夏らしく
※ 夏コミ無料配布ヴァージョンです。


天然酵母は手がかかる。まず安定して酵母を供給するために、自分で培地を用意して温度と湿度を徹底的に管理しないといけないし、それを使ったパン生地の発酵にもたっぷりと時間が掛かった。しかし、同じ条件で育てた酵母を使ったとしても、毎回同じような時間で発酵してくれるとは限らない。一回一回が勝負だった。
それでも天然酵母を使ってパンを焼くのにカッコいい理由などない。自分が毎日食べるならこっちがいい。ただ単にそれだけだった。市販のイースト菌で焼いたパンと天然酵母を使って焼いたパンでは明らかに味が違う。市販のイースト菌の培養に用いられる、ちょっとしたリン酸や窒素がパンの風味を損ねているのか。天然酵母がじっくりと時間を掛けてパン生地を発酵させることが風味を生んでいるのか。そういうことは町のただのパン屋には関係ないことなのだ。
ここに店を構えてもう一年になろうとしていた。新しく整えられた商業区画に今や新規店舗が隙間なく軒を連ね、道路は舗装され直し、街路樹が新たに植えられた。道を行きかう人たちの表情は好奇心に満ちて明るく清々しい。
こうやって街や人々に残した、東部内乱の深い爪痕は日に日に薄れていくのだろう。そして、人の営みの逞しさを自分の作った、棚に並んだパン越しの窓から見るのはいつだって感慨深かった。
見知った背の高い姿が車道の反対側にあった。ふと立ち止まって、咥え煙草をGパンのポケットから取り出した携帯灰皿に入れる。火を消す素振りがないからただの咥え煙草らしい。車が来ないことを確認して、その長い脚でたった数歩、軽やかに車道を越える。日射しに眩しそうに目を眇め、手で額を拭う。それだけで今日も真夏日だと教えた。
照りつける日射しが店内を薄暗くしていた。そのコントラストの強さが、一年中、同じ湿度と温度に保たれた店内で感じることができる夏だと言えた。俺にとって、汗はパンを焼くオーブンの前で流すものになって、もう20年が過ぎる。結婚適齢期を過ぎても結婚とは無縁だったが、自分の店を構えることができたのだから十分に満足している。

カラン。ドアに着いたベルがきっかり一回だけ音を立てる。入ってきた男に、店の女の子がいらっしゃいませと愛想よく声を掛けた。
「おう、ハボック少尉」
お得意様と呼ぶには来店頻度が足りないだろう。だが、覚えた顔だった。開店初日にふらりと店に入ってきた時、店の女の子が階級付きで声を掛けたのが印象に残っている。軍人というのは大抵、店のドアを力任せにぐわっと開いて、どすどすと店内に入ってくるものだった。うちの女の子にいらっしゃいませと声を掛けられて漸くここが基地内ではないことを思い出す。だから、音もなく入ってきたハボック少尉を、俺は軍人だと思わなかった。まあ、注意深く見れば、上はTシャツでも、下は確かにアーミーブルーのオーバースカートとズボンという軍服だったが…。軍人らしからぬ軍人に何となく興味を引かれて、店の女の子に知り合いなのかと尋ねると、逆に大いに驚かれ、「マスタング大佐の副官ですよ、ハボック少尉は」と、頬を染めて教えてくれた。
女の子の頬を染めたのは、決してハボック少尉ではあるまい。マスタング大佐がハンサムでモテモテだというのは東部では有名だった。なら、軍はもっとマスタング大佐を広報に使えばいいのに不思議に思うほど大佐の顔は知られていない。新聞に写真が載らないのだ。東方司令官なのに。――案外、噂は噂に過ぎないんじゃないか。そう多少なりの悪意をもって、その事実を受け止めていた。
マスタング大佐。この東部において最も有名な軍人の一人だろう。いや、東部のみならず、この国全土で言えるはずだ。東部内乱の英雄という名で、東部に深い爪痕を残した張本人である国家錬金術師。自分で壊しておいて、よくもまあ東部復興のための第一席である東方司令官を務められるものだと思っていた。
それも一年、この場所から変わりゆく街を見ていれば印象が変わる。有能であることは疑いようがなく、しかも東部に居を構えるものたちにとって実利的だった。東部の復興がここまで進んだのは間違いなくマスタング大佐の尽力によるだろう。有能で若い、将来有望な軍将校。つまり、顔が多少どうであれ、これでモテないはずはないのだ。

そんな有能な東方司令官の副官という、ハボック少尉はたまにふらっと俺の店に来て、甘くないパンと、甘いデニッシュと流行りのパンを1、2個買うのが定番だ。俺はピンと来たね。絶対、彼女にだ。忙しい日常の中で僅かな休日に、俺の店で彼女に甘い甘いパンを買っていくのだ。
「ハボック少尉、最近のオススメはコレだ。クロワッサンドーナツ。今、中央でブーム到来なんだぜ?」
「知ってる」
ハボック少尉が店に来れば、よく声を掛けてしまうから、もう慣れたもので返事はそっけない。それでも興味はあるのか、クロワッサンドーナツをトングで一個持ち上げて、トレーにはのせずに戻した。そして、その隣のクロワッサンアマンドを迷わずトレーにのせる。
「それはもう流行は去った。ハボック少尉の彼女は案外保守的なんだな。新しいものには手を出さない? むしろ、少尉が手を出させないとか?」
流行は去っても十分売れるから作ってるけど。
新商品が好きなのは圧倒的に女性なのだ。男の方はほとんど新しいものに挑戦しない。――食べ物に関しては…。
「これはもう定番だろう? つうか、定番にしてくれ」
ハボック少尉の彼女は、クロワッサンドーナツより、クロワッサンアマンドの方が好きらしい。つまり、新しいものより、食べなれたもので満足できるタイプか。
店の女の子には歯牙にも掛けられないが、ハボック少尉だって背は高いし、十分ハンサムだろう。どんな彼女なのか気になる。店に一緒に買いに来いよと何回か言ったことがあるが、彼女の話題にはいつもノリが悪かった。
「あー、セントラルで見たんだけど、クロワッサンにチョコ掛けしてた。今度、それを作ってくれ。まだ中央でも表だって流行ってないからイーストにないんだ」
まるで彼女の話題を終わらせるように、そんなことを言う。だが、俺にとっては無視できる話ではなくて、ついハボック少尉の思惑通り、新商品に話題が移ってまった。
俺の店のパンは天然酵母を使っている。手間が掛かる分、一日の生産量がどうしても限られてしまうから、パン一個分の値段にその分が上乗せされてしまうのだ。これは十分に由々しき問題だった。もしここがセントラルならあまり悩みはしなかった。きっと毎日食べるパンがちょっとくらい高くとも悩まない富裕層がそれなりにいるから。しかし、ここは東部。東部内乱を経て、1センズでも安いパンの方が素敵なことなのだ。さて、どうしたものか。俺は金儲けがしたいわけではない。それなりに生活できているこの現状を維持できれば十分なのだ。――答えは、あっさりと出る。東部は軍人が多い。ターゲット層に軍人は外せないのだ。イースト菌と天然酵母の違いとか、味の違いとかを分かって欲しいなんていうのは単なるパン屋のエゴだと思っている。俺は拘ってパンを作る。だが、それを買いに来る客にまで強要はしない。
従業員にちょっとかわいい女の子を、他よりちょっと高めの給与で雇って、フリルの付いたエプロンを着て頂く。香ばしい焼きたてのパンの香りが漂う店の前から、窓越しにそんなかわいい女の子を見てしまえば、むさ苦しい軍人たちはふらふらと店の中に入ってしまうに違いない。そして、店の入り口に置いたトレーとトングを女の子にどうぞと手渡されれば一個も買わずして出ることはできない。そのパンが他の店よりちょっとばかり高くとも。「ここのパン、高いよな。店員の女の子がかわいいからついうっかり入って買うはめになるけど…」それでいい。
だからこそ情報収集は欠かさない。セントラルで流行りのパンを積極的に取り入れるし、人気のキャラクターを模したパンだって良く作る。そういう分かりやすいのが軍人さんの売れ筋だから。
ハボック少尉はそれを知っていて、こういうネタをよく持ってくる。クロワッサンアマンドもハボック少尉が中央に行ったときに買って持ってきて、こういうの東部でも買えるようにしてくれと言ったのだ。彼女に食べさせたいために。
「チョコクロワッサン?」
チョコの入ったクロワッサンならもう既にある。しかし話を聞くとそうではないらしい。クロワッサン自体をチョコでコーティングする…。
「チョコクロワッサンは、焼き立てはチョコが熱すぎて良くない」
ほら、これでどうして彼女がいないなんて思うんだ。
「彼女のためって言うなら、作ってやってもいいけど?」
そんで、そんなに大切にしている彼女を連れて来て、俺の下世話な好奇心を満たせよ。
「――、…………」
珍しくハボック少尉が口ごもった。
「じゃ、彼女に…」
ハボック少尉の彼女を見る日は近いに違いない。いつもより丸まった猫背気味な背中を見送った。

   +++

自分の部屋を出るときに煙草に火を付けた。これを吸いきってあのパン屋に入る。目的を定めて、いくつかの道のりを頭の中で展開する。でも、夕飯のアイデアが欲しくて街中を少しうろついたら、予定より早々に吸いきってしまった。二本目は火を付けず咥えた。ヘビースモーカーなりのマナーだ。店の大小に関わりなく、こだわりの強い飲食店に煙草の煙をまき散らかしてはいけない。喫煙者の地位をこれ以上地に落とさないための配慮だ。細やかすぎて概ね無視される程度の配慮だけど、こういうのが塵も積もって意味をなすと思っている。正に草の根運動だ。
パン屋の手前で咥え煙草すら携帯灰皿にしまって、店のドアを開けた。売り場は小さい店だけど、その奥に広い工房がある。計算された店だった。狭い売り場にふりふりのエプロンを着たかわいい女の子がいて、接客してくれる。にこっと笑って、いらっしゃいませと言われて、何も買わないでこの店を出て行ける男はいないだろう。その上、こういう女の子が作ってくれたパンを自分は買っているんだろうな、という気分にさせて、他の店より値段が高くとも、それも当然だと思わせる…。
でも実はそのパンを作っているのは、オレより年上のむさ苦しい男だった。偶々、店頭に焼きたてのパンを並べている時に出くわしてしまった。極力、店頭に出てこないようにしているんだろう。オレと目が合って、しまったとばかりに目を見開いていた。
「おう、ハボック少尉」
今は随分気さくに声を掛けられる。オレの馴染みのパン屋と言えばこの店になるのだろう。

「オススメはコレだ。クロワッサンドーナツ。今、中央でブーム到来なんだぜ?」
天然酵母が売りの硬派なパン屋だけど、店主は軟派だ。常に流行りのパンやお菓子にアンテナを張って、目新しいものを店頭に並べることを余念がない。
「知ってる」
でも、この手の情報で遅れを取ったことは今までなかった。中央の元情報部将校がマメに現物も持って東方司令部に来るし、直属の上司が好んで情報収集しているから。
クロワッサンドーナツも、中央の情報誌にはじめて掲載されたタイミングで、ヒューズ中佐が大量に持ってきた。司令室中が歓声を上げる。もちろん大佐も。そして、その人は部内のみんなに勧められて、それを一番に箱の中から取らせてもらって、嬉しそうに一口食べて、首を傾げた。そして、それをじっと不思議そうに見る。自分が想像したものと大分違ったんだろうと、誰もが思った。
大佐はクロワッサンのサクっとした食感が好きなんだと思う。そんで、ドーナツはふわっとしたのか、ラードで揚げてカリッとしたのが良いのだ。あの人がイメージしていた、クロワッサンドーナツは、油で揚げてよりサクサクっとなってカリカリになったものだった。だから、中央から時間を掛けて運ばれた本物の、クロワッサンの層がそれぞれ油でコーティングされ、バターの香りが飛んでしまって、重量感が増して硬くなり、食べ応えが溜まらないっていうこれはイメージ外だったのだ。大佐はリスのように頬を膨らませながら漸く一個食べ終わると、二つ目に手を出すことはなかった。
「うん。クロワッサンは別に油で揚げる必要はないな」
そう結論に達していたようだった。全くもって同感だ。
しかし、クロワッサンドーナツの人気は半年経った今も衰えず健在だ。大佐は思っている。自分が食べていないだけで本当は美味しいクロワッサンドーナツがあるんじゃないかと。ヒューズ中佐が持って来たクロワッサンドーナツはまがい物で、私を騙しているんではないかと。
オレ的には、大佐もいよいよ単に脂っこいものが辛いお年頃になったというだけだと思う。そして、お年頃のお嬢さんたちは軽々と食べているという事実。
さて、ここの店のクロワッサンドーナツはどんなもんか。ちょっとトングで持ち上げて見れば十分重かった。ならこれは、本場のクロワッサンドーナツだ。
あの人の好みはこっち。隣のクロワッサンアマンドをトレーにのせる。以前中央の出張で、行き会ったクロワッサンアマンド。一目で絶対大佐の好みのドンピシャだと思った。でも、当時、不思議なほどブームにならなかった。だからもちろん東部でもマネするようなパン屋はなく、この軟派は店主がいるパン屋で作ってくれと頼んだことがあった。
「それはもう流行は去った。ハボック少尉の彼女は案外保守的なんだな。新しいものには手を出さない? むしろ、少尉が手を出させないとか?」
パン屋が失礼なことを言った。色々。
「これはもう定番だろう? つうか、定番にしてくれ」
これがなくなったら来ないつうの。クロワッサンアマンド。クロワッサンオザマンド、クロワッサンダマンド…。呼び名は色々あるけど、クロワッサンをシロップでべちゃべちゃにしてアーモンドクリームをのっけて焼いたという大枠はどこも一緒だ。このパンは。クロワッサンのサクサク感はなくとも、とにかく甘い。でも、これの良さは潰してあるとこにある。食べこぼしが少なく、ただのクロワッサンのようにぼろぼろと辺りを汚さないのだ。
「あー、セントラルで見たんだけど、クロワッサンにチョコ掛けしてた。今度、それを作ってくれ。まだ中央でも表だって流行ってないからイーストにないんだ」
「チョコクロワッサン?」
クロワッサンに板チョコを挟んで生地と共に焼く、チョコクロワッサン。でもそれは危険な食べ物だ。
「チョコクロワッサンは、焼き立てはチョコが熱すぎて良くない」
あの人はそれを嬉しそうに頬張り、何度口の中を火傷していたことか。そして、クロワッサンの食べカスを辺り一面に巻き散らかして、ホークアイ中尉の怒りを買った。
オレが言っているのはクロワッサン全体をチョコ掛けしたもの。食べるときに手がチョコでべたべたになって、すごく汚れそうだけど、あの人の場合、チョコ掛けしてあるから食べカスが出ないように注意して食べるようになるかもしれない、教育的パンの役目を担ってくれる可能性がある。
「彼女のためって言うなら、作ってやってもいいけど?」
「――、…………」
彼女。彼女っていうのは例えば休日を一緒に過ごしたり、片方が休みと時は相手の部屋を掃除したりご飯を作って帰りを待って、お風呂が先? 食事が先? それとも私? っていう彼女のことか。――まあ、つまり、どっちがカノジョでどっちがカレシかという問題を先送りすれば、オレにも広い意味で彼女はいる。
「じゃ、彼女に…」
そう口に出した途端、落ち込むのはどうしてだろう。
店のかわいい女の子に見送られてドアを開ける。カラン。店に入ったときと同じ、ドアに着いたベルを鳴らして外に出る。今日も暑かった。じりじりと肌を焼く日射し。照り返しの眩しさに思わず目を眇めた。

久しぶりの休日だった。予定があるわけでもないから別に休日でなくとも良かったのに、連続勤務日数を更新しているという理由だけで、同じように連続勤務日数を更新している人によって、半強制的に休日にされてしまった。
夏は軽犯罪が多発する。暑い日が続けば、出動の機会はめまぐるしいほどに増える。その出動の一翼を担う隊の長なのに休むのは気が引けた。
「こうも暑い日が続けば、どうこうする元気も失せるさ。この私だって、こんなクソ暑い中、外をふらふらする気がないんだからな」
まだいくらか涼しい室内にいた方がマシだ。そう説得力のあることを言う。確かに、暑い日が続けば犯罪は増加するけど、暑い日が長く続くと犯罪件数が頭打ちになるのも事実だった。大佐は夏の忙しさがこの辺りで一段落すると判断したのだ。
「ウチは仕事に一段落することはないからな。この辺りで一旦休みに入ろう。ハボック、お前から順番に」
大佐の宣言に司令室内から大きな歓声が上がった。そして、オレは別に休みなんかいらないと言い損ね、そんなことが言える雰囲気は抹殺されたのだった。
「アンタもふらふら出歩くようなことはしないで下さいよ。脱水で倒れちまうことなんてないように」
オレがいないからって、ここぞとばかりにさぼったりしないで下さいよ。そう小言を漏らした。

フギャー! 路地裏から猫の声。この界隈でよく見かけるブチ猫だった。大きな黒いブチが鼻を中心とした顔の中央にあるのが印象的なヤツ。
「どうした?」
何かにじゃれている。虫か? つい声を掛けてしまうと、猫がはっとして身を屈めてこっちを見た瞬間、猫の手元から何かが去っていった。猫もそれを目で追ってから、もう一度オレを見て、にゃー。明らかに非難の声。
「申し訳ない」
つい、うっかりして声を掛けてしまった。でっかいネコの世話を焼いている手前、つい猫の動向が気になるんだよ。獲物を逃がしてしまって申し訳ない。
気持ちを込めて謝ってみたが、猫に通じたかどうか。オレに背を向けて去っていく。
「今日も暑いから涼しいところにいた方がいいぞ」
余計なお世話とはいえ言わずにはいられない自分に苦笑する。

向かうは大佐んち。狭い自分の部屋の掃除が終わってしまうと、やることがなくなって当たり前のように足が向いてしまう。夕飯の材料を市場で買いこんで、明日の朝飯用のパンも買って、合鍵を使って当たり前のように入る。
「休日に掃除をさせるために合鍵を預けているわけじゃないんだぞ」
大佐に良くそう言われた。最近は思い出したように時々言われるだけになった。根本的に無趣味で、降って湧いたような休みをどうしていいか分からないから、ここに来て、手持無沙汰の時間を適当に身体を動かして過ごす。それがたまたま掃除であり草取りであり料理であった。ということが理解されて、もう好きにしたらいいと思われている。
自分のテリトリーになっているキッチンとパトラリーに買ってきた食材を置いて、早速掃除に取り掛かった。今日も暑いから、水回りの掃除を中心に。バス回りのタイルの目地を念入りにたわしで擦ったり、薄地のカーテンを洗ったり。この天気の良さなら数時間で乾くはずだ。
乱雑にあちこちに散らばる本を適当に書斎に運び込んで、本棚に押し込む。エルリック兄弟なら、勝手に本を片付けたら怒るだろう。「何がどこにあったか、オレは覚えている! これはこれで片付いていたんだ!」とか言って。あの人も当初はそんなことを言っていたが、床に散らばった本の中から目的の本を探すより、本棚から探した方が早くて楽なことを知ったらしい。今は片付けて当然と言う顔でオレを見ることがある。
防犯の理由からも庭を草ぼうぼうにはしておけない。不定期だが業者を入れ、管理をしている。定期的に頻回だとこれも防犯上良くないから、目立つ雑草はこまめに抜いていた。田舎育ちだから土いじりは苦にならない。内庭にトマトの苗をこっそり植えたら、それを目聡く見つけた大佐に好評だった。もっとなんか植えとけ。そうまで言われると軍高官が庭で家庭菜園をしているのはどうだろうかと思いもするけど、大佐のリクエストに応えて、キュウリとなすとピーマンも植えてみた。そして、久々に見れば、もう十分に収穫できるものが実っている。明日の朝、一緒に採って食べさせてやろう。
埃っぽい室内に窓を開けて風を通すだけで、湿度が変わる。暑いけど、不快さは一気に軽減した。掃除機を念入りに掛ける。あの人が室内を裸足で歩きまわってもいいように。突然床の上ではじまってもいいように。今日はどこでしようか。そんなことを思い始めると、身体の内側に熱がこもって、くすぐったくなって、一人で声を出して笑った。
夕飯は白ワインをキンキンに冷やして、オリーブオイルとバルサミコ酢を食べることにした。野菜とエビは蒸して、白身魚は焼いて、ホルモンのトマト煮にオリーブオイルをたっぷり掛けるのだ。
日が傾き、夕焼けが空を彩る。
街に変化はなく、オレにまで呼び出しが掛からなかったってことを考えると、今日は大きな事件もなく過ぎたのだろう。ならば大佐もそう遅くならずに帰ってくる。今日はもうやろうと思っていたことを一通り終えて、大佐の帰りを待つだけだった。キッチンで。リビングで…。手持ち無沙汰過ぎて、結局、玄関前の階段に座る。じっと耳を澄まして、ドアを見て。まるで犬のようだと思う。我ながら。
あの人のことを考えて、じっと座っていると、水場で立ち回っていたときには感じなかった暑さが込み上がる。滲むような汗が肌にまとわりつく。でもその感覚は嫌いなものじゃなかった。滝のような汗が肌を流れていくのも悪くない。それが気持ち悪いから夏が嫌なんじゃないかと言われても、こういうのはもう理屈じゃないと思う。冬の冷気が服の裾から入り込んで、鳥肌が立った肌が服に擦れるのが溜まらなく嫌いだと、オレが思うように。
夏の照りつける太陽の下で大量に汗をかいた後の爽快感は夏にしか得られない。得難いものなのだ。Tシャツの裾を引っ張って、こめかみを流れた汗を拭う。普段からハンカチを持ち歩くことはないから、こんなもんだ。暑い。暑い。でも暑いのは嫌いじゃない。
ポケットが膨らんでいた。白い布がちらりと見える。まさかハンカチか。自分でそんなものを用意した記憶がなくて、引っ張り出してみると、白い小さな綿の布だった。逆三角形の…。大佐の昨日のパンツ。リネン室で洗濯したとき、つい手がいたずらを働いてしまったんだろう。そんなことをした記憶はなかったけど、これをできるのは恐らくこの国ではオレだけだから、きっとオレの仕業だろう。うん。いい仕事をする。冬のパンツより夏のパンツの方がきっと汗が染み込んでいいパンツだ。オレにとって。
茹だるように暑い部屋で、汗と精液でぬるぬるでべとべとなセックスがしたい。あの人は身体の中は燃えるように熱いのに、汗の浮かんだ肌は少しひやりとして気持ちがいい。背中を流れ落ちる汗をかかせて、その汗が背筋を辿る感触にまで腰を震わせるのがいい。あの人を上に乗せて、下からたくさん腰を突き上げて、涙を浮かべて乱れるあの人の汗を浴びたい。
大佐のパンツで扱く。白いパンツが先走りで湿って行く。熱い。今、あの人がこの玄関を開けて入ってきたら。オレを見て驚いてくれるだろうか。そしたらオレはあの人を玄関でそのまま押し倒してしまうに違いない。夏場でも着崩さないでいる軍服を乱して、着衣のまま。ズボンだけ下して。あの黒い頭を押さえつけて、強引にキスをしよう。強姦さながらにパンツは脱がさないで、脇から突き進むのだ。――結局、玄関はピクリともしないまま、オレは達して、大佐のパンツに大量に吐き出した。

   +++

暑い。どうして一日の大半を執務室で過ごす私がこんな分厚い布でできた軍服を着ないとならないのか。軍服が分厚い布で出来ていることに文句を言いたいわけではない。防災上や緊急時にその分厚さが必要であることは十分に分かっている。私が言いたいのは、その必要性が皆無である時用の、着心地を重視した軍服があってもいいだろうと言うことだ。
軍上部を占めるじじいどももこの暑さの中で同じものを着ているのか。ああ、そうしたらあのくそじじいどもは夏場で確実に数人は脱水で昇天だ。なら、我慢し甲斐もある。だが、そんなニュースは一向に流れてこない。――当然だ。奴らがセントラルヒーティングの調節権を持っているのだから。分厚い軍服を着て快適なようにどこまでも温度調節をさせる。空調で賄えない時はきっと国家錬金術師すら動員するに違いない。そう言えば、自分も国家錬金術師だった。気体の運動量を調節して、根本的に気温を下げてしまえばいいのではないか。そうしたら快適な夏が待っている…。
目の前の書類を裏返し、思いつくままに錬成陣を書いてみた。その傍から、汗で字が滲む。あああああ…。暑い。
「大佐、遊んでいるなら、もう帰って結構ですよ」
その眼差しが冷ややかで気持ちが良い。ホークアイ。君もこんな暑苦しい私を見ていたらうんざりすることだろう。申し訳なく思うが、日射しが出ている内は暑いから司令室から出たくないんだ。せめて日が沈むまで待って。
ホークアイ中尉のため息すら冷ややかだった。ああ、そのまま凍りついてしまいたい。
「もう定刻を過ぎました。こんな平和な日に大佐のわがままで運転手を後数時間拘束するのはかわいそうなので帰って構わないと伝えますよ。大佐は適当に残っているハボック隊のものにでも頼んで帰って下さい。面倒だからと言って、一人で歩いて帰ったら、ハボック隊全員に呼び出しを掛けて始末書を書かせますからね」
では、私も帰ります。その裏面に落書きした書類はエドワード君の査定のレポートだと思いますよ。そう言って、踵を返す。ああ、この司令室の唯一にして絶対の冷たい存在が去っていく。一分の隙もなく軍服を着込んだ、背筋の伸びた美しい後ろ姿が、冷たい余韻を残した。
ハボック隊を人質に面倒を起こすなと釘を刺されてしまった。彼女が去って、確実に室内が3度上昇した気持ちになった。落書きは見なかったことにする。鋼ののレポートならこれぐらい構わないだろうから。
あー、ハボック隊。ヤツらはホークアイ中尉に呼び出しを掛けられたら、むしろ喜んで出てくるだろう。その隊長のハボックを筆頭にして。さて、隊長不在で今日は修練に励んでいただろう隊だが、だれが残っているだろうか。心当たりの幾つかに内線を掛ける。そうこうしている内に漸く日の入りを迎えていた。



誰もいないはずの自宅に明かりが灯っている。もう驚くことはない。ハボックが休みの時は大概ここに来て家中を掃除し、私の帰りを待っていることが常だった。
今日の運転手を務めてくれたハボック隊の軍曹が後部座席のドアを開ける。ここで良い。そう言えば、察し良く敬礼をする。隊長がここにいることを十分良く把握していた。
程なくして、玄関が内側から開く。
「お帰りなさい、大佐」
笑顔と共に。マニュアルを全く無視した行為だったが、ハボックの場合、マニュアル以上の安全性と着実性を買われて今や不問になっていた。こいつが無防備にドアを開けるなら、危険はないのだろう、と。私がハボックに迎い入れられ、家に入るのを見てから軍曹が車両を発車させた。
ハボックが掃除をして、空気を流したこの家は昨日に比べて格段と快適だ。室温は司令部とも対して変わらないのだろうが、湿度が違うんだろう。暑くとも不快感が断然に違った。掃除に、庭いじりに夕食。埃っぽさがなくなり、散らばった本は片づけられている。オリーブオイルとガーリックの香りがキッチンから漂う。うん。腹減った。今日も一日暑かった。うんざりした。椅子に座っているだけで汗が滲んで、体力がじわじわと消耗していくんだ。ホークアイの冷ややかな視線がいつにもまして心地良かったけれど、彼女の不快指数をこれ以上高めるのは双方にとって計り知れない損失を被ることになるだろう。明日からは別なもので涼をとらなくてはならない。
今日の夕食は何だろうと、鼻を眇めた。
一歩。玄関を越えて。一歩進む。この暑くて重い上着とオーバースカートを脱ぎ捨てる。それだけで解放感に見舞われた。ワイシャツと首元と袖のボタンも外せば格段に涼しさがあった。明日はアンダーにTシャツでも着ようか。いや、司令室内にいる程度なら上着とオーバースカートを脱いで、ワイシャツでいても良いかもしれない。このくらいならホークアイ中尉も黙殺しれくれるだろう。でも、今はもっと涼しいものに着替えたい。冷たいバスにでも先に入ろうか。一歩。階段にさし当たって、ふとそこに湿度の高い熱が籠っていた。青いにおいが残る、熱が。熱い。ハボックのにおい。ハボックの熱。その熱源は後ろにいる。気付けば濃厚な臭気をまき散らかして、無言でじっと私を見ていた。追い立てる。ハボックが発情していた。
私は腹が減っているんだ。夕食は何か、聞きたいのに。咽喉が干上がったように声が出ない。ハボックの熱に中てられていた。暑さのせいで油断した、緩んだところに押し寄せる。ハボックの視線が上着を脱いだ背中から外れない。汗が滲み出す…。
無言のまま、視線に追い立てられて、諾々と寝室に入る。これから何が始まるか、分かっていて。後ろにはハボックが当然の如く付いてくる。寝室でなくとも、何かの切欠があれば始まってしまうだろう行為だ。ならば、私はベッドがいい。そう自分に言い聞かせるのは、諦めの境地に至ったからなどではない。貪るために。中てられて灯った熱であろうが、貪るのはお前ではなく、私であることを知らしめるために。
鼓動が速くなっていくのは、明らかに飽食に対する期待感だ。ハボックのにおいに目眩に似た酩酊感に襲われる。

「――ハボック、近い」
「はい」
ハボックはもう自分の欲求に忠実だった。ベッドを前に背部から身体を摺り寄せ、熱い息で首筋を震わせた。
「嗅ぐな」
「はい」
そのまま、耳の後ろに鼻先を埋めて、呼吸が速くなっている。性急に抱きしめられた。腕が前に回って、ワイシャツの上から撫で回される。指先が熱い。
「ハボック、これじゃ着替えられない」
「はい」
ハボックの手がそのまま下に移動して、ズボンのボタンを外す。
「ハボック、そうじゃない」
背中からハボックの鼓動が響いていた。速い。どうしてこんなに言葉にしないで、もう待てないと伝えられるのか。私が身体の向きを直すことすら待てないのか。ハボックの手を押し留める。私だって、お前を脱がせたい。お前の日に焼けた素肌が見たい。変な日焼けの跡ができているんだろう?
「はい、分かってます…」
何が分かったって言うのか。ハボックは片腕で私を抱えたま、もう片腕で器用にズボンとパンツも一緒に下ろして、そのままベッドに倒れ込んだ。
望んでいた解放感が、望まぬ形で訪れる。ズボンとパンツと一緒に靴下も軍靴も一緒くたに脱がされて、ベッドから遠くに投げ捨てられる。何もそんなに力いっぱい投げる必要はあるまいに。その無意味な勢いがハボックのテンションを教えていた。ハボックの体重が容赦なくずしりと背後から掛かって、身動きが取れない。息苦しさと相まって、身じろぐと、尻がハボックの股間を擦った。もうそこは熱く滾っている。
「ハボック」
そのまま抑え込まれて、ワイシャツの隙間から手を差しいれられて良いように素肌を撫で回される。尻に小刻みに押し付けられる股間。全身を擦りつけるように押し付けられて、首から耳に舌を這わせて、耳の中に舌を入れられる。くり返し抜き差しされて、唾液が耳の奥で反響する。身体が大きく震えた。不本意にも。
「――、っ、ハ、ボック…」
「はい」
今度は意思疎通が辛うじて通じたようで、私のワイシャツを脱がすと、ハボックもそのTシャツとGパンを脱いでまた伸し掛かる。今度は素肌の感触が心地よかった。
さらっとした汗が肌と肌を密着させる。夏の不快指数をうなぎ上りにする行為の代表的な一つと言えるのに、ハボックの高めの熱がじんわりと伝わり、汗が滲むことすら心地よい。背筋が震えるほどに。

尻を分け拡げられて、外気がその狭間を撫でる。一瞬、ひやりとして、ぬちゃっと、もうぬるついている先端が擦りつけられた。
もうそこで感じることを知っている。期待感にくっと力が入った。これはもう脊髄反射だ。だがそれを意識してしまえば、脳が更なる快感を伝えようとする。自分の中にある、僅かな、だが確かに存在する被虐的な何かが嬉しそうに身震いする。押さえつけられて、自分ではもうどうにもできないような快楽で蹂躙されるのを待っている。自分がダメな人間であることを自覚するのはどうしてこんなに興奮をもたらすのか。ハボックの体重がずしりと重い。普段は体重を掛けないように支えていることをこんな時に知る。

首を辿り、そのまま顎を越えて、唇を撫でられる。電気が走ったように全身が痺れる。たったそれだけで。もっと。そう言う前に節の高い長い指が強引に口の中に入ってくる。今日、この休日に私の家を掃除し、布団を干し、草むしりをし夕食を作った指が。探るように、撫で回す。何かが潜んでいないかとばかりの熱心さで。口蓋を指の腹で撫でられれば、背筋から腰の奥に震えが走って、熱が高ぶる。舌の形を確かめるように指の爪で辿られれば唾液が溢れ、溢れる。パリッと糊のきいたシーツが湿って、顔を濡らす。指の数を増やされて、根元まで差し込まれると、咽喉がぐっとえずいて締り、それが引き抜かれると、舌が一緒に引き出された。くり返しくり返し行われれば、もう身体に力が入らなくなって、次第に骨と言う骨が融けていく。零れるように溢れて行く。まだ触ってもいないのに、もう張り詰めて、だらしなく涎を零している。
膝を折り曲げられて、ハボックの太腿に乗るように這わせられる。尻に擦りつけられる、勢いは変わらぬまま。もう入れて欲しいと疼く。解れてもいない括約筋が必死に潤んでいる。
「ハハボックっ…」
押し付けられる切っ先を噛み締めて。ぐっと力任せに押し入ってこようとするのを、名前を呼んで止めさせる。まだこの熱で熟んだままでいたい。
「オレの、舐めたいの?」
腰に込めた力はそのままに、耳に熱い息がかかる。
「…………」
多分。まだメインを食べたい気分じゃない。まだ先にとっておきたいんだ。頷くと、ハボックががばっと身体を起こし、脇に手を差し込んで力任せにベッドの上に座らせた。自分はいそいそと向かいに胡坐をかいて座る。その中央に高々とそびえ立たせて。青い目がキラキラと輝いていた。
「はい、どうぞ」
犬のようにその目に愛情を乗せて。期待に見えない尻尾をはち切れんばかりに振って。自分の手で聳える自慢のイチモツの根元を押さえて、フェラ待つ。愛しい生き物だ。どうしてこんなにもこいつは私の、自覚する嗜虐的な部分を刺激するのだろう。噛みちぎってやりたくて溜まらなくなる。
発情した猫のように腰を高く上げて、四つん這いで顔を股間に近づける。髪よりもやや濃いブロンド。ブロンドの神秘をハボックの下生えを見る度に思う。ハボックのブロンドは、髪は根元の方が色がやや濃く、毛先に向かうと明るくなる。長めの髪を一本毟ってもグラデーションがかかっている訳ではないのに、これが束になるとグラデーションがかかっているように見えるのだ。短く刈り上げられた部分はやや濃く、やや伸びた前髪付近は明るめのブロンドに。「別に染めたわけじゃないんスけどね」とハボック。そして、下生えはグラデーションにはならない、やや濃いめのブロンド。硬そうに見えても決してそんなことはない。少しふわっとしている感触は髪も下生えも同じ。
「あ、あの、そんなに見てないで…」
先に進めと言うのか。依然、根元を押さえている手はより力が籠っていた。見られるだけで。ふふふ。息が掛かっただけで、先走りをまた溢れさせる。鈴口に舌を伸ばして、ぐりぐりと抉るように擦ると、手だけでなく腹筋にもぐっと力が入る。
ハボック隊は良く演習場を上半身裸で走っているから、腰にはっきりと日焼けの境界線があると思っていたのに。期待した日焼けの跡はなかった。まんべんなく小麦色に焼けた肌に、濃い目のブロンドが茂り、そそり立つ大木。牧歌的だと思う。張り詰めた瑞々しい肌に浮かぶ玉の汗を見れば、自分が乾いていると思い出す。
猛るイチモツにまず頬ずりをするのは、動物のマーキングに近い。これは自分のだとにおいを付ける感覚だと思う。
亀頭の滑々した感触に、太い血管がいくつも浮かぶ竿は弾力があり、その下に実るタマはざらりと舌を刺激する。奥深く咽頭にまで咥えこむのは、このハボックのにおいが直接鼻腔を刺激するからだ。尻の穴に深く舌を差して、内壁を直接舐めてやりたい。きっとそんなことをされると想像すらしたことがないであろうハボック。驚きに、まず身体の機能を全て停止してしまうだろう。――それをする前に、堪え性のない私は自分の尻を、ハボックの視線に晒し、自分の快楽をねだる。膝を立てて、腰を揺らすと、簡単にハボックの指が伸びてそこを撫で回す。括約筋を掻き分けて入ってきた指が、直腸をぐるりとかき回した。
「っん!」
その指をぎゅっと締め付ければ、尻に向かう指が増える。自分の根元を押さえていた手まで。入れ違いに今度は私がそこを押さえて、竿で唇を刺激する。顔を上下させれば唇が竿を扱いで、捲れ内側も外側も刺激した。ハボックの指も同じリズムで抜き差しをくり返す。咽頭まで咥えて、えずくように亀頭を締め付け、苦しくなるほど吸い上げた。

※例によって中途半端なとこで終了…。
これをインテまでに書き上げたのです。それは現在コピー本として通販しています。
2014/09/08
夏コミの無料配布本より。
久々のR18です。気合いがちょっと空回り??
でも、書いていてちょー楽しい。