ザックとパッキング


ザックの背負い方


一般的なアルパインザックの場合、腰でザックの重量を支えてショルダーベルトでザックを体にくっつけるように背負います。
肩で背負うと思っている方が多いようですがまったくの誤りです。ショルダーベルトはザックがぶらぶらしないように体にくっつけているだけです。重量は腰で支えます。
肩で背負うより腰で支えるほうが支点が低くなり安定します。
また肩ですべての重量を支えようとするととんでもなく痛くなります。
ウエストベルトは腰をしめて重量が腰全体に配分されるので痛くはなりません。(限度はあるでしょうが)
よくウエストベルトをせずに重そうなザックを背負っている方を見ますが、あれって苦しいんじゃないのかなあ。
ちょっと移動させるだけならともかく背負って歩くときはきちんとウエストベルトを締めましょう。


ザックの選択


まずザックを購入しましょう。気に入ったものを買えばいいのですが、このとき注意して欲しいのはザックにも服や靴と同じようにサイズがあるということです。
ただしザックのサイズとは容量の大小ではありません。ザックのサイズとは背面長のことを言います。

背面長とは背負ったときにザックが背中にあたる部分の長さです。バックレングスやトルソともいいます。これが合っていないとウエストベルトがまったく効かず肩にすべての重量がかかったり、腰に重量をかけると肩のベルトがしっかり締まらずにぐらぐらすることになります。
背面長は、頭を前に下げた時に一番出っ張ってる骨〜腰骨(側面ではなく背中側)の一番上、になります。
言葉で説明するのは難しいので「バックレングス」をキーワードに検索してください。

新しく購入するときはサイズの合ったものを買いましょう。


ザックの調整


すでにザックを持っている場合、背面長を調整できるザックの場合は調整しましょう。

ちなみにストラップをぎちぎちに締め付ければ体にぴったりくっつきますが、これは"ザックを体に縛り付けている"のであって"ぴったりフィットしている"のではありません。血流が悪くなるので無理やりはやめましょう。
背面長を調整できないザックの場合もウエストベルトで背負ってショルダーベルトで体にあわせるように調整しましょう。
ウエストベルトのないキスリングのようなザックの場合、調整できるのはショルダーベルトの長さだけです。(というよりショルダーベルトしかない)肩だけですべての重量を支えるしかありませんので肩が痛くなり、支点が上のほうにあるのでふらふらしやすく、しかも背筋を伸ばすこともできず、まさに苦行のためのザックです。
容量は優れていることが多いですしパッキングの練習だとか根性を鍛えるだとかの用途にはいいのでしょうが、オススメできません。
ショルダーベルトを調整して、少しでも痛みが和らぐようにベルトにタオルなどを巻きつけておきましょう。

ザックのベルト


ザックには多くのストラップがついています。

ザックによって他にもあるとは思いますが、デザイン上の理由だけでついているわけではありません。
自分のザックは使いこなせるようにしましょう

パッキング


重いものは上、軽いものは下


一番の基本です。単純に考えると重心は低いほうが安定するように思えますがまったく逆です。
当たり前ですが人は引っ張られるとバランスを崩します。
ですので立った状態を横から見て、足から中心線上に重心があればバランスがよく(下図左)、中心線から離れたところに重心があるとバランスが崩れます(下図右)。


重いものが上
重いものが下
good
bad
重心が中心線上重心が中心線になく
後ろに引っ張られる
注:左が前。深呼吸してるところに荷物が落ちてきたのではない。


ザックを背負うと前のめりになります。重いものを背負うと後ろに引っ張られますからバランスを取るために前のめりになるのです。
このとき重いものがザックの上のほうにあると少し前のめりになるだけで重心が中心線上に移動してバランスが取れます。
重いものがザックの下のほうにあると重心を中心線上に持ってくることができません。これでは常に後ろに引っ張られ続けることになりますので引っ張られないように筋肉でバランスを取るしかなく、立っているだけで疲れてしまいます。
踏ん張らなくてもバランスが取れている状態が理想です。
言葉で説明してもわからないでしょうから一度実験してみるといいでしょう。
ザックを背負って誰かに上のほうを押さえてもらいます。すると押さえられている感じはするでしょうがそんなにふらふらしません。
次に同じ力でザックの底を引っ張ってもらいます。後ろに倒れそうな力がかかるはずです。
だから"重いものは上、軽いものは下"です。
たとえば寝袋や着替え、タオルなどの軽くてかさばるものはザックの底の方につめましょう。
逆にロープやナイフといったツール類、懐中電灯、燃料、などの重いものはなるべくザックの上側につめるようにします。
食器などの重いか軽いかわからないものは真ん中に入れるようにします。
最初のうちはよくわからないでしょうから、とにかく"軽いものは下"を徹底してください。
そうすれば自然と重いものは上に行きます。


左右のバランスを取る

先ほどの"重いものは上軽いものは下"というのは前後の重量配分です。
重い物が下にあると常に後ろに引っ張られるのでそれに対抗するために力を使い、立っているだけで疲れてしまう、という話でした。
同じ理由で左右のバランスも重要です。常に片方に引っ張られたのでは立っているだけで疲れてしまいます。
背負ってみて右の方が重い、左の方が重い、と感じたら懐中電灯を入れる位置を変えるなどしてバランスをとりましょう。ただし"重いものは上軽いものは下"のバランスは崩さないように注意しましょう。
特にサイドのポケットに重いものを入れているとふらつきやすいので注意が必要です。
基本的にザック本体に全部入れてよく使うものだけポケットにいれるのがいいでしょう。


すぐに取り出せないと困るものは取り出しやすいところに

よく使うものとしては筆記用具や水筒、タオルでしょうか。
使うかどうかわからないがすぐに取り出せないと困るものは救急用具や雨具ですね。
軽いからといってすべてのタオルをザックの底に入れてしまうと汗を拭くこともできなくなります。
他にも地図、コンパス、カメラ、財布、水筒などはすぐに取り出せるようにザックのポケットなどに入れておきましょう。
実は、これが一番大切なことじゃないかと思ってます。キスリングならともかく、今のちゃんとしたザックなら適当につめて適当にベルトを締めてもとりあえず背負って歩けるぐらいにはなります。もちろん荷物の重量にもよりますが、キャンプの個人装備程度なら優先すべきは必要なものを出せることです。


荷物が中でがたつかないように

では荷物を詰めていきます。
"重いものは上軽いものは下"、"左右のバランスをとって"、"よく使うものは取り出しやすいところに"、詰めていきます。
まずは無理なく入るようにザックの容量を調節するコンプレッションベルトを緩めておきましょう。
入らないからといって無理に押し込むのはよくありません。
出発前に家でパッキングしてその状態では帰りにはザックに入りきらないと思ったほうがいいです。
不要なものがないか確認しましょう。
全部ザックに入れたらコンプレッションベルトを締めていきます。
ゆるゆるのままではせっかく考えてパッキングしたものが背負った瞬間底の方に偏ってしまいます。
特に1泊程度の短期キャンプでは家型テントや班装備を分担して入れたとしても30L 程度の荷物しかないでしょうから大きなザックでは中で荷物が暴れます。
しっかり締めてパッキングが崩れないようにしましょう。


荷物の減らし方

いらないものは持っていかないでおきましょう。
何度かキャンプに行けば毎回使わずに持って帰ってくるものがあるはずです。それは必要ない装備です。
持って行くものもなるべく小さく軽いものを選びましょう。以下、当たり前のことばかりです。

逆に必要なものもあります。

サブザックについて


サブザックごとメインのザックに入れてしまって下さい。メインのザックとサブのザックを同時に使うような状況は考えられません。両手は開けておくこと。常識です。例外はトレッキングポール・ステッキとか、あとは班旗ぐらいでしょうか。買出しした物もできるだけザックの中につめるようにしましょう。


その他


個人装備は各自でリストを作っておきましょう。それをベースにして必要があれば追加、不要なら削除するようにすれば忘れ物や無駄なものを減らすことができます。で、リストの作り方ですが、ただ単に項目と数量を並べるのではなく、衣類、道具類、食器類、洗面類、などに分類することをお勧めします。個人的には衣類袋、道具袋、洗面用具袋、食器の袋、袋に入れないもの、サブザックに入れるもの、などの収納するときに使う袋で分類するのが使いやすくていいと思います。
班装備や隊装備も分担して持って行くでしょうが、倉庫で個人装備の上に詰めるだけではなく、その場でパッキングしなおすようにしましょう。コッヘルを空っぽのままザックにつめるのはスペースの無駄ですしテントを一人のザックにつめるのは無理です。包丁やなたを適当にザックに入れるのは怖いです。
保険証のコピーは必ず持っていて下さい。キャンプでなくても持っておいたほうがいいです。財布にでも入れておきましょう。カードの人はどうするんでしょうね?持って行って家で必要なことも考えられるし…。これは制度の不備ですね。