ゲ ン ゲ


冬の味覚ゲンゲ
 佐渡には寒い時期に、昔から獲れていた魚にゲンゲがある。
 一般的にゲンギョと呼び、下魚(げうお)がなまったもので、島内ではミズブタともいい、和名はノロゲンゲである。
 体は半透明で、ブヨブヨしていて寒天のように柔らかく、形は深海魚を思わせるやや細長い魚でグロテスクな面構えをしている。頭は多孔性でエラ孔は頭の側面にある。
 腹鰭がなく、鱗は細長く、それらの鱗が互いに直角に配列し、側線は明瞭に二条ある点がこの魚の特徴である。
 雌は腹部が膨れ上がっていて、中にはサケ卵のイクラ並の大きな卵で、10数個抱えている。
 全長は30足らずで、体色は生鮮なものは淡紅褐色で頭の背面から背部は暗色である。
 口が下向きについていることや、消化器官を調べた結果から、海底に沈んだ生物の死がいや、小さな貝を食べていると考えられている。
 ノロゲンゲは日本海の山陰地方以北に分布し、北日本標準魚の一つである。
 肉は白身で癖がなく、干物にしての焼魚は酒の肴として美味しい。