+  ニコニコさん改造計画  +


 『忘れられた島を不意に襲った、無色の派閥と抜剣者たちの戦いは、ついに最終局面を迎えた。
  隠し通してきたつらい思いを吐き出してしまうほど苦しみつつ、なんとか生き残ったイスラ。
  しかし、目を覚ました彼からは、これまでの全ての記憶が抜け落ちてしまっていたのだった。
  長い戦いが終わり、平和の訪れた島で、召喚獣たちと無心に戯れるイスラ。
  彼の後ろには、温かい目で彼を見守る、姉と、やさしい教師の姿があった…………』

     イスラEND・完。

アティ 「というわけでこれから、イスラにテキトーな記憶を植えつけたいと思います」
ベルフラウ・アリーゼ (冒頭からいきなり何を)
アティ 「とりあえず手始めに、イスラは先生のことが大好きで大好きで、
    つねづね『大きくなったら先生のお婿さんになる』と言っていたという記憶はどうでしょう?」
ベルフラウ 「どうでしょうじゃありませんわよ……」
アティ 「だめですか? じゃあ、常々『大きくなったら先生をお嫁さんにする』と言ってくれていたとか……」
アリーゼ 「変わってません!」
  アティ 「これもだめですか。じゃあ、イスラは毎日先生に高級ブランド品を貢いでくれていたという……」
ベルフラウ 「……なんで悪化させるんですの?」
アティ 「2人ともダメ出しがきついですねぇ……。じゃあ、どういう設定ならいいんですか?」
アリーゼ「設定って(汗)。とにかく、ウソを教えるなんてダメですよ、先生」
ベルフラウ 「教師のくせに、その程度のモラルもないんですの(冷)?」
アティ 「2人ともそう言いますけど、昔のことが全く思い出せないっていうのは、とても不安でしょうがないと思うんですよ。
    イスラが、一人になることをすごく怖がるの、2人とも知っているでしょう? きっと心細いんです。
    あれは、記憶を失っていることも関係しているんじゃないでしょうか?」
アリーゼ 「あ……」
ベルフラウ 「言われてみれば確かに……」
アティ 「これが自分の過去だ、というよりどころがあれば、イスラは今よりずっと安心して暮らせると思うんです。
    イスラが楽になるんだったら、先生はそうしてあげたい」
アリーゼ 「ええ……」
アティ 「でも、これまでの彼の歴史を、彼にそのまま伝えるのはあまりに酷だと思うんです。
    本当のことは、もっと彼が落ち着いて、安心できるようになってから、少しずつ伝えるようにしないと」
ベルフラウ 「つらい思いばかりだったんですものね……」
アティ 「そういうわけなので、イスラは先生にメロメロだったという設定で」
ベルフラウ・アリーゼ 「だからどうしてそっちに行く」
アティ 「2人とも、何を不思議がるんですか。
    純粋な子どもを自分の好みに育て上げちゃえというのは昔から人類の夢ですよ?
    これを『光源氏計画』というんです。次のテストに出ますからね〜」
アリーゼ 「そんな汚れた知識いりません!(泣)」
アティ 「あ、そうそう。
    光ゲンジといっても、ローラースケートはいて踊るわけじゃありませんよ?
    ここ注意してくださいね?(何かを期待する笑顔)」
アリーゼ 「………………」
ベルフラウ 「………………?」
アティ 「若いコなんて大っ嫌いです―――!!(泣きながら夕日の方向に逃亡)」
ベルフラウ 「せ、先生? 今のネタが通じなかったことがそんなにショックだったでした?!」
アリーゼ 「ま、待って下さい先生! 私わかります! そういうアイドルグループがいたんですよね?」
アティ 「(涙を拭いて戻ってくる)そう! そうですよ! アリーゼは教養がありますね!」
アリーゼ 「歴史で習いましたから。ずいぶん昔にそういう人たちがいたって……」
アティ 「アリーゼなんて大っきらいです―――!!(泣きながら以下略)」
アリーゼ 「先生? どうしたんですか?」
ベルフラウ 「ずいぶん昔って……追い討ちかけてるじゃない」
アリーゼ 「えっ……。
      ご、ごめんなさい先生、
      別に先生のネタが古いとか、それじゃ私たち若者には通じないとか、
      そういうことを言いたかったんじゃないんです!」
ベルフラウ (ベッタベタなとどめまで…………(汗))
アティ 「ひどい……。先生もう立ち直れません! ヤケをおこしちゃいます!
    イスラに『男として育てられたけど、僕は実は女の子だった』という記憶を植えつけてやります!」
ベルフラウ・アリーゼ (どういうヤケだそれは!)
アティ 「先生の悲しみが2人に分かりますか?
    浜辺でかわいい女の子を拾って、私が守ってあげようと思っていたら男の子だった時の衝撃が!
    その瞬間に『ああこの子裏切るだろうなー』と思ったらやっぱりそうだったときの何とも言えない気持ちが!」
アリーゼ 「話変わってますけど……」
アティ 「アズリアのことだってそうでした。
    説明書表紙を見て、まあなんてすてきな青年将校さん、絶対この人を落とすわ、と決めていたというのに、
    女の人だったなんて、女の人だったなんて!(泣き崩れ)」
ベルフラウ 「分かります、分かりますわ、先生!」
アリーゼ 「ベルフラウ?!」
ベルフラウ 「やっと仲間になってくれたのが嬉しくて、経験値そそいで育てまくったっていうのに、
      最終戦目前で逃げられたこの気持ち!
      メイメイさんのバカ! メイメイさんの……(涙で言葉にならない)」
アティ 「ベルフラウ……つらかったんですね、先生よくわかります」
アリーゼ 「あ、あの……実は私も……」
ベルフラウ 「アリーゼ?」
アリーゼ 「はじめて会ったとき、このヤードという人が今回のレイムさんで間違いないと思ったんです……。
     話を進めたらむしろシャムロックさんポジションだったなんて!」
ベルフラウ 「わかるわ……わかるわ、アリーゼ。
      ただでさえ霊属性召喚士はだんだん役に立ちづらくなってゆくっていうのに、ヤードさんってば……」
アティ 「2人とも、胸の奥にそんな苦しみを抱えていたんですね。ごめんなさい……先生気づいてあげられなかった……」
アリーゼ 「いいんです、先生もつらかったんだから……」
ベルフラウ 「ひとは苦しみを乗り越えて強くなるんだって、教えてくれたのはあなたじゃない」
アティ 「そうですね、ふふ、先生の方が教えられちゃいました。
    でもこれからは一人で苦しみを抱え込まないで、みんなで苦しみに立ち向かっていきましょう」
アリーゼ 「はい、先生!」
ベルフラウ 「となれば、まずすることは一つですわね」
アティ 「ええ。
    さっそくイスラに『男として育てられたけど、僕は実は女の子だった』という記憶を植えつけに行きましょう!」
アリーゼ 「『姉さんは姉さんということになっているけど、実は兄さんだ』という記憶もですね!」
ベルフラウ「『ヤードさんは味方のふりをしていたラスボスだった』も必須ですわ」
アティ 「メイメイさんはどうしましょうか?」
ベルフラウ 「『最終戦までいてくれて大活躍した』がいいわね」
アリーゼ 「あのぉ……(もじもじ)……
     『アティ先生の大ピンチ! そのとき突然メイメイさんが龍神に変身!』なんてどうでしょう?」
ベルフラウ 「あら! それいいわ。さすがアリーゼ」
アティ 「『ヴァルゼルドはコミカルな性格のまま戦闘参加』も欲しいですね」
ベルフラウ 「『レックス先生とウィルとナップは私たちの下僕』というのもいれましょう」
アリーゼ 「『マルルゥとヤッファさんとジャキーニさんの三角関係』なんてロマンチックだとおもいませんか?」
アティ 「『スバルもミスミさまもゲンジさんも、実はキュウマさんの変装だった』とか面白そうですよ!」
アズリア 「おい、おまえたち」
ベルフラウ 「『ファルゼンは呪いをかけられたお姫様で、王子様のキスでファリエルに戻る』はどうかしら」
アリーゼ 「すてき!『呪いをかけた悪い魔法使いはフレイズさん』で決まりね!」
アズリア 「お・ま・え・た・ち」
アティ 「忘れてました!『イオスはアズリアの子どもで、ネスティはアルディラの子ども』がいりますね」
アリーゼ 「諦めきれないんですね、先生……(ほろり)」
アティ 「こんなとこですか。それじゃ、イスラにニセ記憶を吹き込みにしゅっぱーつ!」
アズリア 「(ブチッ)ヒトの弟で遊ぶなっ!! 秘剣・紫電絶華!!」

    ( 間 )

アティ 「一番必要な記憶は……『姉さんは怒らせると怖い』でしたね……(ガク)」
アリーゼ 「それを忘れていました……(ガク)」
ベルフラウ 「私たちが、ね……(ガク)」

 こんなやつらに守られた島の、平和な日常のひとこま。 

04.10.04


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これも掲示板投稿の再録です。
すいません、アティ先生がほぼ私の感想です。
メイメイさん離脱の被害者、多かったようで……
泣けましたよね?! ね!