+  リィンバウムのおもちつき  +


  1 帝国 忘れじの面影亭
アカネ 「新年と言えば!」
シンゲン 「もちつき! ですよねえご主人!!」
ライ 「……ってシルターン組がうるさいんだけどさ、もちつきって一体なんだ?」
アルバ 「ああ、シルターンや、名もなき世界の習慣らしいよ。
     おいらの育ったサイジェントの家でもやってたよ。」
ライ 「へえ。アルバのとこでもやってたのか」
アルバ 「うん。大人数だからたくさんつくんだけど、
     ハヤトにーちゃんとナツミねーちゃんとトウヤにーちゃんとアヤねーちゃんが
     やたら張り切っちゃってさ。
     カシスねーちゃんとソルにーちゃんとクラレットねーちゃんとキールにーちゃんは
     苦笑して見てたっけ……懐かしいな(遠い目)」
ライ 「……何か、多くないか? 何がと言われると困るけど、多くないか?」


  2 サイジェント フラット
トウヤ 「よし、もち米はいい具合に蒸しあがったよ」
ナツミ 「それじゃ、今年も餅つきの始まりだね! みんなー、おいでー」
アヤ 「返しは任せてください」
ハヤト 「じゃあ、まずは俺から……せえーの!」
ドゴッ
ナツミ 「ああ、割れた割れた見事に割れた」
アヤ 「AT極振りのLV50が思い切りつけば、臼だって割れますよねえ」
トウヤ 「うん、予想通りだよ」
ハヤト 「……………………なら注意してくれよ…………」


  
カシス 「ハヤト、元気出して。キミが悪いんじゃないよ」
ソル 「そうだ、お前は俺たちのために一生懸命やってくれたんだろ?」
キール 「その気持ちだけでも、僕たちは嬉しいよ」
クラレット 「だから顔を上げてください。そんな表情、あなたには似合いませんよ」
カシス 「ほら、新しい臼もすぐ用意できるから、ね!」
ハヤト 「気持ちはありがたいけど……
     寄ってたかって慰められると逆に傷つくのはなんでだ?」


  
リプレ 「ハヤト、最初は思い切りつくんじゃなくて、まずもち米をつぶすんだよ?
     ほら、こうやって(もちもちもちもち)」
アヤ 「わあ、上手ですね」
トウヤ 「さすがフラットの要だね」
ナツミ 「(小声)ガゼルガゼル! 見てないでホラこんなときこそ……」
ガゼル 「うっ、うるせーな余計な世話だ!
     ……おいリプレ、貸せよ重いだろオレがやってやる」
アヤ 「わあ、ガゼルさん優しい!」
トウヤ 「紳士だね、ジェントルマンだよ」
ナツミ 「きゃー、どきどきしちゃうよねリプレ〜」
ガゼル 「わざとらしいあおり方やめろ!
     ったく、こんなもんはさっさとやっちまえばいいんだよ(もち もち もち)」
トウヤ 「……下手だね」
アヤ 「ええ、下手です」
ナツミ 「下手だよねえ」
リプレ 「見てられないわ貸してガゼル!」
ガゼル 「………………っ!(涙とともに逃走)」


  
リプレ 「うん、つぶすのはこのくらいかな。あとはお願い」
ハヤト 「じゃ、つくか。誰からやる? ……俺はあとでいいから……
アヤ 「やっぱりシルターン勢でしょうか。シオンさん、いかがですか?」
シオン 「ははっ、私は忍者ですので」
トウヤ 「やあ、理由にならない理由できっぱり拒否ったね。さすがシオンさん」
ナツミ 「じゃあカイナ……にはちょっと無理かな……」
カイナ 「姉さまがいてくだされば一緒につけたのですけど、1人では……」
ナツミ 「年頃の乙女だもんね。こんなの重くて振り回せるわけないよ」
ガゼル 「言いながら振り回すなよほぼ同い年」
ハヤト 「ならジンガは?」
ジンガ 「え? おいら?」
トウヤ 「ああそうだね、ジンガにやってもらおう」
アヤ 「適役ですね」
ナツミ 「はい、頑張ってねシルターン代表」
ジンガ 「まあ……アネゴたちがそう言うなら……(ぺったんぺったん)」
ハヤト 「上手いなあ! さすがシルターン人!」
ジンガ 「あの……おいら一応リィンバウム人……(ぺったんぺったん)」


  
エドス 「帰ったぞー。おお、餅つきか!」
トウヤ 「ああエドスお帰り、お疲れさま。今つき始めたところだよ」
ナツミ 「エドスもどう? ジンガと交代で」
エドス 「そうだな、いっちょやってみるか!
     そーれい!(ぺったん) そーれい!(ぺったん)」
ハヤト 「(…………似合う! 似合いすぎる!)」
アヤ 「(どのシルターン人よりも餅つきの似合う男、それがエドスさん……)」


  7 帝国 忘れじの面影亭
アルバ 「……ってそんな感じで毎年ついてたよ」
ライ 「ところどころ妙な箇所があった気が……。
    ええっと、コメをつぶして、つくんだな? 麺棒で大丈夫かな」
アルバ 「それは杵と臼っていう専用の道具を使うんだ。
     こんな大きな木の入れ物だよ」
ライ 「専用の道具? そんなのうちにはないぜ。シルターンから持ってきたのか?」
アルバ 「召喚してたよ。名もなき世界から」
ライ 「しょうか……(愕然) 組み合わせは? 使うアクセサリは?」
アルバ 「えっ、あ、うーん、
     うちは組み合わせとか気にしなくていい人がいたから……(困り笑)」
ライ 「わかった。召喚はあきらめよう」
アルバ 「え? 何か代わりがあるのか?」
ライ 「いや。シルターンの2人に作らせる!
    タダ飯くらってリクエストまでしてくるんだから当然だ!」
アルバ 「ライ……たくましいなあ(尊敬のまなざし)」


  
アカネ 「えー、めんどくさいなー」
シンゲン 「まあ、いたしかたないでしょう。では適当な木材を確保に行ってまいります」
ライ 「道具はこれでよし、あとはコメの準備だな? 仕方ないやってやるか」
アルバ 「ああ、でも普通のコメじゃだめだよ」
ライ 「え? だめなのか」
アルバ 「うん、つくとモチモチしてくる、もち米っていう種類のコメじゃなきゃ」
ライ 「……それも、召喚してたのか」
アルバ 「うん」
ライ 「……画面左端のプニムで代用しちゃダメか?」
プニム 「ぷにっ?!」


  
シンゲン 「臼と杵、できましたよ」
ライ 「早っ! あのさ、道具はいいけど、特別なコメがいるんだろ? そんなのうちには」
アカネ 「ああ、もち米ならあるあるぅ(ドサっ)」
ライ 「どこに持ってたんだよ?」
アカネ 「気にしない気にしない! さ〜て、準備準備ぃ」
シンゲン 「自分はコメをふかしてまいります!」
アルバ 「おいらも手伝うよ」
ライ 「どいつもこいつもマイペースすぎる……。俺は常識に生きるぞ!」


  10
グラッド 「おっ、何してるんだ?」
ミント 「いい匂いね」
アルバ 「餅つきだよ! グラッドさんとミントさんも一緒にやろう。
     ここにコメを入れてこんな風につくんだ」
グラッド 「へえ、楽しそうじゃないか。
      なあ、あの器ごと外に出して、町の人にも見れるようにしたらどうだ?」
アルバ 「ああ、そうしたらきっとたくさん人が集まるよ!」
アカネ 「おーい、おコメ蒸しあがったよ〜」
シンゲン 「ご主人、臼はどこですか〜」
グラッド 「おう、こっちこっち!」
アロエリ 「何だこれは? おかしな机と棍棒だな」
セイロン 「おお、もちつきではないか! シルターンが懐かしい」
リビエル 「文献にある、シルターンの風習ですね。目にするのは初めてですが」
ルシアン 「うわあ、すごい湯気! いいにおいもするよ?」
リシェル 「ちょっと何してるの、あんたたち。あたしたちも混ぜなさい!」
ミント 「ふふ、みんなでやろうね」
ポムニット 「ああお嬢様おやめください、そんな重いもの、お怪我なさいます〜」
セイロン 「我に貸せ、こうやるのだ。ははははは!」
アカネ 「ちょっとちょっと、それは本場の忍者に任せてもらわなきゃ!」
シンゲン 「では、餅つき歌をひとつ……あ〜、あ〜、ゴホン! (べべん)」
リビエル 「おやめなさい! あなたの歌は必要ありませんわ!」
アルバ 「にぎやかになってきたな、フラットの餅つきみたいだ!(嬉)」
ライ 「わらわら出てきた……(がっくり)。
    ……今年こそは、おちついて周りのペースに乱されず商売に励んでやる!」
コーラル「無理、かと……」
07.1.2




もどる