、この毒トゲに触れたら最後トゲの付け根の毒腺から反射的に毒が注入されて猛毒に痛む。
 万一刺された時の手当は、傷口をよく洗い血を絞り出し、熱いお湯に1時間ぐらい浸けアンモニア水か重曹水、過マンガン酸カリ溶液を塗るとよい。
 オニオコゼは数メートルから数百メートルの砂泥底から岩礁帯に生息し、昼はじっとし、夜間活動する。
 夏場が旬でお吸い物やちり鍋にして珍重される。