米を炊く

始めチョロチョロ中パッパ赤子泣いても蓋取るな。
昔から言われている米の炊き方ですが、この格言の通りにして失敗した人も多いのではないでしょうか。
ここでは失敗の少ない炊き方について考えてみたいと思います。
なお、失敗の少ない炊き方であっておいしい炊き方ではありません。あしからず。


・いつもの炊き方

まず普段のキャンプでのご飯の炊き方をおさらいしてみましょう。

  1. 最初に米を洗います。
  2. 次に水加減です。これが一番重要だと言わんばかりに細かく調整します。
  3. そして火にかけます。 「始めチョロチョロ中パッパ赤子泣いてもフタ取るな」の通りに「始めは弱火で、途中は強火、噴いてきてもフタを取らずに」ご飯を炊きます。
たいていの人はこの3段階で炊いていることでしょう。
で、いつもおいしいご飯が炊ければいいのですが、おいしい時もあれば芯が残っている時もあれば焦げている時もあればベチャベチャの時もありますね。
なぜ成功したり失敗したりするのか考えてみましょう。


失敗する原因

どこで失敗しているのかを見てみましょう


失敗しないように

そこで失敗しにくい炊き方を考えて見ましょう。



炊飯器で炊くと50分ぐらいかかりますよね。でも加熱している時間は15分か20分ぐらいなもんです。あとは吸水の時間と蒸らし時間なんです。吸水時間と蒸らし時間を入れて50分というのはいかにも短いですが、これは炊飯器では圧力がかかっているためそれぐらいの時間でもうまく炊けるんですね。だからコッヘルで炊くときはそれ以上に吸水時間と蒸らし時間を取らなければいけません。蓋もなるべくなら取らない方がいいです。もっとも焦がすぐらいなら開けて確認した方がマシですが。


ガスの場合

普通は以上の炊き方で大丈夫ですが、ガスで炊く場合にはより注意しなければならない点があります。


私がガスで炊くときは、

  1. 漬け込み時間を30分以上取って十分に水を吸い込ませ、
  2. 最初から中〜強火で沸騰させ、
  3. 噴いてきたら沸騰が続く程度に火を緩めて、
  4. 噴く勢いが弱まってきたらこまめに蓋を取って確認、
  5. あらかた水分が飛んだところで火から下ろして芯がなくなるまで蒸らす、
としています。漬け込み時間さえ十分に取っておけはこれでも芯が残ることはありません。
格言にすると、「始めパッパ中チョロチョロ赤子泣いたら蓋を取る」ですね。まるっきり基本と逆。
でもこのほうが失敗は少ないんです。
米を炊くのに向いている調理器具とは
まずはストーブ。小型大出力を誇るストーブの場合は燃焼効率を向上させるために(炎の熱を全てコッヘルに伝えるために)火力は中央の一点に集中するように設計されている。4000kcal(家のキッチンのガスコンロでも3500kcal程度)もの火力がわずか3〜5cmほどの直径に集中するわけだから半端でなく焦げやすい。この点、2243のようにバーナーの径が大きいタイプは熱が集中しにくく米を炊くのに適しているといえる。炊飯だけでなく、カレーやシチューといった焦げ付きやすい料理をする場合もバーナーの径は大きい方が有利である。
次にコッヘルの素材。米を焦がすことなく炊くためには全体がムラなく熱くなった方がよい。この結果熱伝導率は…よい方がいいのか?悪い方がいいのか?鍋が空なら熱伝導率のいいほうが鍋全体が熱くなりやすいと思う。では中身が入っていても全体が熱くなりやすいのか?それとも鍋の中身に効率よく熱を伝える結果、鍋全体は熱くなりにくいのか?家庭向けの炊飯鍋が土鍋であったり南部鉄であったりすることを考えるとおそらく後者か。土鍋なんかむちゃくちゃ熱伝導率悪そうだし。
後はコッヘルの分厚さ。厚さは厚い方がよい。ライスクッカーと銘打ったコッヘルは普通のコッヘルより分厚いし、炊飯器の広告でも「分厚いお釜で〜」というのが売りになる。全体が熱くならないといけない鉄板やフライパンは分厚い方がよいとされている。さっきも出てきたが炊飯専用の鍋は土鍋とか南部鉄器とか分厚いものばかりだ。分厚い方が鍋全体が熱くなりやすいからだ。もちろん沸騰しないほど分厚いのは問題外だが、米を炊くためには分厚いほどよい。
それを前提に素材別にコッヘルを見てみる。まずチタン。チタンの熱伝導率はアルミより悪くステンレスと同等である。だがチタン製品は薄いんである。チタンという金属そのものはアルミよりかなり重い(1.5倍ぐらい)にもかかわらずチタン製品はアルミ製品より軽い。なぜかというと強度があるのでとことん薄く作ることができ、結果として軽くなっているのである。いくらなんでもそんなペラペラのものに4000kcal一点集中したらそりゃあ焦げますよ。というわけでチタンコッヘルは向いていない。
アルミは熱伝導率が非常によい。かわりに強度がえらく低い。その低い強度を補うために分厚く作られている。この点チタンコッヘルよりはるかに有利。
最後にステンレスである。熱伝導率はチタンと同等でアルミよりはるかに低い。だがチタンより分厚いのでチタンよりは炊飯に向いている。ただチタンより分厚いといっても極端に分厚いわけではない。
そこで実験である。実験と言うか経験上だが、私が上手に炊けるコッヘルは、もはや店頭では見ることの無いぐらい分厚いアルミコッヘルだ。使い慣れているということもあるだろうが。それと同等なのがステンレスのコッヘル(ファミリー向けの重い奴)。これは数回しか炊いたことがないが問題なく炊けた。チタンのソロクッカーが一番難しかった。見事に焦がしたので2度と炊飯には使っていない。しかも未だに焦げが取れない。ストーブはいずれもコールマンピークワン。
結論。素材がどうのこうの言うよりも重要なのは分厚さだ。
そのようなわけで、一番分厚いアルミコッヘルか分厚めのステンレスのコッヘルが炊飯に向いていると思う。売ってるかどうかは別にして、分厚いチタンもよいだろう。
ただし注意して欲しいのだが、これはあくまで炊飯に限った話である。炊飯以外の、雪を溶かす、単にお湯を沸かす、ラーメンを作る、みそ汁を作る、といった用途には熱を効率よく伝えることのできる激薄のチタンとか、同じアルミでも薄い方がよい。ストーブも熱効率のよい火力一点集中のほうが有利である。ついでに言うとコッヘルとかストーブはザックに入れて持って行くのである。米を炊くためだけに分厚く重いコッヘルや径の大きなストーブを苦労して持って行くことはない。そもそもアルミとかチタンとかの素材が利用されるようになったのは軽量化のためだし。
最後にコッヘルのサイズである。これは小さい方がよい。小さければ火力一点集中の影響が少なくて済む。ただし小さければいいかと言うとそうでもなく、例えば食器セットで0.5合だけ米を炊くのはこれはこれで難しい。

おまけ

リカバリーの方法
といっても余りありません。おかゆ並みにベチャベチャになった米をふっくら状態に戻すことはできませんし、こげた米を焦げてない状態にすることはできません。


裏技


以上はいずれも邪道です。スカウト活動として炊飯するなら正当なやり方で炊けるようになりましょう。


まとめ
    失敗しにくい炊き方
  1. 米を洗う
  2. 水加減をする
  3. 最低30分は水につけておく
  4. 強火で一気に炊き上げる
  5. 噴かなくなったら弱火にする
  6. 沸騰が止まったと思ったら早めに火から下ろす
  7. しっかり蒸らす