+ アルバの日記1 + ○月○日 自分の顔に見とれる趣味はないけど、鏡を見るたび考えてしまう。 おいらのおでこの傷跡、小さいときより大きくなってないだろうか。 いや、確実に大きくなってる。 身体の成長に従って、傷も成長するんだろうか? 育ち盛りにはもりもり大きくなって、ゆくゆくはおいらの背丈くらいの立派な傷跡に成長するかもしれない。 ……そんな妄想にふけっていても仕方ないので、今度サイジェントに帰ったら、ナツミねーちゃんに頼んで治してもらおうと決めた。 |
+ アルバの日記2 + ○月○日 珍しくイオス副隊長が深酒をしてぐてんぐてんになっていたので、大丈夫ですかと声をかけた。 からまれた。 槍ではさんでダブルアタックがなくなったのはなぜだ、こんなことがあっていいのかと机を叩くので、槍ではさんでダブルアタックがあると副隊長がルヴァイド隊長より強くなるから廃止になったんじゃないですかと言ったら泣いてしまった。ごめんなさい。 |
+ アルバの日記3 + ○月○日 ライが銃を装備できるようになった! 正直すっごくうらやましいんだ。おいら、小さいころよくエルジンと遊んだけど、エルジンは自分の持ってる銃を、絶対おいらには触らせてくれなかった。 『ロレイラルから銃を召還できるくらい、アルバが大きくなったらね』って。それでがんばってロレイラルの召還術を使えるようになろうって思って、 ……だからおいら機属性なのか。戦士タイプは霊属性で回復できるのが一番使い勝手いいのに。 エルジンじゃなくて、カシスねーちゃんと遊ぶべきだったなあ……。 |
+ アルバの日記4 + 重大なことを忘れてた! もう春じゃないか。 今ごろサイジェントではアルサックが咲いて、みんなはお花見に出かけるだろう。 年に一度の花見だ。おいらも行かなくちゃ。 でも今、ギアンたちと闘ってるこの状況を放り出しておいらだけ里帰りするわけにも行かない。 うう、でも春は短いんだ。決着がつくまで待ってたら、アルサックは散っちゃうんだ……。 いっそ、みんなに総攻撃を持ちかけてみようか。 でも今のおいら達の戦力じゃ、勝てるかどうか五分五分……四分六分くらいで危ないかもしれない。 そんな危険な賭けにみんなを巻き込むわけにはいかないしなあ……。 とかぐるぐる考えてる最中、いいことを思いついた。 何もサイジェントまで帰らなくても、お花見は帝国でだってできるじゃないか。 さっそくライに聞いてみたら、やっぱり帝国にもアルサックはあるらしい。 しかもこの町の近くに並木があるって! おいら運がいいなあ。 花見を提案したら、リシェルやセイロンさんたちの圧倒的支持であっという間に可決された。 やったあ。やっぱり春は花見だよな、みんな。 そんな場合じゃないって言って、最後まで反対していたのはライだけど、コーラルが小さな声で行きたいなと言ったが最後、ぴたりと黙った。 他に反対する人もいなかったから、明日、お弁当を持って花見に出かけることが決まったんだ。 みんな大喜びだ。そんなに喜んでもらえると思ってなかったから、おいらもすごく嬉しい。 ライだけはトゲのある声で、一体誰が弁当用意すると思ってるんだよ、とぶつくさ言っていた。 もちろん分かってるよ。だって、ライの弁当があるからこそ、みんなこんなに喜ぶんだ。 だからそんな顔するなよ、弁当はおいらも手伝うからさ。 |
+ アルバの日記5 + グランバルドっていう機械兵士が仲間に入ってきた。 正式にはおいら達の仲間じゃなくて、一時保護みたいな形なんだけど。 だから戦闘には出ない。代わりに忘れじの面影亭の雑用をやっている。 何か手伝えることがあると「ぐらん、ガンバル!」と身を乗り出してきて、全力でやって、ものすごい失敗をする。 ……モナティ、元気かなあ。 じゃなくって、グランがかわいそうなのは、がんばってやってるのに失敗してライに叱られてしまうことだ。 そこまで叱らないでやってくれって、おいらからも頼んでるんだけど、あまり効果がない。 そうだよなあ。ただでさえ忙しいライの仕事を倍にしてるもんなあ。 だからグランが失敗した分はおいらがフォローしてるんだけど、考えるとそれは根本的な解決になってないんだ。 ……うん。決めた。この戦いが終わったら、ゲックに頼んでグランをサイジェントに連れて帰ろう。 そして、エルジンに改造してもらうんだ! 掃除機能・洗濯機能・お手伝い機能を強化してもらって、 ついでにビーム砲とかロケット砲とかレーザー砲とかつけてもらおう。 トウヤにーちゃんのヘキサアームズみたいにかっこよくしてもらうんだ! そんなことを考えてたらわくわくしてきてしまって、明日も早いのに寝付けないでいる。困ったな。 |