ム   ツ


深みに群がる ム ツ
 ムツ類にはムツとクロムツがあり、ムツはクロムツより大きく、側線上の鱗数も少ない。
 一般的には両者を区別せずムツと呼んでいる。
 仙台地方でロクノウオというのは、殿様が陸奥守だったところから遠慮して呼んだという。
 体は紡錘形でやや側扁し、目と口が大きく下顎が少し長い。
 本州中部以南から東シナ海に分布し、成長に伴って生息水深や体色が異なり、稚魚は内湾の岸辺、幼魚は沿岸のアジモ林、30cm以上で水深300〜500mの岩礁帯へ移動し、体色も赤みの強い褐色から黒褐色へと変化する。
 産卵期は10月〜3月にかけて、分離浮性卵を産み、冬季から晩秋にかけてがムツ釣のシーズンである。
 ムツというと冬が旬、脂のきらきら光る煮汁から煮付を連想する。
 白身で肉が引き締まり脂っぽくなくうまい魚である。 大きなもので新鮮なら刺身、ちり鍋にしてもうまい。
 卵巣も上品で舌ざわりが最高である。味噌漬、粕漬けなどにも向いている。