結婚式とDVD

 わたしが結婚式を挙げてかれこれ…ン年になるのだが、話はまずここから始まる。披露宴にありがちなプロフィール映像。やはり押さえるべき要点ということで会場さんにお願いした。ちょうどサンプルがあるというので打ち合わせのときに見せていただいたのだが、これがなかなかキビシイ代物であった。まるでカラオケのバックグラウンド映像。うっすらと寒気を覚えたが、値段を聞いた時点でついに凍りついてしまったことを今でも思い出す。

「自分で作ったほうがイケてるかも」

 それが正直な感想だった。しかしながらどうすれば作れるのかさえわからず、まったくもって暗中模索のスタートとなったのである。とりあえず電気屋さんのソフトコーナーでそれらしきものを買い、後はひたすらヘルプ・ヘルプ・マニュアル、マニュアル・マニュアル・タバコである。灰皿を山のようにしながら、かつて触ったことも無いソフトと格闘し何とかDVDに落とすことに成功した。そしてこの映像がそこそこ反響を呼ぶこととなったのだった。「感動した」「新しい」そしてその結果、

「俺にもつくって」

 かくして、私のDVD制作は始まったのだ。いつもひとつの式が終わるたび、他の誰かに頼まれる。業者さんに頼めば8万円などという値段も珍しくない。が、こちら基本がボランティア。しかも披露宴の1ヶ月前からはすべての休日が制作にあてがわれてしまう。休日出勤や当直などをこなしながら、その合間にまったくもって意味不明なアフターエフェクツ(abobe社製の高性能映像効果ソフト)を参考書片手にいじくってみたり。しかもこのソフト、購入したら約10万円。よって毎回体験版ダウンロード(使用期限1ヶ月なので、自宅や実家にVer違いで落とす)。色々と苦労があるのである。しかし、一番手ごわいのはクライアントが友達ベースであるという点なのだ。つまり、招待客がカブるケースが存在する。業者のようにテンプレートにはめ込んでハイ完成とはいかず、テイストも使う場面も毎回違う、マッサラな映像を求められる。最近は映像のクオリティも上がってきており、それなりの手間隙が掛かるのが現実で、正直ボランティアでやる範囲を超えてしまった。これで最後にしよう、そういつも思う。だが、新郎新婦の喜ぶ顔や、会場で上映されたときのオーディエンスのリアクション、そしてなにより、人生において大切な思い出作りに参加できるという大きなやりがいがある。

 なんだかんだ言ってもまだやめられそうにないし、もっとイイ映像を作りたい。いささか面倒な趣味を持ってしまったものだと、いまさらながら感じているのである。