ENGAGEMENT
それは慌しい日常の最中のことだった。もちろん、私自身が慌しかったということもあったけれど、それ以上に街の中、国中が慌しさを湛えていた。そう、まだ長年続いた東部内乱が終結して半年も経っていない。内乱で疲弊した国力は四方を囲む他国にとって絶好の好機に目に映るだろう。まるでそれを隠すかのように、この国は連日連夜華やかなパーティを繰り返した。数々のオペラ座では毎夜仮面舞踏会が開かれ、貴族の大邸宅では常に豪奢な馬車や高級車が列を成す。
軍閥の家に生まれた私がこの騒ぎから逃れるすべはなかった。ただこの狂乱から目を逸らさず、耳をふさがず、最も豪華なドレスを着て、他国の高官に私の最も華やかな笑顔を振りまくだけだった。この国は内乱ぐらいで揺らぎはしないと思わせるために。
「――とんだ、茶番だわ…」
昨日着たドレスはもう2度と袖を通すことはない。使い捨ての高価なドレスはまるで国家錬金術師のようで、そのドレスの成れの果てを想像する気は起きなかった。
鏡の中の私は疲れて果ててまるで老婆のように見えた。今日も自然に化粧が濃くなっていく。笑顔を浮かべれば、化粧がよれてしまうほどに。そんな自分の顔があまりに滑稽で、思わず笑ってしまった。――途端に、涙がこぼれて厚く引いたアイラインを溶かした。
「――変な顔…」
叫び出したかった。でも、ここで我を忘れることはできない。私は私なりに最善を尽くさなくてはならなかった。

そのとき、家人が来客を告げ、ドアをノックする。
私が答える前にその客人はするりと部屋の中に入って来てしまった。その無礼な行動も、その笑顔1つで許せてしまえるお得な人。今日も悪びれない笑顔が顔に浮かんでいて、私もつられるように笑顔が浮かんだ。内乱終結直前に負った大怪我でずっと入院していて、やっと先月退院を果たしたこの人は、軍内での新たなポストが未だ決まらず飼い殺し状態が続いていた。ヒマで何をするでもない日常をふらふらと華やかなパーティをハシゴして歩き、数々の場所に浮名をばら撒きながら。
「ロイくん……」
私の、結婚前提な男の親友は家人に信頼が厚かった。着替え途中の適齢期の娘の部屋に2人きりにさせてもらえるほど。家人はドアを閉め、去っていった。

ロイは鏡台の前に座る私の前に膝を付くと、ハンカチーフで私の分厚い化粧をきれいさっぱり拭い取っり、顔面を揉み解す。
「リンパマッサージと言うそうだ」
そして、たっぷりのクレンジング剤でもう一度化粧を落とされてから、たっぷりの化粧水を施された。乾いた肌に浸透していくように、心が潤っていく。
内乱から帰ってきたロイは静かに笑みをたたえていることが多くなった。そんな顔で見知らぬ無数の取り巻きに囲まれているロイは私の知らない人に見えて悲しかった。
また、涙がこぼれた。すると、ロイがぎゅっと頬を横に摘む。
「――い、い、ちゃい、わ、よ…!」
途端にロイは私の頬から手を離して、腹を抱えて笑い出す。
「何よ! そんなに笑わなくても良いじゃない!」
「あははははは! あははははは! 不細工だな!!」
その聞き捨てならない言葉に立ち上がり、バカ笑いを続けるロイの胸元をぐっと掴みあげた。それでも、ロイは笑い続ける。
「パーティ続きで情緒不安定なだけよ! 笑うな!」
「あははははは! あはははははっ!」
それでも、笑い止まないロイにつられて、ついには私も笑いが込みあがってきた。
「――ふふふふふ、ふふふふふふっ!!」
そのまま、2人して床に転がって笑った。何が面白いと言うわけじゃなく、ただ競い合うように自棄になって笑った。

「もう、こんな茶番は終わる。グレイシア。ヒューズの奮闘が実を結びそうだよ」
床に大の字になったまま、ロイは突然そう言った。マースは情報将校として、かつてないほど忙しい時間を送っていた。内乱から帰ってきたときよりも、まるで別人と思えるほどに、ずっと彼の雰囲気は荒んでしまっていた。
それを悲しいとは思わないけれど、自分にできることが連日パーティに出て笑うというささやか過ぎることだけで、自分にいらだっていたことは確かだった。
「きっと、奴は君にプロポーズするはずだ」
この水面下で行われている苛烈な情報戦で勝利を治めた功労者が軍閥の娘と結婚すれば、階級がまた上がる。かつて例がないほどのスピードで中佐に昇進だろう。
マースのそういう計算高さは私には当然のことだった。昇格の手段すらままならない人間を伴侶として迎える気はなかった。一族の中で出世の糸口すら見出せない伴侶をもつ惨めさは幼い頃からよく知っている。――愛だけでは物足りない欲深い女であることに、私は恥じたりしない。
「じゃあ、やっとヒューズ中佐ね。あなたと同じだわ」
「癪に障ることにな」
内乱に乗じた多国間問題が終わる。そうすれば、この床に転がっている人の新しいポストもいよいよ決定することになるだろう。東部に左遷されるという噂が今、一番有力視されている。遠くに行ってしまう…。また、涙が込みあがってきた。
ロイが不意に立ち上がって、鏡台の上から化粧品を持ってきて床に広げ、私を手招きした。どうやら化粧をしてくれる気らしい。興味を引かれて、そろそろと近寄っていくと、きちっとベースメイク用品を手に取られていた。肌が荒れていることを指摘されているような気がして、むっとしたら、またロイが声を立てて笑った。

また、虚栄に満ちた夜が近づいて来ている。





曇天の日差し、もしくは星の光すら届かないシャンデリアの下。そんなものに慣れきってしまい、久しぶりの午前の光が目に眩しかった。深夜まで続いた夜会の翌朝の否応のない寝不足。身体はまだベッドで寝ていたいと訴えていたし、私もそれに同感だった。肌荒れは自然光の下で目立つ…。―――それでも、ここにわざわざ来たのは呼び出した人の忙しさと、何のために呼び出されたのか分かっていたため。待ち合わせのオープン・カフェに一人、繰り返し繰り返し寄せてくる虚しさをコーヒーの香りが申し訳程度に慰める。
もう数年を経る交際だった。付き合うときから結婚を意識した相手。仕事の忙しさが漸く一段落付いて、プロポーズされることは必然とも言えた。
「―――遅いわね…」
セントラルの目抜き通りのオープンカフェで護衛すら付けずにこんなにも暢気にお茶が飲めるのは、間違いなくあの人の功績が何割かは貢献している。後数年もしたら、この国に内戦があったことなど忘れ去られ、完全に平和へ立ち返ってしまうだろうか。
春らしい色の上着に華奢な靴を履いた女性たちが視界を横切っていく。数ヶ月前とは明らかに異なった街の光景だった。私のようにこの国の情勢を具に知ることのできる立場にいない人たちにすら、平和が近づいていると感じるのだろう。しかし、平和になってしまえば、あの人たちが出世していくことは難しい。ならば、私は平和を心から望むことはしまい。不穏を燻るこの空気の中で生きていくことを由としたい。
「ひどい女ね。ひどい女だわ」
陰鬱な呟きは小さなカップの中のコーヒーに微かな波紋を立てるだけだった。
「本当に遅いわね、あの髭…」

二杯目のコーヒーを頼もうと、目が給仕を探したしたときだった。―――ねえ見て。まあ! そんな色めいた感嘆が店内に湧き上がった。私はそんな華やいだ賞賛を身にまとうことに才長けた男をとても良く知っていた。こともあろうか私の待ち人である。
今度は何をしているのやらと少々飽きれ気分で、周囲の視線の先を追えば、珍しくシックな色調の、仕立てのよいスーツを着た男が大通りを横切り真っ直ぐ私に向かって走って来ていた。季節的にはまだまだ早いピンク色のチューリップの大きな花束を抱えて…。男は、私が男に気付いたことに気が付くと、笑顔でその花束を大きく頭上で振る。周囲の、憧憬と羨望を含んだ視線が一斉に私に集まった。
私がその花束を持つより、男性的な彼が持つ方がインパクトがある。もちろん、彼はそれを十分分かっていてそれをしているのだ。男はどうしたら自分をより魅力的に見せることができるか、注目を集めることができるか、憎たらしいほど熟知している。

マースは給仕に2人分のコーヒーをそつなく頼み、私の対面に腰を下ろした。もちろん、私にそこに座る許可を求めることと遅れたことへの謝罪は欠かさない。
「行きがけにこれを見つけてね」
手渡された花束はまだ店頭に並んでいるところを見てはいなかった。恐らく用意周到なこの男は今日の日のために注文していたのだろう。待ち合わせに遅れたのは行きがけにこれを見つけて花を買っていたからではなく、仕事に違いない。
「まあ、ありがとう。きれいね」
「きみの方がきれいだけどね」
社交辞令に社交辞令が返る。大きな花束の置き場に困惑する間もなく、給仕がテーブル脇に荷物置きの用意した。マースがコーヒーを頼んだときに一緒にそれも頼んだことなど聞かずとも分かっていた。



周囲のちらちらと窺うような視線もなくなり、平凡な朝の光景の一つに落ち着いて、男は口を開いた。予想通りの内容を予想外の言葉で。思わず聞き返せば、マースは姿勢を正し、一層真面目な顔をして繰り返した。
「幸せな家庭ってやつを教えてやりたい奴がいるんだ」
もしやこれは予想以外のことで呼び出されたのかしら。僅かな動揺を静めるために、ぬるくなったコーヒーに口を付けると、よりげんなりした気分が増した気がした。
「―――マース…。あなたは今、私に求婚しているのよね?」
髭と眼鏡の男が首を傾げる。そうじゃないなら何をしてるとでも? そう問いた気に。
「あ、ああ。そう。俺は今、お前にプロポーズをしている。お前となら誰もが羨む幸せな家庭を築ける。―――だろう?」
だろう? 築けないとは言わないけれど、それをあまりに当たり前の前提にして話を飛躍させたところが癪に障った。
「私が断ったらどうするの?」
がたっと音を立てて立ち上がる。その顔色は器用なことにしっかりと青い。
「えっ! 俺、断られるのっ!?」
煩わしいことに、また周囲の視線が集まり始めた。
「例えばの話よ! 例えば…!」
そう言えば、男は、今度はじゃあ結婚してくれるんだと、その場で大きなガッツポーズをして、道路を隔てた歩道を歩く人たちの視線すら集めるほどの大声でやったぁーと叫んだ。
あまりに恥ずかしくて、思うままにテーブル下で向う脛をヒールで思い切り蹴っとばすと、男は私の気持ちを汲んで椅子に座ってくれた。蹲るようにして。そして、周囲も静かになっっていった。
「マース。とにかく、返事は話を全部聞いてからよ?」
「―――はい…」
その額に浮かんだ脂汗を拭う背中を丸めた姿を見て、またげんなりした気持ちになってきた。
「す、好きな女とじゃなけりゃ、幸せになれねえもん、俺自身がさ。俺もお前も幸せでなけりゃ幸せな家庭になんないよ。おままごとじゃないんだ」
「次点はいないのね?」
男がとてもモテたこともモテることも知っていたし、知っている。情報ソースはこの男の親友であり、最近の私の一番の遊び相手だった。
「俺はそんなに器用じゃねえよ」
「不器用さを装えるほど器用だから疑うのよ」
「………………」
自覚があるのかないのか。困惑を隠せずにぽりぽりと鼻先を掻く。そんなものを無視して、給仕に新しい熱々のコーヒーを注文した。

「ふふふ。あなたの、その教えてやりてえという方ってどなたのこと?」
この人がここ数ヶ月、寝食を忘れ、神経をすり減らし、夢中で働いたのはこの国に生きる人たちという漠然とした存在のためではなく、たった一人を守るためだった。内乱が終結した今、これ以上戦地へ赴かなくて済むように。自分のいない戦地へ、ただ一人行かせないために。
「―――グレイシア…」
「その人と結婚して、あなたが教えて差し上げたらいいんじゃないの?」
朝の清々しかった光が刻々と強さを増していく。それは私たちがいつまでもこんなところでコーヒーを飲んでいる訳にはいかないと教えていた。この人はこの人のすべきことが山積みになって待っている。私にも私のすべきことがあった。
「イジワル言うなって。奴は男じゃん。結婚できないじゃん」
「!」
「わははははっ! 冗談だよ!! グレイシア!」
「―――冗談に聞こえないわよ、あなたたちなら…」
「まあ、俺たち仲良しだからなっ! わはははははっ!」
仲良し? 仲良しなのかしら。何か、もっと別な表現が相応しい気がした。大概、他人には興味のない人が寝ても覚めても夢中な人物なのだ。

「グレイシア、ロイはさ、面白い奴だろう?」
ロイ。出会いはこの男よりも早い。私たちはまだ学生だった。彼らは仕官学校に通う将来有望な仕官候補生で、私は近所のお嬢さま学校に通う一生徒だった。校内には彼らのグルーピーがあり、誰ともなく誘われて、放課後は彼らに会いに士官学校の周辺をうろついたものだった。しかし、私にはそんなことに興味はなかった。真に将来有望な軍人と結婚する予定だったのだから。そんな覚めた気持ちで協調性を会得しておくために周囲と足並みを揃えていた最中に、ロイに声を掛けられた。――私に興味のない女性は久しぶりだ。そんなことを言われたことを覚えている。それから、私たちはお茶のみ友達になったのだ。
「――ええ。明るくて真っ直ぐなところも、少し屈折しているところもとても魅力的ね」
「ロイの家族って想像付くか?」
ありきたりの喧騒に満たされたカフェ。中には親子連れもいた。明るい日差しの中で笑顔を浮かべている。こういう場所を利用するのは裕福な中流階級が主だ。
「そうね。うーん。明るくて、おおらかで、いたずら好きな一癖も二癖もあるような方々かしら?」
「そう、大抵、誰もがそんな感じでイメージする。俺もそう思っていたしな。ロイの天衣無縫さって天性なものなんだよ」
すっと影が浮かぶ、その隠さない表情にロイを思う。この男にここまで顔色を変えさせるのはロイだけ。
「俺はさ、ロイに家庭っていいもんだって教えたいんだ」
「………………」
ロイにそれが分からないとはとても思えなかった。

「グレイシア、俺はさ、怖いんだよ。ロイの力が恐ろしいんだ」
眼鏡を外せば、明るい緑色の瞳がまっすぐに私を捉えた。有機的な色なのに、この人の瞳というだけで無機的なものに思えてならない。
「ロイの力は俺がそう思わずにはいられないようなものなんだよ。奴がさ、人間に対して無意識にでも悪意をもっていたらと思うと、早く奴を殺さないといけないと思うときがあるんだ。小さな頃の記憶って根が深いだろう? ―――家庭の不和なんてさ。もしそんなことで、奴が人間を信じられなくてあの力を無秩序に振るったら、俺はさっさと奴を殺してなかったことを後悔すると思う…」
最後の言葉は呟きとなってコーヒーの中に消えていった。私たちの悩みはどれほど深刻に思えてもきっと一杯のコーヒーを波立たせる程度のことなのかもしれない。世界を揺らすことができる力を知っているからこそ深刻になっているだけで。
「あなたは、あなたのために、ロイくんに幸せな家庭の中に居場所を与えたいのね?」
「俺のために。俺が奴を信じきれるように、俺ができることは全部したいんだ。グレイシア。こんなことはいつも思っているわけじゃない。本当に、時々ふと思うだけなんだ」
「ロイくんの力って何かしら?」
「………………」
長考の間に、給仕を呼び止めてサンドウィッチを追加注文。昼食を暢気に取っている時間はお互いなさそうだったから、ここでブランチで済ませてしまう。マースもついでとばかりにメニュー表からめぼしいものを頼んだ。
「うーん。―――結局は、至極簡単な話なんだ。ほら、奴って気体を媒体にして練成をするだろう?」
「あら、そうだったの? ロイくんって焔を練成するんじゃなかった?」
「正しくは空気を材料にして気体を弄くりまわしているって感じなんだよなあ。俺は、奴がやる気になれば、気体反応と同じ速さで練成を起こせるんじゃないかと疑ってる…」
「あら、まあ!」
「怖くねえか、それって…。奴はやる気になれば、瞬きするよりも速くこの街を一酸化炭素で満たすことだってできるんだぜ?」
「―――あなたたちにあるその深刻さが、あなたたちを妙に見せるのね。何かよく分かったような気がするわ」
給仕が連なって軽食を運んで来た。そして、狭い丸テーブルに器用に全てをおいて見せた。これ全部食べられるの? そう問えば、男はにかっと笑顔を浮かべて見せた。
「ロイくんがあなたにそう言ったの?」
アボガドの野菜サンドを一口。そう言えば、最近、夜会続きでこういう軽食を食べていなかったことを思い出した。何か妙に美味しく感じる。
「酔っ払ったときにな。口に出して、すぐ酔いが冷めたような顔してたから、マジなんだろうなあって思う」
「きっとロイくんはあなたに知っといて欲しかったのね」
マースが頼んだフルーツサンドにも興味を引かれて手を伸ばすと、律儀にも緑色の瞳が私の手の動きを追うから、アボガドサンドの一切れと交換にそれを手に取った。
「――やっぱ、そう思うか? 俺もそう思うんだよなあ。酒の勢いを借りなきゃ言えなかったんだろうなあ。 あー、俺ってロイに愛されちゃってるよな!」
「そうね。それにあなたもロイくんをとても愛しているのね」
「うん…」
満面に浮かぶ照れた表情! 
例え男同士であっても、あなたたちは結婚した方がいいわよ。絶対。
けれど、それは論じるに値しない話だった。あなたも私も、常識を逸脱する力はない。

「―――私が、あなたと、結婚したら、ロイくんからあなたを奪うことにならないかしら?」
「奴は俺が愛した女を愛せないような肝っ玉の小さい男じゃねえよ。まあ、なんつうか、奴は俺の連れ子みたいなものだと思ってくれたらいい。―――どでかいコブ付きの俺だけど、一緒に世界を守ってくれないか、グレイシア?」
本当に困った人だわ。そんなプロポーズ、誰に聞かれても言えはしなじゃない。
「………………。―――そうね、ハンサムで権力者の息子をもつのは悪くないわ。しかも世界最強よ。ふふふ。顔のいい、あなたの連れ子に免じて、あなたの奥さまになってあげてもいいわ、マース?」
マースの手のサンドウィッチからイチゴがぽとりと落ちた。そして、あ、と随分がっくりとした声が漏れて、肩が落ちる。
そのどうにも繕えない格好悪さに漸く溜飲が下がる思いがした。
「―――どうして素直に喜べないのかな…」
その一言に、私は渾身の笑顔を浮かべた。



生家をでて、ロイをいつでも気兼ねなく向かい入れることができる、普通の一軒家に住みましょう。家人のいない家族だけの家に、料理も掃除も、全部私がする普通の家庭。
これからの生活を思って逸る鼓動はなんともくすぐったくて温かだった。
2008/08/02