+ よいこわるいこふつうのこ +
幕間1・召喚鉄道車中にて
<ふつうの誓約者>
ソル「だいたい、俺たちがこうしてワイスタァンに旅できるのは、あいつらが特別にゆるしてくれたからなんだぞ?」
ナツミ「フラットのみんなが、わたしのわがままを聞いてくれたおかげだもんね。だから、目一杯楽しむことで感謝を表してるんだし、実際楽しいんだよ。ソルも楽しいでしょ?」
ソル「……まあ、な」
<よい誓約者>
カシス「あたしたちがワイスタァンに旅するためには、確かにみんなの協力がいるけどさーっ!」
ハヤト「だろ?! 俺としては、フラットに迷惑かけるのは最小限にしたいんだよーっ!」
カシス「確かにそうだけどーっ! 鉄道に乗らずにすめば安上がりだけどさーっ!」
ハヤト「そうそうー! 全然違うんだよーっかかるお金がーっ!」
カシス「だからって、レヴァティーンの背に乗ってマッハ2で飛ぶってどうなのぉぉぉぉぉ(ドップラー)」
ハヤト「え、何? 風音がうるさくて聞こえないぞーっ?」
カシス「風圧で飛ばされるぅぅぅぅぅ(ドップラー)」
<わるい誓約者>
クラレット「わたしたちがこうしてワイスタァンに旅できるのは、皆さんのおかげですものね」
トウヤ「本当にそうだね。ありがたいことだよ」
クラレット「……本当にそう思っていますか?」
トウヤ「当たり前じゃないか。サイジェント周辺の野盗のみんなが、毎月のショバ代収めてくれるおかげで、こうやって旅行できるんだからね。野盗のみんなのおかげだ。きっちりシメておいて正解だったね」
クラレット「(……助けてツェリーヌ母さま……)」
幕間2・駅舎にて
<ふつうの誓約者>
ソル「ようやく駅についたな。ほら、さっさと宿にいくぞ」
ナツミ「風情がないなあ。わびさびの精神ってやつを、何度も説明してあげたでしょ?」
ソル「理解できないのはナツミの説明が悪いからだ。それに、ナツミの説明は間違っていると、カイナやシオンが言ってたぞ」
ナツミ「うそ! あれ、そうなのかなあ?」
<よい誓約者>
アヤ「わびさびとは、洗練された寂しさを味わう静かな境地のことです。本当はもっと複雑な概念ですけどね」
キール「僕には難しくてよくわからないが、きみの説明は的確らしいね。カイナやシオンがほめていたよ」
アヤ「あら、うれしいです。キールさんにも難しいなんてことはありませんよ。サイジェントに帰ったら、一度お茶を体験してみます?」
キール「実は、リインバウム式の茶道をカイナとシオンに教えてもらったんだ。やっぱり僕にはむずかしかったよ。
スキを見せるとかけじくの裏から手裏剣が飛んでくるとところや、 1つのお茶菓子を命がけで奪い合うところとか、どれか1つが青汁のロシアンルーレット抹茶なんか、特にね」
アヤ「もといた世界に帰らせてもらいますね〜。それじゃ、さよなら!」
キール「アヤっ?!」
<わるい誓約者>
トウヤ「わびさびというのは、アブラナ科の多年生植物の名前だよ。ぴりっとした味が特徴の、香辛料にもなる植物だね」
クラレット「そうなんですか。トウヤさんは物知りですね」
トウヤ「………………」
クラレット「…………?」
トウヤ「ふふふふ、ははは、あっはっはっは!
ああそうだ、悪いのは僕だよ!リィンバウム人に『それはワサビやろ』というツッコミを期待した僕が悪いのさ!
サイジェントの勇者なんて呼ばれても、まだまだだということだね! あはははははは!!」
クラレット「(母さま……ツェリーヌ母さまぁっ……!)」
* * 幕間3・港町ヴァンスの食堂にて * *
<ふつうの誓約者>
サクロ「名物のこの魚料理にこの魔法の粉をかけると……(ぱっぱっぱ)ほら、おいしくなったよ、食べてごらん」
ソル「なんだかうさんくさいやつだな……。ん? なんだこれ、うまいぞ?」
ナツミ「ほんとだ、ピリッと辛くておいしーい! これ、もしかしてカレー粉?」
サクロ「おや、ご存じかな。おいしいだろう?」
<よい誓約者>
サクロ「ほら、こうやってこの魔法の粉をかけると、とてもおいしくなるんだよ?」
ハヤト「この匂い……これはカレー粉? やばい、カシス逃げるんだ!」
カシス「駄目だよハヤト、もう間に合わない……ほら!」
コック(麺棒装備)「うふふふふ、あーなーたーたーちー? わたしの味付けが気に入らないみたいね?」
サクロ「キミは? いつものコックとちがうようだが、新しいコックさんかな?」
コック(麺棒装備)「一口も食べないうちから調味料足すなんて、ちょっと失礼なんじゃない?」
ハヤト「俺もそう思う! とにかく同感!」
カシス「あたしもあたしも!」
サクロ「いいや、僕はまちがっていない。なにしろ、カレー粉をかけたほうがもとの味よりずっとおいしいからね」
カシス「あ、禁句」
コック(麺棒装備)「……………うふふふふふふ?」
……しばらくお待ちください。(さわやかな花畑の映像)……
サクロ「す、すいません……もとの味の方がおいしかったです……(バタッ)」
コック(麺棒装備)「素直でよろしいv」
<わるい誓約者>
サクロ「ほら、こうやってこの魔法の粉をかけると、とてもおいしくなるんだよ?」
トウヤ「うさんくさいな……。そう言うあなたからまず食べてみてほしいですね」
サクロ「じゃあ、お先にいただくよ。(ぱく)うん、おいし……ん? ……何だこの味……それに……からだ、が、しび…れ……」
トウヤ「ふふふ、かかったね。この状況を予想して、昨日のうちにカレー粉をしびれ薬と取りかえておいたのさ!」
ウレクサ「昨日はまだ鉄道の中にいたはずじゃ……」
トウヤ「誓約者に不可能はないのさ!」
クラレット「(母さまっ……このさい父上でもいいから……っ)」
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