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双子そして三つ子又は四つ子以上の多胎妊娠、そしてご出産おめでとうございます。
双子や三つ子の妊娠は、とてもうれしいという反面、身近に相談できる同じ立場のご家族がいないことや出産や育児のことがイメージできずに、不安な気持ちを抱かれる方が少なくありません。
埼玉県朝霞保健所では、平成8年度から双子の育児支援事業を始めています。その中で、双子や三つ子以上の育児をしているご家族の方々から「妊娠中から双子に関しての情報が手元にあったらどんなに心強かったか」という話をよく聴きました。
そこで、双子、三つ子をもつお母様方のご協力をいただいて、ここに多胎児とそのご家族への育児支援パンフレット“にこにこ”が完成しました。文章中では『双子』を主語にしていますが、三つ子や四つ子以上の育児をされている方々にも利用していただきたいと考えて作成しました。
これから始まる皆さまの育児に少しでもお役に立てれば幸いです。
“お知らせ”
このパンフレットの英訳版があります。
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1.双子の生まれる割合
2.なぜ双子は生まれるか
3.一卵性と二卵性の生まれる割合
1.妊娠のようすと定期検診
2.妊娠中に起こりやすいこと
(1)貧血
(2)早産
(3)妊娠中毒症
3.妊娠中に気をつけたいこと
(1)食事
(2)運動
(3)休養
1.妊娠中のお父さんの役割
2.出産後のお父さんや家族の協力
1.出産の時期
2.出産の方法
1.一人だけ先に退院したら
2.忙しさの中にも積極的にゆとりをつくろう
3.育児はお母さんの元気から
4.毎日の育児
(1)授乳
(2)入浴
(3)睡眠
(4)生活リズム
(5)食事
(6)衣類
(7)外出
(8)遊びとおもちゃ
(9)けんかと友だち
(10)個性の違いと二人の関係
(11)事故防止
1.妊娠に関して
2.出産に関して
3.育児に関して
4.育児支援に関して
5.子どもの病気に関して
6.相談できる機関
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1.双子の生まれる割合
1951年頃までの日本では、おおよそ160回の出産に1組の双子の出産という割合でした。欧米では日本より若干双子の出生率は高く、特にアフリカのナイジェリアでは17回の出産に1回の割合で双子が生まれているという報告もあります。
しかし、1991年頃から日本も徐々に双子の出産率が増加してきました。1997年の調査によると、110回のお産に1回が双子の出産となり、三つ子以上の出産率も1975年頃から上昇してきました。これは、排卵誘発剤や体外受精といった不妊治療技術の進歩によるものといわれています。
2.なぜ双子は生まれるか
双子には、顔だちが大変良く似ている一卵性と、普通の兄弟程度にしか似ていない二卵性の2つのタイプがあります。一卵性は、一つの卵子が何かのきっかけで偶然二つに分かれ二人の胎児になるもので、なぜ二つに分かれるのか原因は解明されていません。
それに対し、二卵性は二つの卵子が同時に排出され、それぞれが精子と結びつき二人の胎児になるものです。母親の体内ホルモンの影響で複数の排卵が起こるためで、母体の体質など遺伝的な要因から、双子の生まれやすい家系も考えられるそうです。
3.一卵性と二卵性の生まれる割合
自然発生的な双子の場合、欧米では一卵性より二卵性の割合の方が多くなっていますが、アジア系は一卵性が多いようです。日本では長い間一卵性と二卵性の比率が2:1でしたが、近年は不妊治療により二卵性以上の多胎児が多くなっている傾向が見られます。
また、「一卵性か二卵性か」という卵性診断は、出産後の胎盤の血管の様子から判断することが一般的です。妊娠中に超音波の映像から卵性を診断することは難しいといわれています。二卵性でも胎盤が融合して一つに見える場合もあり、胎盤の数で判断することも間違いです。また、一卵性でも受精卵がごく初期に細胞分離を起こして双子になった場合、それぞれが子宮内の離れた場所に着床すると胎盤が二つになることもあります。
卵性診断は正確な診断をすることはなかなか難しいことから、双子が似ているかということが重要なポイントになっています。一番正確なのは血液型、それもABO式だけでなく、Rh型・MN型などもっと細かい検査により診断することです。卵性を調べるその他の方法は、耳垢の性質、指紋、質問紙票による診断などがあります。
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1.妊娠のようすと定期検診
多胎妊娠(双子以上の妊娠)では、妊娠20週を過ぎた頃からおなかが目立って大きくなり、出産の頃には腹囲が100cm前後となります。また、妊娠の初期からつわりがひどかった、妊娠の中期以降は胃の圧迫感やむくみ、腰痛や背中の痛みが辛かったという人が多くいます。
また、多胎妊娠の場合、70〜80%の人が様々な原因により出産前から入院しています。とくに三つ子以上の多胎妊娠では、ほとんどの妊婦が28週前後で管理入院をしています。単胎妊娠(一人の赤ちゃんの妊娠)の場合は、体をよく動かすようにした方がよいと いわれますが、多胎妊娠の場合は違います。横になって体を休める時間をできるだけ多くとり、無理をしないように心掛けてください。そうすることで妊娠中の合併症を予防し、極端な早産や低出生体重児(出生体重が2,500g未満の赤ちゃん)での出産を防ぐことにつながります。
また、定期検診は医師や助産婦の指示に従いましょう。多胎妊娠は様々な危険が伴なうケースが多いといわれています。お母さん自身に自覚症状がなくても、胎児が危険な状態になっている場合もあります。ですから、定期検診で胎内の異常について診察してもらうことは大変重要なことです。妊娠20週を過ぎたら2週間に一度くらいの検診は必要です。
下腹部の痛み、急激な腰痛、出血などの症状が出た場合や、その他の異常があった時は、かかりつけの医療機関に電話で相談し、受診しましょう。
2.妊娠中に起こりやすいこと
多胎妊娠に起こりやすい合併症として、貧血・流産・早産・妊娠中毒症・子宮内胎児発育遅滞・羊水過多などがあります。
(1)貧血
妊娠中は母体を流れる血液量が増えるため、血が薄くなりがちな上に、赤ちゃんが自分の血液をつくるためにお母さんの体からどんどん鉄分をもらっていきます。貧血の発生頻度は単胎妊娠の2倍といわれています。貧血予防のために食事の工夫を心がけましょう。
(2)早産
子宮の中に複数の赤ちゃんがいるので、子宮の筋肉がより大きく伸びます。そのため緊張度が強く、子宮の収縮(おなかの張り・陣痛)が早くから起こりやすいため、子宮の頸管が開いてきて、早産につながりやすくなります。単胎妊娠の場合、おなかの張りは妊娠36週以降になってから起こりやすいですが、多胎妊娠の場合は早い人で24週頃から起こることもあります。おなかの張りを感じた時は無理をせず、すぐに横になり体を休めてください。また、おなかの張りが頻繁に起こる場合は早産を予防するために、早めに医師や助産婦に相談しましょう。その時、勧められれば受診した方が安心です。
(3)妊娠中毒症
多胎妊娠の場合、単胎妊娠よりも妊娠中毒症になりやすく、重症化することも多くなります。安静にしている分、摂取カロリーは控えめにし、良質なたんぱく質を取りましょう。塩分はごく控えめにします。また、睡眠不足・過労・ストレスも妊娠中毒症の誘因となることがありますので、十分な注意が必要です。
@母親に与える影響
高血圧に尿たんぱく・浮腫を伴うと脳内出血・肝障害・心不全・呼吸不全・腎不全などが発生しやすくなります。出産後も後遺症として長期の治療が必要になる場合もあります。
A胎児に与える影響
子宮から胎盤への血液の流れが悪くなり、赤ちゃんに酸素や栄養が十分に送られず、子宮内での発育が遅れること(子宮内胎児発育遅滞)もあります。
3.妊娠中に気をつけたいこと
(1)食事
双子を妊娠したからといって、二人分のカロリーをとる必要はありません。体重増加は妊娠前より、10〜12kgまでを目標にしましょう。必要以上にカロリーをとって肥満になると、お母さんの体に負担をかけたり、妊娠中毒症を起こしたりするので注意が必要です。
多胎妊娠では貧血状態になりやすいので、鉄分を含んでいる食品、特にレバー、貝類、海草類(ヒジキ、ワカメ、コンブなど)をしっかりとること、たんぱく質の補給のために豆腐などの大豆製品、牛乳、魚介類をとること、便秘を予防するために、繊維質の多い野菜(生野菜でなく火を通した野菜の方が多く食べられます)をとることが大切です。また、妊娠中毒症を予防するためにも、1日の塩分量は10g以下(小さじ2杯分)を目安にしてください。かまぼこなどの練り製品、ハム・ソーセージ類には塩分が多く含まれていますので食べる量に注意しましょう。
外食では、糖質・脂質のとり過ぎ、たんぱく質・ビタミン・カルシウム・鉄分などが不足しやすく、味付けも濃いため、塩分のとり過ぎにつながります。また、食品添加物を含む加工食品、インスタント食品、スナック菓子などもとり過ぎないように心がけてください。
毎日の食事は、主食・主菜・副菜のある一汁二菜以上をそろえた食事をとるように工夫しましょう。1日の総カロリーなど具体的な食事内容について悩む時は、気軽に主治医や栄養士に相談するとよいでしょう。(栄養士は病院、地域の保健所、保健センター等にいます)
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(2)運動
適度な運動は必要ですが、長時間にわたる運動や疲れるまでの運動は避けましょう。マタニティスイミングなどを始める人や妊娠以前からスポーツをしていた人は、必ず医師に相談し、無理がないかを判断してもらいましょう。
買い物や散歩などは適度な運動にもなりますが、長時間にならないよう注意してください。
(3)休養
多胎妊娠では、子宮が大きくなるにつれて強い圧迫感などから、睡眠や休息がとりにくくなります。腰痛やおなかの張りを防ぐためにも、少なくとも1日のうち午前と午後の一時間は横になりましょう。寝る姿勢は体を横向きにし、おなかの下にクッションなどを置いて、おなかを支えるようにすると楽です。妊娠後期になると、おなかもかなり大きくなりますので、横向きになると楽です。
また、三つ子以上の多胎妊娠の場合は、横になると子宮がお母さんの肺を押し上げ息苦しくなりますので、座椅子などで上半身を少し高くしてみましょう。
*おなかの下に大きなクッションを抱いて寝てみましょう。
*座椅子などで上半身を少し高くしてゆっくり休みましょう。
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1.妊娠中のお父さんの役割
双子を妊娠したことが判った時、喜びよりも不安の方が大きかったという人は全体の3分の1にもなります(*)。双子を妊娠すると誰でも心のどこかに不安をもつかもしれません。また、妊娠中の生活も単胎妊娠とは違い、いろいろな心配事も多いものです。
お父さんや家族は、お母さんの思いを理解し、肉体的にも精神的にも協力し支えてあげましょう。家族の思いやりの気持ちが、妊娠中の様々な不安を軽くすることでしょう。
(*ツインキッズクラブ「双子・三つ子・四つ子・五つ子を育てている家庭の実態と意識に関する調査:1997.」より)
2.出産後のお父さんや家族の協力
乳児期(1歳未満)の双子をもつお母さんは(特に子どもが生後半年くらいになるまで)、夜間の授乳やおむつ交換のために何度も起こされるので、睡眠不足のまま疲労がたまる状態が続きます。双子の上にも子どもがいる場合は、なおさら日中の疲労感は増すことでしょう。
また、「一人一人に十分な育児ができない」と悩むお母さんも多く、精神的な負担も重なってくるので、双子の育児では特にお父さんの存在は重要です。入浴やおむつ交換、授乳の手伝い、洗濯やその他の家事などの具体的な手助けはもちろんのこと、それ以上にお母さんへのちょっとした心づかいや言葉掛けが、予想以上にお母さんの心を癒してくれるものです。
育児などの具体的な手伝いはお父さん以外の家族でも可能ですが、精神的な助けができるのはお父さんだけです。可能ならば、一週間に一度(せめて一か月に一度でも)お母さんが自分の時間を(2〜3時間でも)持てるように心配りをすると、お母さんは心身両面でリフレッシュでき、日々の育児や家事への活力を養うことができます。
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1.出産の時期
出産の時期は40週よりも少し早めになることが多いようです。双子の出産では36週から38週に集中し、赤ちゃんの出生体重も2,000g〜2,500g未満、三つ子以上の出産では30週から34週と早くなり、出生体重も1,200g〜1,800g前後と小さめに生まれる割合が多くなっています。
2.出産の方法
双子の出産といっても、自然分娩では子宮口の近くにいた赤ちゃんから一人ずつ順番に生まれます。双子の出産の多くは、一人目の赤ちゃんが生まれてから10分以内に次の赤ちゃんが生まれ、30分以上かかることは稀です。30分以上たっても次の赤ちゃんが出てこない場合や、三つ子以上の出産や赤ちゃんの胎位によっては、負担を避けるためにも帝王切開になる可能性もあります。出産方法については、医師の判断に任せましょう。
双子は低出生体重児(2,500g未満)で生まれることが多いので、一人のお産より必ずしも時間が長くかかるわけではありません。双子を出産したお母さんの中には「一人の出産よりも楽だった」という方もいます。「双子を産むのは大変」という思いは、出産の前から長く入院して体力が低下していたり、おなかの中に複数の胎児を抱えて動くことで心身の疲れがたまること等が影響しているとも考えられます。
双子の出産の場合、子宮が伸びきっているため産後の子宮の収縮にも時間がかかります。また、後陣痛が強い場合もあります。妊娠中には、たくさんの負担が子宮内にかかっていたのですから、出産後は十分な静養をとってください。
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1.一人だけ先に退院したら
生まれた赤ちゃんの間に大きな体重差がなければ、一緒に退院できる状態になるまで入院していることもあります。病院によっては、双子の退院に合わせて先に退院したお母さんの付き添い入院を受け入れ、双子育児の練習をしてから退院できるように配慮しています。
それでも、一人を病院に残したまま退院することもあります。お母さんは、病院に残してきた赤ちゃんを気にしながらも、家でもう一人の赤ちゃんの育児に追われ、入院中の赤ちゃんの存在が薄れがちになることもあります。忙しい毎日ですが、時間の許す限り、面会や授乳に行くようにしましょう。入院中の赤ちゃんと積極的に触れ合うようにしないと、赤ちゃんとお母さんの間に精神的な距離ができ、手元にいるもう一人の赤ちゃんの方が可愛く思え、退院後に『二人を同じように愛せない』とか、『一人だけの方がよかった』という思いに偏っていく危険性もあります。
しかし、そうした思いに悩んでいるお母さんは案外多いものです。『自分だけが…』と思い悩むことなく、地域の保健センターや保健所にいる保健婦などに相談しましょう。保健婦は、地域に暮らす人々の健康を守る仕事をしています。一番身近で気軽な相談相手の一人といえます。誰かに相談する勇気は、その後の育児に大いにプラスとなることでしょう。
2.忙しさの中にも積極的にゆとりをつくろう
一人の赤ちゃんでも、夜中の授乳や日中の育児や家事など、お母さんの忙しさは増していきます。それが同時に二人の赤ちゃんの育児をしなければならないのですから、忙しいのは当然です。毎日が、朝から夜中まで時間に追われているような気持ちかもしれませんが、今すぐやらなければならないことから、明日に延ばしてもさしつかえないものまで優先順位をつけて、ひとつずつ片付けていきましょう。
時には自分のための時間をつくることが大切です。二人が同時に眠った時や、少しだけおとなしく遊んでいる時、この時とばかりにたまっていた家事をするのではなく、自分のための時間をもちましょう。「二人がいるから自分の時間がもてない」とイライラするよりは、自分のためにお気に入りのカップでティータイムを楽しんでみてはいかがですか。そんなささやかな時間が、お母さんの気持ちにゆとりをつくってくれることでしょう。
3.育児はお母さんの元気から
子育てをしていく上で一番大切なのは、お母さんが元気なことです。お母さんが元気でないと、子どもたちにもそれが伝わってしまいます。双子を育てる場合、普通の育児よりいろいろな面で時間がかかり手間も多くなります。睡眠不足が多くなる中で、元気に育児をしていくには、具体的にどんな方法があるのかを考えてみましょう。
(1)便利なものがあったら利用する
便利な育児用品を上手に利用し、時間や労力の節約を図りましょう。多少お金がかかっても『体が第一』と割り切って乗り越えることが大切です。レンタルできる育児用品もありますので、賢く利用しましょう。
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(2)家事・育児はお母さんだけが頑張らない
家事も育児もお母さん以外の家族ができることはたくさんあるはずです。全てをこなす完璧なお母さんを目指さず、家族みんなで家事も育児も助け合っていきましょう。忙し過ぎて一人ではどうにもならないと思ったら、周りの人に助けを求めましょう。家族だけではなく、社会的なサービスを活用することで大変な時期を乗り越えるように工夫していくのも一つの方法です。何よりも大切なのはお母さんが心身のストレスをためないことです。
(3)仕事そのものを減らす(手抜きという言い方もありますが・・・)
ポイントは一般的な方法にこだわらず柔軟に考え、できるだけ家事の量や手間を減らすことです。本当に忙しいのは一時のことですから、「まあこんな時期があってもいいかな」と考えてみましょう。
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4.毎日の育児
双子が退院してきたら、いよいよ双子育児のスタートです。最初は授乳、おむつ交換、睡眠など二人に振り回されて、生活リズムがつかめずに、一気に疲労を感じるかもしれません。双子の育児は何よりも「いかに楽をして二人を育てるか」ということがポイントです。そうしないとお母さんの大事な元気が続きません。
(1)授乳
最近の新生児医療では、母乳栄養の大切さが見直されています。母乳に含まれる免疫グロブリンが、ウイルスや細菌による感染から赤ちゃんを守っているほか、未熟な腸管の働きを促したり消化酵素の分泌を高めたりする作用もあるといわれています。低出生体重児は保育器に入っていることが多いので、赤ちゃんに直接母乳を吸ってもらうことはできませんが、搾乳(おっぱいを搾ること)をして母乳を与えることができます。
また、双子なのに母乳だけで足りているのかという哺乳量の心配や、授乳の方法など不安はあると思いますが、母乳育児を諦めることはありません。
ミルクで育てることになっても、初乳(始めの頃にでる黄色っぽい母乳)を飲ませることが少しでもできたら十分です。ミルクだからと必要以上に落ち込んだり、悩んだりすることはありません。母乳を与えていても途中からミルクとの混合にしたり、臨機応変に、お母さんが一番やりやすい方法を選んでいけばよいでしょう。
◆同時授乳の利点
・双子が同時に空腹を訴えた場合に、赤ちゃんの欲求を同時に満たすことができます。
・双子の生活のリズムが揃ってきます。
・母乳の場合は分泌がよくなります。
◆同時授乳の注意点
@母乳の同時授乳の場合は、右の母乳はAちゃん、左の母乳はBちゃんと固定しないようにしましょう。また、二人同時にゲップができないため、吐きやすくなることもあります。 A哺乳瓶を固定して授乳する場合は、ゲップをしてミルクを吐いたときに、吐物が誤って気管に入り窒息する危険があります。赤ちゃんの身体を頭の方を少し高くし(タオルなどを敷く)、更に背中に丸めたタオルをあてて、身体全体を斜めにし窒息の予防を図ります。
B哺乳瓶を固定するとき、乳首の所に空気がたまらないようにタオルで角度をつけます。空気を飲み込む量が多いと1回のミルク量が減ったり、ミルクを吐く回数が増えたりします。
C同時授乳の方法は自分なりに工夫して、双子とお母さんにとって負担の少ない方法を見つけてください。
D一人を授乳している時に比べて、同時授乳では母と子の一体感に欠ける感じがするので、左右の赤ちゃんの目を交互に見て、一人一人との一体感を確かめ合うとよいでしょう。
◆同時授乳の方法
〈助産婦や保健婦に相談し、この絵を参考にしながら授乳に関する具体的なアドバイスを受けるとよいでしょう〉
(2)入浴
入浴はお父さんや家族の手伝いがあると一番助かります。しかし、お母さん一人で子どもたちを入浴させるときは、入浴前に二人分の用意(バスタオルや着替え、湯冷ましなど)を脱衣場や、お風呂場の近くにしておきます。赤ちゃんの首が座らない頃は、シンク用のベビーバスを台所の流しに置いたり、シャワー付きの洗面化粧台を利用して、お母さんが立ったままの姿勢で沐浴を行うと、腰に負担がかからず楽にできます。親子三人で一緒にお風呂に入ることができるようになったら浴用ネットやすべり止めマットを用意したり、寒くないように大きめの洗面器やバケツの中にお湯を入れて座らせるなど、待たせている赤ちゃんの安全と保温に気をつけましょう。
入浴は体の清潔、運動、気分転換など赤ちゃんにとっては大事なことですが、お母さんが一人で行う入浴は、かなりの重労働です。「毎日入浴させなければ」と思わずに、冬の寒い時期は1日おきにしてみたり、1日に一人と決めて入浴させるなどの方法をとってもよいでしょう。また、入浴しない日は清潔を保つために、お尻と顔や手足を洗ったり、体を拭くだけにするなども一つの方法です。逆に暑い夏は、あせもの予防のためにも、シャワーの行水を水遊びのようにして楽しませるのもよいでしょう。
赤ちゃんの入浴は大変なので、お母さんは自分の体を洗うゆとりもありません。お父さんなど家族がいる時には、ぜひお母さん一人でゆっくり湯舟に入り、身体もきれいに洗い、自分のためのリラックスタイムとしましょう。
(3)睡眠
生まれてから数か月の双子は、授乳の間隔が短いことや、せっかく一人が寝ても、もう一人が泣いて目を覚ましたりと、お母さんはまとまった睡眠時間がとれなくなります。
また、特にお母さんが苦労するのは夜泣きです。夜泣きの原因はいろいろあるので、まずは昼寝の時間帯や長さ、昼間の遊びの内容や時間、子どもとの関わり方など日々の過ごし方を見直してみましょう。たとえば、日中は暖かい時間帯に外へ散歩に出たりすると、同じ頃に昼寝をするようになり、双子の生活のリズムが揃ってきます。また、夜はお風呂の後に授乳して寝かせるなど、いつも決まった時間に就寝させるようにしていきましょう。
けれども、実際には夜泣きの原因ははっきりしないことが多く、「夜泣きもいつかは終わるさ」と気楽に構えているのが一番です。
お母さんとお父さんは布団で、二人はベビーベットに寝かせて、立ち上がっておむつを替えたり、あやしたりするよりも、お父さんやお母さんの両サイドに二人を寝かせると動きも最小限になり負担が軽くなります。この場合、布団やお父さん、お母さんのパジャマなどが赤ちゃんの口の周りにかかるなどして、赤ちゃんの口をふさぐことがないように注意が必要です。
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(4)生活リズム
授乳、おむつ交換、睡眠などを育児ノートにつけることは、双子の生活リズムをつかむために便利です。忙しく育児や家事をしていると、どちらの子どものことだったか忘れてしまうことがありますが、育児ノートがあるとお父さんなど他の誰にでもわかります。また、しばらく育児ノートにつけていると、双子の1日の生活リズムの大まかなペースがつかめてきます。なるべく二人の生活リズムがそろうように、1日のどこかで調整する(お風呂の後の授乳で寝る時間をそろえるなど)とお母さんの負担が少しは減ることでしょう。
大学ノート1ページを1日として、縦半分に折り目をつけると簡単です。離乳食のメニューや体調の悪いときに体温を記録したり、1日のちょっとしたことを記録しておきましょう。
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母 1:00 |
0 |
1:00 母
(120cc) |
( ):ミルク 母:母乳 ↓:睡眠 ○:便
(5)食事
離乳食が始まれば、ベビーラックやベビー用の椅子、テーブルに下げるタイプの椅子など、各家庭の生活スタイルに合った椅子に座って食べるのがいいでしょう。食事の時、テーブルの下にはビニールシートか新聞紙を敷くと、食べこぼしで床が汚れず、後片付けも簡単です。
離乳食はまとめて作って冷凍保存した半調理品やベビーフードを上手に使って、短時間でおいしい離乳食が用意できるようにしていくと楽です。二人が自分で(手づかみでも)食べられるようになったら各々の器やコップ、スプーンなどを用意しましょう。多少汚れても自分で食べるようにしていくと少しずつうまく食べられるようになっていきます。
時間をかけてだらだら食べさせるよりも、最初の15分ぐらいは子どもたちの好きなようにさせて、後半は母親が食べさせてあげるのも一つの方法です。また、二人の食欲もいつも同じという訳ではありません。二人とも食が細かったり、一人がよく食べ、もう一人があまり食べなかったり、それが交互になってみたり、食べ物の好みに違いが出てきたりします。「せっかく作っても食べてくれない」とがっかりするよりは、神経質にならずに楽しい食事を心掛けてください。また、毎回の食事に全力投球するのではなく、昼食に力を入れれば、夕食はありあわせのもので済ませるなど、1日の中で栄養のバランスをとるようにしてみましょう。
<冷凍しておくと便利な食品>
★しらす干し
大さじ1ぐらいずつ小分けにし、ラップでくるみ冷凍します。使用時には凍ったしらす干しに熱湯をかけ、塩抜きと解凍を同時に行います。
★ほうれんそう
ややかためにゆで、2〜3株ずつをラップにくるみ冷凍し、使用時には再加熱します。凍ったままおろしがねですりおろすと、なめらかなほうれんそうの裏ごしができます。
★ホワイトソース
製氷皿で凍らせた後、取り崩してポリ袋やタッパーで保存し、一個ずつ使います。
バター大さじ3を鍋に入れ火にかけ、よく溶けたら小麦粉大さじ4を入れ、焦がさないように弱火で3〜4分炒めます。牛乳400ccを加えて泡立器で手早くかき混ぜ、全体がなじんだら塩を少々加え、弱火のまま時々かき混ぜながら5〜6分煮込みます。
★挽き肉(洋風味)
すりおろした人参、たまねぎ、ブロッコリーなど野菜のみじん切りと挽き肉を炒めます。底の平らな容器に浅めに入れ、小分けできるように筋をいれて冷凍します。
★マッシュポテト
塩ゆでしたじゃがいもをマッシュし、牛乳又はミルクを加えてなめらかにしたあと、ラップで小分けして冷凍します。(あまりゆるくしないように注意してください。離乳食初期の場合は、金ザルくらいの目の粗さのこし器で裏ごしをします。)
★おかゆ
炊飯器で御飯を炊く時に、お米と水(おかゆにする水加減で)を入れた湯のみ茶碗を炊飯器の真ん中にセットします。御飯が炊きあがると同時におかゆもできています。
<冷凍品やベビーフードを組み合わせた離乳食の紹介>
★しらす青菜がゆ
おかゆ、解凍したしらす干しをみじん切りにしたもの、みじん切りか裏ごししたほうれんそうを鍋に入れ、サッと煮込んででき上がり。
★洋風雑炊
ベビーフードのスープ、洋風味の挽き肉、おかゆ又は御飯、湯むきしたトマトと椎茸のみじん切りを鍋に入れサッと煮た後、器に入れピザ用チーズをのせて電子レンジ(2分)かオーブントースター(5分)でチーズが溶けたらでき上がり。
★ポタージュスープ
マッシュポテト、ホワイトソース、ベビーフードのスープを合わせて鍋で加熱し、牛乳を加えてなめらかにし、最後にこし器を通してでき上がり。
(ツインキッズクラブ 特集ノートより)
(6)衣類
肌触りがよく、汗を吸いとり、洗濯に強く、動きやすいものが、子どもの衣服を選ぶ基本的なポイントです。双子の場合、着替えが簡単、アイロンなしで着られる、おむつ交換も手早く済むなどに注意して衣類を選ぶと、少しでも時間の節約ができます。
子どもたちに着せる衣類は、双子だから「おそろいがいい」というお母さん、反対に双子だからこそ「違うものがいい」などお母さんの考えによって様々です。また、お手伝いに来た人などが見分けやすいように色を決めておくという考えもあります。ただし、赤ちゃんの頃はそれでもよいと思いますが、成長してくると子ども自身が好きな色を選ぶので、二人の衣類が色違いの場合は同じ色を取り合うこともあります。おそろいの衣類を着ていて二人が安心する時期もありますから、その時期の子どもの気持ちを尊重することも大切でしょう。
また、双子の上の子どもに同じ衣類を2枚(三つ子なら3枚)買うと、上の子どもでは枚数が多く助かり、双子には比較的きれいなままでおさがりになります。食事や外遊びで汚れ、一人が着替えると『着替えるという行為』を自分もしたくて、もう一人も着替えたがることがよくあります。1日に何回も着替えるという時にあわてずに済みますから、親戚や近所の方からのおさがりをいただく機会があるとよいでしょう。
(7)外出
外出の時のスタイルとして「おんぶとだっこ」という方法もありますが、やはりベビーカーが便利です。双子用の縦型・横型、三つ子用の縦型などいくつかのメーカーから様々な種類のものが販売されています。縦型は、歩道やスーパーのレジを通りやすく、横型は後ろに荷物を積むことができるので便利です。おすわりができるようになれば、軽くて便利なバギーや、一人用のベビーカーを連結器でつないで使うタイプもあります。月齢、年齢や成長に応じて使い分けると便利ですから、レンタルやリサイクルなどを利用するとよいでしょう。
少し大きくなったら、外出するときには自転車も便利です。大人用三輪車は荷物かごが大きいので、子どもを乗せることもできます。自転車はベビーカーに比べて移動時間が短くなるので、行動範囲が広がります。ただし、子どもが動いてしまったり、眠ってしまったりすることもあるので、十分な注意が必要です。歩けるようになったら、家族で手をつないでの散歩も楽しいですね。
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(8)遊びとおもちゃ
一つのおもちゃを仲良く使えるようになるまでは、同じようなものをそろえて、二人の欲求が満足できるようにします。新聞紙・空き箱など身の回りにあるものも遊び道具になります。双子の場合、遊び相手がいつも身近にいるので遊び方を自然に覚え、日々の生活の経験から「交代」「順番」という社会のルールを、早い時期に覚えるようです。
「双子を連れての外出は大変」としり込みせずに、天気のよい日は思い切って外に出て散歩、公園遊びなどを心がけましょう。けれども、公園で二人が同じ遊びをするとは限らないので、二人の動きに目を離せないため、お母さんはかえって心身ともに疲労感が残ることもあるかもしれません。二人を連れての外出は大変なので勇気が必要かもしれませんが、乳児期からベビーカーに乗せて散歩や公園に出かけることによって、小さい頃から顔見知りのお母さんができると多くの大人が子どもを見守ることになるので心強いです。二人が歩けるようになったときに公園などでお母さんが一人を追いかけている間、もう一人をそれとなく見ていてくれる大人の目があるので二人を安心して遊ばせることができます。
三つ子以上の場合は、お父さんが家にいる日にしか外に遊びに行けないのが本音でしょう。
2〜3歳になるとどんどん外に出られるようになりますから、「公園に遊びに連れて行っていないけれどいいのかしら」などと悩まなくても大丈夫です。
(9)けんかと友だち
双子を見ていると、ものの取り合いなどからけんかになることがよくあります。たたいたり、ひっかいたり、かみついたりするかもしれません。かみつきは、まだ話ができない小さい頃によくみられ、おしゃべりができるようになると次第に減ってくるようです。二人の力関係にもよりますが、けんかについては危険がない限り、基本的には放っておいても大丈夫です。双子に限ったことではありませんが、きょうだい同士のぶつかり合いの経験は、社会性の発達にも重要といわれています。
また、二人の仲が良くいつも二人だけで遊びたがり、友だちと遊ぶことを嫌がることもあります。お母さんも「二人で遊んでいるから、あえて友だちと遊ばなくてもいいかしら」と思うことがありますが、きょうだい以外の友だちとのかかわりは社会性の発達には重要です。始めは友だちとうまく遊べないことがあるかもしれませんが、友だちと遊ぶ機会を積極的につくっていきましょう。外では友だちと遊べなくても、家に帰ってから友だちがしていたことを二人でまねるなど、遊びの様子から子どもなりに友だちのことを意識していることがみえてきます。
このような経験を積み重ねていくと、幼稚園などの集団生活に慣れる頃には友だちとも楽しく遊べるようになるでしょう。
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(10)個性の違いと二人の関係
双子というと、「外見も似ていて、同じ様な人間が二人」と思われがちですが、それぞれ個性をもった別々の人間です。二人の性格の違いについては、接していればすぐわかることですが、一般的には「似ている」という点が強調されているように思います。
双子の育児をしている人の多くは、「二人を平等に育てたい」と考えますが、二人の赤ちゃんを前にすると「二人が一緒に泣いたときはどうするの?一人だけ泣かせておいても大丈夫かしら?」などと心配になったり、発育や発達のペースも同じとは限らないので、二人の差が気になったりします。どちらかにかわいそうな思いをさせているのではないかと不安になることもありますが、「二人とも同じようにかわいい」という気持ちを示して接していけば大丈夫です。「今、一人しか手をかけられない」というその時々の状況も、長い目で見れば問題にはならないといっていいでしょう。二人の差についても全く同じということはありえないので、差があるのは当然のことです。それぞれのありのままの姿を暖かく見守っていきましょう。
周りの人みんなが特に注意したいのは、名前を呼ぶときです。「Aちゃんたち」と二人ひとまとめのように名前を呼ぶのではなく、「Aちゃん、Bちゃん」や「Bちゃん、Aちゃん」の方が、子どもは自分を見てくれているという感じをもつでしょう。
また、双子といっても、二人の関係は個々のペアによってかなり違ってきます。体重や性格・力関係の違いや、それらの差がほとんどなくボスがしょっちゅう入れ替わるような場合もあります。ライバル意識の強い場合もあるし、こだわりのない場合もあります。このように、一人一人の子どもはそれぞれ気質(発達の初期から出現する行動上の個人差)をもっています。双生児研究によると、それぞれの気質は身体的発達に比べると二人の一致度は低いということです。個々の性格や二人の関係によって対応の仕方も変わってくるでしょう。育児書にはこのようなことは載っていないので迷うこともあるかもしれませんが、双子のことを一番よく知っているのはお母さんです。「うちの子は○○で」と心配し過ぎないようにしましょう。
(11)事故防止
乳幼児の場合、家庭内での事故によるけがなどの割合が高いといわれます。例えば、ねんねの頃は、手足を動かしている間に近くにあったビニール袋やタオルが顔にかかる(窒息)、はいはいの頃は、手に触れるものを何でも口に入れる(誤飲(ごいん)や誤嚥(ごえん))、つたい歩きの頃は、テーブルクロスを引っ張り、テーブルの上のものが落ちてくる(打撲や外傷)、みそ汁やお茶をひっくり返す(やけど)、よちよち歩きの頃は、家具などの角に頭をぶつける(打撲や外傷)、お風呂場に行き水遊びをする(溺水(できすい))などがあります。このように、子どもの発達段階によって危険なことが変わってくるという正しい理解が必要です。
また、たばこに関する事故も多いので、家庭内で喫煙する人がいる場合は家族みんなで注意してください。例えば、たばこを食べてしまった、吸いかけのたばこをつかんでやけどをしてしまった、ジュースの缶などに吸い殻を入れたものを子どもが飲み物と思って飲んでしまった、というのはよくある事故です。
家庭内の事故防止策としては、浴室に子どもが入れないように鍵をかける、浴槽やバケツの水は抜いておく、ベランダに踏み台になるようなものを置かない、階段にはベビーフェンスを付ける、やけどの原因となる物は手の届かないところに置く、壁に小さな布ポケットを掛け小物を入れるなどがすべての家庭に共通する事故防止対策でしょう。
しかし、双子ならば知恵も2倍、三つ子やきょうだいがいたら3倍以上になりますから、大人が思いもつかない行動をとることも考えられます。双子又はそれ以上の子どもがいたらどんなことが起こるかを想定しておく必要があります。例えば、戸を閉めるとき一人なら問題ありませんが、もう一人がどこかをはさまれることは起こりがちな事故です。また、一人が踏み台になれば、何もなくても高いところに登ることができるなど、昨日までできなかったことが急にできるようになってびっくりすることもあります。
特に、よちよち歩きができるようになり行動範囲の広がる1〜2才頃は家庭内での事故が起こりやすい時期ですから気をつけましょう。事故を防ぐといっても、「だめ」と言うだけではなく、安全に配慮した上で探索をさせてあげることも大切です。危険なことは子どもの発達に応じて教えていきましょう。
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中毒110番(中毒の情報提供サービス:有料) |
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「洗剤を飲んだ」「たばこを食べた」などの相談を電話で受け付けています。 |
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サークルに参加し仲間ができると、不思議と毎日の気持ちにゆとりが生まれます。
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1.妊娠に関して
(1)女性労働者のための妊娠、出産後の措置
母性保護の目的で、労働基準法により、多胎妊娠の場合産前休業を14週間(単胎の場合6週間)、産後休業を8週間(単胎の場合も同じ)取得できます。
また、次の項目について、男女雇用機会均等法により、事業主に母性健康管理の措置が義務づけられています。なお、医師などによる指導内容を事業主に伝えることができるように、「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用をお勧めします。
・保健指導又は健康診査を受けるための、通院休暇等を求めることができます。
・医師等からの指導を守るための措置を求めることができます。
通勤の緩和 (時差通勤・勤務時間の短縮・交通手段や経路の変更)
休憩の確保 (時間延長・回数の増加・時間帯の変更)
症状への対応(作業の制限・勤務時間の短縮・休業)
*事業主や産業保健担当者、埼玉労働局雇用均等室(電話048−822−4273)にお問い合わせください。
(2)妊産婦訪問指導
保健婦等が家庭訪問により妊娠、出産、育児の相談に応じています。多胎妊娠は、妊娠中毒症の合併、早産などリスクの高い経過も予想されるため、電話や家庭訪問による相談を利用してください。
*各市町村の保健センターにお問い合わせください。
2.出産に関して
(1)出産育児一時金
正常な妊娠・分娩は病気ではなく生理的な現象という考えから、健康保険は適応されません。ただし、帝王切開などの時には健康保険が適応されます。本人が健康保険に加入していたり、夫の被扶養者になっている場合は、出産後健康保険組合に申請すれば一児につき一律30万円の「出産育児一時金」(多胎児の場合は子どもの人数分)が支給されます。
*各健康保険組合又は市町村の国民健康保険担当窓口にお問い合わせください。
(2)出産手当金
妊婦が健康保険の本人である場合、産前産後の休暇により(分娩予定日を基準に産前98日、産後56日)給与が受けられない期間、標準報酬日額の6割(被扶養者がいない場合は4割)に当たる額が、出産手当金として支給されます。
これは、サラリーマンを対象とする健康保険にしかなく、国民健康保険にはありません。
*各健康保険組合にお問い合わせください。
3.育児に関して
(1)育児休業・育児時間
育児・介護休業法により、お父さん又はお母さんは、お子さんが1歳になるまでの間、事業主に申し出ることにより、育児休業をとることができます。また、労働基準法により、1歳になるまでの子を育てるお母さんは、1日2回、それぞれ30分(1日1回1時間にしてもよい)の育児時間をとることができます。
*事業主、埼玉労働局雇用均等室(電話048−822−4273)にお問い合わせください。
(2)育児休業給付・保険料の免除
雇用保険に加入されている方が育児休業をとったときは、雇用保険から育児休業中に賃金の20%が毎月、復職後に賃金の5%がまとめて支払われます。ただし、勤務日数が月に11日以上、1年以上の勤務歴、育児休業後復職することが条件になります。
また、育児休業中は健康保険と厚生年金の自己負担分の保険料が免除されます。
*育児休業給付:事業主、公共職業安定所(ハローワーク)にお問い合わせください。
保険料の免除:事業主、社会保険事務所、各健康保健組合にお問い合わせください。
(3)新生児訪問
赤ちゃんが生まれたら、母子健康手帳に入っているはがきを、できるだけ早く各市町村の保健センターへ郵送してください。もし、はがきを出す余裕が見つからなかった場合は、ご家族の方からの電話でも大丈夫です。このような情報から家庭訪問の希望があるご家庭に、保健婦等が家庭訪問をして出産後のお母さんの心身の様子や赤ちゃんの発育発達の相談、多胎児の育児情報の提供などを行っています。
*各市町村の保健センターにお問い合わせください。
(4)児童手当
3歳未満の子どもを養育し、所得が一定額未満の人に支給される福祉制度です。第1子、第2子は一人につき月額5,000円、第3子以降については月額10,000円になります。なお、平成12年6月から、対象が6歳到達後最初の年度末までの児童になる予定です。
*各市町村の児童福祉担当窓口にお問い合わせください。
4.育児支援に関して
(1)お子さんの短期のお預かり
ご家族の方の病気、介護、出産などの緊急の事情や出張などの勤務上の都合など、お子さんの養育にお困りになったときは、乳児院にお子さんを預けることができます。
*各市町村の児童福祉担当又は児童相談所にご相談ください。
(2)保育所(園)の利用
共働きや出産、介護などで一時的に家庭での養育ができないときは、保育所が利用できます。また、自治体によってはデイケア(一時的保育)を実施しているところもあります。
利用の条件は自治体によって異なりますので、お問い合わせの上ご相談ください。
*各市町村の児童福祉担当にご相談ください。
(3)家事援助サービス
出産や病気によって一時的に援助が必要になった家庭に対し、市町村によっては有料でサービスを提供できる社会福祉協議会・住民参加型サービス提供団体があります。サービスの体制は各機関によって異なりますので、お問い合わせの上ご相談ください。
*各市町村又は埼玉県社会福祉協議会にご相談ください。
(社)埼玉県社会福祉協議会
住所 浦和市岸町7ー4ー17(社会福祉婦人会館内)
電話 048ー822ー1191(代表) 企画指導課
*各市町村のシルバー人材センター・高齢者事業団又は埼玉県高齢者生きがい振興財団にご相談ください。
(財)埼玉県高齢者生きがい振興財団
所在地 浦和市上大久保519(浦和大久保合同庁舎内)
電話 048ー855ー0200(代表) 就業促進課
(4)ベビーシッターの利用
全国にあるベビーシッター会社からの在宅保育の利用も便利です。一回の利用料金のほかに入会金などがかかる場合もあります。
*お近くの会社を電話帳でお調べいただくか、下記にお問い合わせください。
(社)全国ベビーシッター協会
本 部(電話)03−3797−5020
西日本事務所(電話)06−6309−7011
5.子どもの病気に関して
(1)未熟児養育医療
生まれたときの身体の機能が未熟なため指定された医療機関で入院治療をした場合、入院医療費の給付が受けられます。家族の収入状況に応じて一部自己負担があります。
(1歳になるまで受けられます)
*保健所にご相談ください。
(2)育成医療
手足や体の不自由、目や耳の不自由、音声言語障害、心臓・腎臓障害及び先天性内臓障害のため、指定された医療機関で治療を受け、その治療により効果が期待できる場合、医療費の給付が受けられます。家族の収入状況に応じて一部自己負担があります。(18歳になるまで受けられます)
*保健所にご相談ください。
(3)小児慢性特定疾患医療給付
下記の指定された疾患群にかかっている場合、子どもの発育発達を保障し、疾患の原因解明と治療のため、医療費の給付(一部の疾患は入院の医療費のみ)が受けられます。 (18歳、一部の疾患は20歳になるまで受けられます)
(1)悪性新生物 (2)慢性腎疾患 (3)ぜんそく (4)慢性心疾患(内科的治療) (5)内分泌疾患 (6)膠原病 (7)糖尿病 (8)先天性代謝異常 (9)血友病等血液疾患 (10)神経・筋疾患
*保健所にご相談ください。
(4)特定疾患医療給付
原因が不明で治療方法が確立していない指定された病気(難病)にかかっている場合、医療費のうち一部自己負担を除く給付が受けられます。国が指定した特定疾患の他、都道府県が独自で指定した病気に対しての医療給付もあります。(年齢制限はありません)
*保健所にご相談ください。
(5)乳幼児医療費給付制度
乳幼児の医療費について、他の医療費の給付制度に該当しない場合に、医療費の家族負担分について助成します。
*各市町村の児童福祉担当窓口にご相談ください。
6.相談できる機関
(1)保健所・保健センター(保健婦・栄養士)
妊娠や育児など母子保健に関する相談は保健婦が受けています。保健婦は業務担当制又は地区担当制をとって仕事をしていることがほとんどです。「妊娠中の過ごし方について教えてほしい」「〇〇に住んでいますが、育児の相談をしたい」などと、気軽にご相談ください。また、ほとんどの機関には栄養士がいます。栄養管理や離乳食の進め方など栄養や食事に関することなど気軽にご相談ください。
(2)保育所(園)
0歳からの子どもを保育している保育所は、経験豊かな保育士が子育ての相談に応じています。保育所では地域の身近な子育てステーションとして、電話相談や地域の子どもたちとの『遊びの交流会』を開催したりと、保育所を開放する活動が始まっています。
近くの保育所の門をくぐってみると、保育士の笑顔と子どもたちの好奇心がお母さんと双子や三つ子たちを迎えてくれることでしょう。
(3)家庭児童相談室
お子さんのことやご家庭の問題で困っていることや心配なことなど気軽に相談ができます。市役所や県福祉保健総合センターなどに相談室があり、家庭児童相談員が各種の相
談に応じています。
(4)児童相談所
18歳未満の児童に関する相談を受ける機関ですが、担当する地域が広域になります。心理判定や療育手帳の判定や交付、乳児院や児童養護施設への措置、緊急一時保護などを行っています。
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三つ子を妊娠したと判ったとき、冷静なふりをしていても心は不安だらけだったのを覚えています。出産してからは、病院での説明や指導をできるだけお父さん(夫です)も聞いて、家族みんなで考えていったこと、三つ子のお母さんを紹介してもらったことが支えになりました。そんな経験が大切な宝物となって、今では多くの仲間と知り合うことができました。このパンフレットが妊娠中に手元に届き、大きな支えの一つになることを願っています。 ★「みらくる子ぶたはうす」石山久美子★
育児に関する情報はあふれているのに、双子に関する情報は少なくて本当に大変です。今回、双子以上の育児を支援するためのパンフレットの作成に、私も協力させていただくことができ、大変光栄に思います。我が家の双子はもう大きくなりましたが、一番大変だった0〜2歳の頃のことを思い出し、我ながらよくやってきたなぁと思いました。今はまだ忙しい最中のお母さん、必ずふっと楽になったと感じるときが訪れます。家族のペースでがんばってください。 ★「ツインキッズクラブ」久保田奈々子★
我が家の双子が5か月の時、双子の先輩お母さんのお話を聴くチャンスがあって、育児に疲れていたその頃の私には、とっても大きな栄養になりました。また、身近にいる双子のお母さんたちとも出会い、励まし合ったり、支え合ったりできる仲間として、今も一緒に活動をしています。「育児」は必要な情報と仲間があってこそ、上手に成し遂げられるものだと実感しています。今回のパンフレットづくりに参加できたことは、すてきな勉強でした。今度は私が先輩お母さんになれるように準備していかなきゃ・・・と思い始めたところです。 ★「にこにこサークル」小林 淑子★
妊娠7週目には双子と判り、驚きと喜びで胸がいっぱいになったのを覚えています。妊娠後期に入院し、大変な思いで出産したわりには、双子の娘をつい怒ってしまう毎日に反省する私です。双子育児は「喜びと苦労の時間差攻撃!」でも、いつもポジティブに双子をもつお母さん同士が励まし合いながら乗り切っていきたいですね。神様はきっと、そんなバイタリティのあふれるお母さんとお父さんに双子を授けてくれたのですから・・・。
★「にこにこサークル」(イラスト担当) 高野 修代★
双子を妊娠したとき、双子に関する情報もその情報を得る機会も、今ほど豊富ではなく、「近くに双子を育てているお母さんがいたらいいのに」と切実に思ったものです。その後、双子のお母さんに出会うチャンスに恵まれ、今ではたくさんの仲間と双子育児の喜び(時には大変さ)を分かち合えるようになりました。双子以上の育児支援パンフレットができて、本当によかったと思います。私も、今までたくさんの人に助けていただいたので、たくさんの双子をもつ仲間と、一緒に楽しんでいきましょう。 ★「さくらんぼ」村田ゆかり★
多胎児(双子以上)の育児支援事業を始めてから、多胎児の育児は一人の育児とは違う大変さがあること、育児や家事に追われ、その大変さを誰かに相談するゆとりさえも見つけられないほど忙しい毎日の生活であることを知りました。このパンフレットが妊娠中に手元に届くことで、多胎育児ならではの育児技術などの情報や共にがんばっている仲間がいるという安心感をもっていただけたら、嬉しく思います。また、身近な相談相手の一人として、保健婦にお気軽にご相談ください。 ★埼玉県朝霞保健所(保健師)渋川 悦子★
<参考資料>
横山美江編集『ふたご・三つ子のための保健・育児の手引き』
関西ふたご研究会 近畿大学医学部公衆衛生学教室 1995.8.発行
平成12(2000)年3月発行[改訂版] 埼玉県朝霞保健所 電話048(461)0468・FAX048(460)2698 ホームページhttp://www.pref.saitama.lg.jp/A04/BA04/ |