ニ シ ン


幻の魚 ニシン
 かつての北海道はニシン漁で冬が明け、春の訪れを感じたもので、ニシンを「春告魚」と呼んだ。
 北海道がニシンの景気に沸き立った頃、年間の漁獲量は百万トン近くもありった。
 その頃は県内からも多くの若衆が、ニシン漁場へ出稼ぎに出かけた。
 北海道の日本海沿岸は、産卵のために集まってきたニシンの雄の精液で海は米のとぎ汁のように白く濁った。
 それを一夜にして漁獲し、大金持になった網元は、ニシン御殿を作った。
 昭和に入ってニシンの来遊量は年々減少し、昭和29年の30万トンを最後にバッタリと姿を見せなくなってしまった。
 ニシンの分布の南限は太平洋岸は茨城県、日本海側は新潟県で佐渡でも漁獲された。
 ニシンは漁期、魚体の大小、生理状態の相違によって春ニシン、夏ニシン、冬ニシンに大別されるが、資源的に重要なのは春ニシンで、体は肥満で脂肪に富み、大きさも35cm程度に達する。
 焼魚、見欠きニシンとし、卵は数の子で珍重される。
ニシン