マ ン ボ ウ


巨大魚で動作緩慢なマンボウ
 マンボウという名を聞くだけで、何かゆったりと、のんびりしたおおらかなものを感じるように、誠に奇妙な姿をした魚である。
 大きな背鰭と尻鰭が相対して突き出しており、後方は切り落とされたように円く、尾鰭がない。
 県内の海岸でも対馬暖流に乗って運ばれてきたマンボウが、時たま姿を見せたり、定置網で漁獲されることもあり、晩秋から冬の季節にシケにあったマンボウが、海岸に打ち揚げられることがある。
 世界中には暖海の大洋中に、一尾の単独生活を営み、陸岸にはめったに近寄ることはない。
 波の穏やかな日には、背鰭を突き出してゆっくりと泳ぐかと思えば、水面上に体を横倒しにして浮いたまま漂流している。
 体表は全身ゴム状の弾力あるサンドペーパー状で、産卵数は魚類中の最多で、その数は2〜3億、成長に伴い変態する。
 卵と稚魚はマグロ類の餌になっていて、主食はクラゲでちぎってそのまま飲み込み、のどの奥にあるくしの歯で、トコロテンのように細い糸状にする、肉身は白くて軟らかく不味である。