ホ ウ ボ ウ


祝膳につく ホウボウ
 いかめしい顔、長い体、派手な大きい胸鰭が目立ち、時には砂の中に潜ってギョロギョロした眼を出している。
 ホウボウは外海や内湾の水深20〜80mの海底が砂地になっている所を選んで生活する夜行性の魚である。
 背側は紫褐色、腹側は淡色で暗紅色斑が散在している。死ぬと背側は濃赤色に変わり、全長40〜50cmに達する。
 ユニークな胸鰭は一部が変化して三対の歩脚状の軟条になっており、味を知るための味蕾があって触手の役目を兼ね、これを駆使して海底をチョコチョコと歩き回り、砂泥底に潜入する小動物中、特にエビやカニ類、シャコ類の幼生を捕食している。
 釣り上げるとホウボウはよく鳴き、その秘密はウキブクロにあり、もっぱら夕方に多い。
 産卵期は春から夏で、大変成長の遅い魚で、30cmになるまで5年近くもかかる。
 肉身は白身で味は淡白にして繊細である。刺身、煮付や塩焼きにする。
 県内ではキミヨ(君魚)と呼び、祝儀の膳に使用する。