「ニッポンの手仕事」 写真・文 井上雅義

日本各地の「手づくり文化」をドキュメント 「ニッポンの手仕事」 写真・文 井上雅義
発行 日経BP社 A5判、178頁 価格 1,800円+税

多様な地域性

モノには「心」がある-。日本各地の自然・風土・人が育んだ、循環型社会への多様な知恵の蓄積を写真と文でたずねる。 『日経エコロジー』連載を中心にまとめ、加筆・修正して単行本化。
「風土からの贈り物」など3章からなる。 豊富な現地取材を通して、著者は広域に分布する「文化の多様性」こそ日本の特徴と述べる。 本誌で連載した「ニッポンの循環技術」に加筆した。

暮らしに息づく伝統、歴史

民家の茅ぶき、古材利用、京都の町家大工から「つづら(葛篭)」のような日用品。 さらには炭や漆のようなくらしの材料まで日本の風土に合わせた住まいと暮らしの手作り技術を写真と文で紹介する。
昔からの日本のモノづくりは無駄なくゴミが出ないのはもちろん、最小の資源で最大の効果を発揮し、 手をかけることでいつまでも使えるよう作り込んでいた。
名もなき、その地の人々がそれぞれに魂をもって作り込み、今でも住まい、暮らしの中で生きている。

書評 / JDN(ジャパン・デザイン・ネット)

最近、にわかに天然素材に注目が集まっている。 建材ではシックハウスを防ぐなどの機能的な部分もあるが、 やはり天然素材には人工素材がかなわない何かが備わっている。 そしてそれらを加工する時にも機械でなく人の手が加わることで、温かみのある製品ができあがる。
本書は、ジャーナリスト・井上雅義さんが、雑誌『日経エコロジー』に連載していたものを中心にまとめられている。 地場産業として地域に根付いた製品の漆、備長炭、大谷石、 また今も受け継がれている技術である江戸指物、葛籠、江戸桶や裂織など私たちの生活に身近な製品や、 さらには伝統的な技術の結晶とも言える。
茅葺きや古民家まで、幅広く人の手仕事についてレポートされている。 それらがどのような環境の中で作られ、かたちとなっていくのかが一つ一つ丁寧に取材されている。 ものづくりの背景が分かり、読み物としても楽しめる一冊となっている。
出典:JDN(ジャパン・デザイン・ネット)


北欧の民家―”森で見つけた美しい生活”

■ワールド・ムック 649 写真・文 井上雅義
ワールドフォトプレス (2007/03)
ISBN-10: 4846526496
ISBN-13: 978-4846526498
発売日: 2007/03
価格:¥1400

森の民は木材の優れた特性を熟知していた

「北欧の民家」はスウェーデンとフィンランドの住宅やライフスタイルなどのテーマで取材した
ライフワークの一環です。
伝統農家から現代の建築家の自邸、エコロジカルハウス、新しい木造中層建築、
さらに近代建築の先駆者アルヴァ・アアルトとアスプルンドの建築を含む内容です。
取材対象は多岐にわたりますが、本書のテーマを絞るように努めました。
たとえば北欧特有の「森林文化」という視点から、
西欧近代の周縁に発生した"地域的なモダニズム"について探りたいという考えもありました。

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