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心 その16・宇宙誕生からの歴史(詳細編)  ESPECIAL ! 

回の「その15・太陽と人類」を執筆する以前に、今回の「16」と次回予定の「17」は、ある程度書き上がっていました。しかし、使われている専門用語や耳慣れない言葉が多く、自分自身でも難しいと思いながら書いていました。何よりも困ってしまったのは、「宇宙の始まり」や「ビッグバン以前」についての十分な説明をしている書物に出会うことができなかったからです。
 そのような訳で、しかも気まぐれな私の性分ですので、どのような展開になるのか判りませんが、今回は宇宙誕生から今日まで、次回は生命の誕生あたりから今日までのことを、他の哺乳類の進化などを織り交ぜながら、より詳しく書いてみようと思っています。前回の「その15」の内容とダブる部分があると思いますが、そのことに関しては寛容なご配慮をお願いします。【Please stop reading on the way, if you aren't interested in this contents of this article and the next one.(笑)】
 三大本能とは、食欲、睡眠欲、性欲であるということはよく言われていますが、自衛欲を入れて四大本能という説もあります。いずれにせよ、これらの欲望は生物の生まれ持った特性であり、「本能」と呼ばれてきましたが、最近では、本能と言わずに「遺伝子」と表現しているとも聞いています。この本能が、人類をはじめとする生き物の進化の原動力になったと考えていますが、同時に、生物の中でもヒトは頭脳の遺伝子が特に進化し、それらを理性、情緒、規律などで抑制するための「心」という機能の進化も必要な時代にもなってきていると考えています。
 宇宙は、およそ138億年前のある時、突然「ビックバン」(大爆発)が起きて、誕生したと言われています。その結果、何も無かった所に、「時間」と「空間」と「重力」と「エネルギー=物質」が生まれ、宇宙が出現しました。そもそもこの時点で、私のようなド素人には、無から有が生まれること自体、不思議でなりません。水のように個体、液体、気体とエネルギーの大小によって、エネルギーの高い「水蒸気」から、エネルギーの低い「水」に相転移した場合、そのエネルギー差がどこかに解放されることになりますが、このようなエネルギーのことを「潜熱」ということまでくらいまでは理解しています。しかし、「ビッグバン」の前の状態はどうであったのか、ビッグバンを引き起こした物質はどこから来たのか、何であったのかということは判っていません。
 すべての元素は宇宙で作られます。宇宙の端から内側を見るということは、宇宙の歴史を元素の種類によって見ることができるからです。つまり軽い元素は宇宙の初期に作られたので隅っこにあり、炭素Cを作るには何千万年、何億年かかるのでもう少し内側にあり、鉄Feなら星の中で作られます。ウランやプルトニウムは星が爆発しなければ作られない元素です。しかし、宇宙は元素だけでできているのではありません。それどころか「ダークマター(23%)」とか、「ダークエネルギー(73%)」と称される怪しげな「暗黒の物質」があり、これらが宇宙全体の96%を占めていることが、2003年にWMAP衛星「ゆらぎ」の更に詳しい観測により分かりました。
 「ダークマター」というのは、銀河や銀河団に集まってくる物質です。しかし、質量はあるのですが見えないのです。動き回ってますが、光を出さず、赤外線やX線などでも観測できません。でも、これがないと先ほどの「ゆらぎ」が成長して銀河を形成することはできないのです。最近になって、宇宙の誕生から今日までの歩みを予測できるようになりましたが、宇宙の大部分を占める「暗黒の物質」の正体の解明には、残念ながらまだ至っていないようです。宇宙物理学の分野では、これから解明しなければならない問題は山積しています。
 宇宙の誕生から90億年近く経過して、46億年前に「太陽系」が誕生します。大量なガスやチリなどが存在していて、モヤモヤの分子は崩壊し、収縮して、分子雲と言われている状態になります。それが台風のような円盤状になり、中心部は回転の運動エネルギーによって熱を帯び、だんだん温まっていったと考えられています。それが約5000万年間続いた後、初期段階の恒星である「原始星」が誕生します。これが太陽の卵です。太陽は周りの分子雲のほとんど(99%以上)を吸収してしまい、残りの1%未満の残りカスで、他の惑星や小惑星は形成されたと言われています。
 そこから更に1000万〜500万年後に、「微惑星」が誕生し始め、太陽系の原始の形が出来上がります。巨大なガス雲の一部の重力による収縮や、微惑星同士が太陽を周回している間に起こる衝突などによって、現在の地球が形成されました。現在でも、たまに小さな隕石が地球に衝突してきますが、これは過去に頻繁にあった名残りです。地球と月は兄弟と言われているのも、地球の1/10くらいの隕石が地球に衝突し、引きちぎられた破片が月になったという説に基づいています。
 46億年前に、衝突合体を繰り返し、太陽系の惑星の骨格ができ、その太陽から3つ目の星として地球ができました。41億年前に、海ができ、月の引力による潮の満ち干により、海と陸と空気の化学物質が海中で混合され、潮の干満で海中の無機物質や気体が化学反応を起こし、次第に複雑な化学物質が作られ、生命の素材となる炭素化合物、窒素化合物、リン酸化合物、アミノ酸、核酸などができ、最初の原始生命(原核生物)が誕生しました。生命の増殖に必要なエネルギーの観点から考えると,最初の生命が誕生した場所は海底火山の熱水噴出口付近であるという学説が有力です。マグマと接触した熱水には多くの硫化水素や二酸化炭素が含まれており,原始生命はそれらを還元してエネルギーを得ていたようです。

 生命の誕生には不可欠なタンパク質、膨大な量の有機化合物が必要とされています。有機化合物から多くのアミノ酸が生成され、その中から20種類のアミノ酸が抽出され、タンパク質となりますが、そのタンパク質も生命の誕生には膨大な量を必要となります。その条件に一番満たされているのが、深海底の熱水噴出孔と呼ばれている場所でした。他にも、微惑星や隕石が地球上に落下した際に、多種多量の生命誕生に必要な有機分子がもたらされたという説もありますし、最近では、地上の水溜りから誕生したという新説もあります。また、結論が出ない場合は、伝家の宝刀「突然変異」を持ち出す学者もいます。いずれにしても、どのようにして、代謝、外界との隔絶を確立し、自己増殖機能を得たのかは、残念ながら今のところ解っていません。このように、「生命の誕生」も大きな謎になっています。
 生命の誕生(生命の起源)に関しては、上記の外にも、生命誕生に必要な物質が衝突の際、宇宙から運ばれてきたなどの説もあり、「宇宙誕生」と同様、未だに確かなことは確立されていないようです。個人的には、宇宙規模の外的環境条件、原子の結合、そして増殖のためのエネルギーの獲得が、うまく噛み合ったという奇跡的現象としか考えられません。原子、分子は外的要因で移動することはできますが、生命体は命を維持していくためのエネルギーを確保しなくてはいけません。どのようにして、獲得する術を身に付けたのかも不思議です。
 原核生物とは、核膜を持たず、細胞内にむき出しの状態でDNAが存在する細胞によって構成された生物のことを意味し、納豆菌やビフィズス菌、黄色ブドウ球菌といった細菌類や、広義における藻類のシアノバクテリアなどが属します。そして22億年前、細胞の内部に核膜を持ち、核と細胞質が明確に区分されている細胞で構成されている生物(真核細胞)が登場します。原核細胞から真核細胞に進化するのに何と約20億年を費やしています。人間や哺乳類、鳥類、魚類などの通常の動物、種子植物やシダ植物などの通常の植物は、すべて真核生物です。そのお陰で、12億年前に多細胞生物が登場します。
 地球の歴史の中で、地球上に大陸並みの規模の氷床が存在している時代を氷河時代と呼んでいます。現在までに、これまでに知られている氷河時代は5回あり、現在も広大な氷床が南極大陸とグリーンランドにあるため、現在の生物は氷期(新生代氷河時代あるいは第四紀氷河時代)に区分されている時代の中に生きています。特に、8億5000万年前〜6億3000万年前に起きた氷河期は、氷床が赤道まで達し、スノーボールアース(全球凍結、すなわち地球氷玉)状態になってしまいました。それは5,000万年〜1億年以上も続いたと考えられています。
 しかし、6億年前に氷河期が終わると、動物群が出現し、生物が爆発的な多様化を始めます。いわゆる、カンブリア爆発という多細胞生物の急速な進化の一因になったのであろうという説です。1億年刻みで、魚類が出現し、植物が上陸し、節足動物も陸へ上がり、魚類から両生類が生じ、両生類から爬虫類が派生していきます。2.5億年前の中生代になると、恐竜時代が始まります。そして2億年前、原始的な哺乳類が現れ、鳥類も出現します。しかし、6500万年前に今のユカタン半島(メキシコ)のあたりに、直径10〜15kmの巨大隕石が秒速20〜30Kmで地球に激突して、あたり一面は焼き払われ、地層は一瞬で数十mめくり上がり、数qの高さの津波が発生したと推測されています。
 隕石の衝突により地球内部のマグマ溜まりが増大し、火山活動が活発になったことがわかっています。灰が地球を覆いつくし、太陽光を失ったことで植物は光合成ができなく、地球の生態系は破壊されました。隕石の衝突によって発生した硫酸が海に溶け出し、海を酸性化させました。また大気中の硫酸ガスにより酸性雨も発生しました。このような巨大天変地異により、恐竜は絶滅し、多くの他種生物も絶滅したと言われています。恐竜の時代には哺乳類の祖先も存在していましたが、大きさはネズミほどで夜行性であったと考えられています。
 約6500万年前に恐竜が絶滅するとその空白を埋めるように哺乳類は爆発的に進化し,多種多様な種が現れました。恐竜という最大の競争種が絶滅したことにより,哺乳類が新しい時代の最強種となり適応放散していった結果であると考えられています。草食のもの、肉食のもの、大きなもの、小さいなもの、樹上で暮らすもの、水中で暮らすもの、空を飛ぶもの…、哺乳類の世界はその前の恐竜の世界と非常に類似しています。このように種は異なっているにもかかわらず、同じような環境に暮らしている生物の体型や特定の器官が、とてもよく類似していることを収斂(しゅうれん)進化といいます。生物は環境に適応したものが生き残る可能性が高いというのは、自然界の厳粛な掟であるため、異なる祖先から出発しても同じような環境で同じように生きている生物同士は互いに似てくるということです。
 6500万年前に、ようやく類人猿の祖先と言われる狭鼻猿が出現します。そして500万年前に、類人猿から猿人が分化します。3万年前に、現在の人類ホモ・サピエンス(新人=クロマニョン人など)が誕生する訳です。新人類が登場したのは、20万年前くらいと考えられています。現代人の中には旧人ネアンデルタール人の遺伝子を持っている人もいて、ネアンデルタール人と接触して、共存していた時期があったことも判っています。旧人類もこの時代にまだ生き残っていたのですが、次第に新人類に取って代わって行きました。
 最古の文明と言われているメソポタミア文明は、ほんの5000年前のことです。このあたりから、人類の頭脳は驚異的な進化をしていきました。「人類史上の…、ルネッサンスの…、現代の三大発明」などの言葉がありますが、その問いに対して人それぞれに、いろいろなものを思い浮かべると思います。進化に大きく貢献してきたのは「文字」と「科学技術」であると、私は考えています。ただし、科学技術の進化は「もろ刃の剣」です。利便性ばかりを追求していると、ヒトの「心」は逆に頽廃していくのではないかと危惧しています。現在でも、犯罪に使用したり、公共意識が欠如したり、社会規範が守れなかったりする人が、年々多くなっています。そして、負の発明(遺産)としては「私利と偽善」の心と「原子爆弾」の発明を加えておきます。

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