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心 その15・番外編 太陽と人類  ESPECIAL !   

宙誕生から人類誕生までの文章構成に悪戦苦闘、四苦八苦している時、私のあまりの文才の無さに手を差し伸べてくれたTV番組がありました。この2年間、「心」を執筆するにあたり、参考になりそうな書物を読んだり、インターネットをサーフしたり、TVの教養番組を視聴してきました。気になるものは出来る限り時間を割いてきたつもりでしたが、なかなか自分の探し求めている内容のものには出会えませんでした。そんな悶々としていたある日、NHKTV番組「地球ドラマチック」の「太陽と人類」に邂逅しました。
 普段から、宇宙、自然、歴史、城、鉄道、旅など、自分が趣味としている番組はよく見ているのですが、まさにその番組は「救いの船」でした。「すべては太陽から始まった」というサブタイトルがついていました。地球上での進化を考える上で、全ての生命の中で一番進化したのはヒトであり、万物の霊長となり、今日では傲慢な地球の支配者になり、一方で、この50年、100年の間に、地球上に多くの危惧すべき問題を生じさせてきました。環境汚染、自然破壊、人口増加などです。異常気象、オゾン層破壊、大気汚染、海洋汚染、森林破壊、生態系破壊など、ほとんどの環境問題は人類の大量生産⇒大量消費⇒大量廃棄という日常の社会経済活動に起因しています。
 「宇宙船 地球号」という言葉があります。太陽は地球の産みの親で、46億年の歳月をかけ、太陽系の8つの惑星の中で、太陽が育てた一番優秀な子供であると思っています。であるならば、この地球上に生息する全ての生命体は同胞であり、地球から離れられない運命共同体の仲間であるはずです。人類が全生物の頂点に立っていると自負するならば、先頭に立って地球環境を守っていかなくてはいけません。その重要性をひとりでも多くの人に知ってもらうには、地球のドラマチックな歴史を理解し、将来に向かって少しでも長く「緑の地球」を維持していく「心(あるいは意識)」を持ってもらうことが必要だと考えていたからです。このことに関しては、最終回に詳しく書くつもりでいます。
 そこで、Blu-ray Disk に撮って「テープ起こし」をし、宇宙誕生からの歴史をコンパクトに解説しているこの番組を基に、私なりに多少アレンジして書いたのが、下記の文章です。

 太陽は全能の星であると考えられてきました。私たちの地球、環境、生物、そして時間の概念、宗教、科学など全てに多大な影響を与えてきました。かつては怖れと崇拝の対象であった太陽は、科学の力によって身近な存在になりました。私たちは今、太陽の圧倒的なパワーを理解し、コントロールしようとしています。今から約138億年前、宇宙はビックバンという爆発によって始まりました。高温・高密度であった宇宙は、やがて冷えてゆき銀河が形成され始めました。銀河では水素やヘリウムなどのガスが集まり、巨大なガスの雲、すなわち星雲が生じました。数十個の銀河の中では、私たちの銀河、つまり太陽の揺りかごとなる天の川銀河が誕生します。90億年という時の流れの中で、天の川銀河の内部では、何10億もの星が生まれては消え、巨大な星雲がいくつも創られました。
 新たな恒星、すなわち私たちの太陽は天の川の比較的端にある星雲の中から生まれました。恒星は星雲の中心部が収縮することによって形成されます。星雲内のガスが収縮し、塊となったのです。その塊が回転し、その周りにはガスと塵(ちり)からなる円盤が形成されていきます。この中心部の塊こそが46億年前に誕生した若き太陽でした。太陽は強い輝きを放つとともに、周囲の物質を飲み込んでいきました。そして5000万年後に、現在の私たちが知る太陽になりました。太陽の周りでは、ガスと塵の衝突が始まり、細かな塵が集まって、小さな岩石になります。そのような無数の岩石がぶつかり合いながら更にまとまって、より大きな塊を形成していきました。衝突の繰り返しによって、やがて惑星サイズの大きさになっていきます。そして、それぞれの惑星は自分の居場所を見つけ、太陽の周囲を回るようになり、太陽系が誕生しました。
 地球で生命が育まれるための準備は整いました。太陽はとても高温で明るい光を放ちます。そのエネルギーこそが生命誕生にとって必要でした。さらに地球は近すぎず、遠すぎず、すなわちハビタプルゾーン(住むのに適した立地)に位置していました。生命にとって不可欠である水が液体の状態にある領域です。しかし、誕生したばかりの地球には、隕石が激しく降り注ぎ、その表面は岩石の溶けた海のようでした。そのような環境下では、いかなる生物も生存不可能でした。ところが私たちは今、多くの生物と共に地球上に現に生存しています。植物から動物へと進化した生命、その始まりは微生物たちで40億年前まで遡ります。隕石の衝突も減り、生物が栄える準備が整ってきました。液体の水と生存に必要な成分、すなわち活動のエネルギー源と細胞のもとを作る栄養素があれば生命は維持できます。生命の進化に、太陽は決定的な役割を果しました。光合成をするバクテリアを誕生させました。
 およそ25億年前に登場したこのシアノバクテリアは、水を利用して酸素を放出しました。それは地球を一変させる革命的な現象でした。シアノバクテリアの増殖によって,大気中の酸素は増えてゆき、それは好気性生物(酸素を利用した代謝機構を備えた生物)が進化できる環境が整ったことを意味します。生命の進化は水の中から始まり、植物の祖先はシアノバクテリアと共生することで、光合成の能力を獲得しました。やがて植物の祖先から、藻類が誕生し、更に多くの細胞と組織構造を持つ、複雑な植物へと進化していきました。
 しかし、大気が酸素化されても、陸上にはまだ生物は現れませんでした。降り注ぐ太陽からの強い紫外線が、生物の細胞の成長を妨げていたからです。そのような太陽からの弊害を取り払ったのも、また太陽でした。高度およそ1万mの成層圏、そこでは酸素分子を破壊する紫外線のエネルギーは弱まります。破壊されずに残った酸素分子に、単独の酸素原子がくっ付き、酸素分子3個の新たな分子オゾン(O3)が誕生しました。やがてオゾンは地球を取り囲み、厚みを増して地球を取り囲む層となりました。このオゾン層は現在まで、地球の生物を紫外線から守る盾となっています。地球は強い紫外線に晒されることがなくなり、その結果、生物は水中の環境から陸上の環境へ進出するようになりました。
 およそ4億年前、コケやシダのような植物が地上に広がりました。これらは最初の陸生動物であるサソリ、ダニ、クモなどに生息地を提供しました。3億年〜2億年前には、恐竜、哺乳類、鳥類なども誕生します。類人猿としてのヒトの共通の先祖は、分子系統学(遺伝子の塩基配列や、たんぱく質のアミノ酸配列などの情報をもとに生物の進化の過程を解明しようとする学問分野)によると、2,000万年前にテナガザルと、1,700万年前にオラウ―タンと、800万年前にゴリラと分岐し、そして最後にチンパンジー、ボノボと分岐しました。それは600万年前のことです。そして現在まで、ヒト(ホモ・サピエンス)は分岐することなく続いてきています。以上が、宇宙誕生から現在までの流れを、3,000字で大まかに表した説明です。

 宇宙誕生から現在までを1年に換算してみると、とても分かりやすくなります。参考にしてください。また、(  前)内の数字は、専門家によって異なることがほとんどで、これからも変わっていくと考えられますので、参考程度の捉え方で十分です。私の学生時代(半世紀以上前)には、宇宙の起源や太陽系の誕生についての説明は何もなかったと記憶しています(笑)。1964年に宇宙マイクロ波背景放射が発見されて以降、宇宙は高温高密度の状態から進化したというアイデアを支持する観測的な証拠が次々に発見され、それまでの定常宇宙論よりもビッグバン理論のほうが、宇宙の起源と進化を説明するのに都合が良いと考える人が多数派になった歴史があります。

1月1日0時0分0秒 宇宙誕生(138億年前)
8月 地球誕生 (46億年前)
9月上旬 原始生命誕生(41億年前)
9月下旬 原核生物誕生(35億年前)
11月6日 真核生物誕生(22億年前)
12月1日 多細胞生物誕生(12億年前)
12月18日 魚類誕生(5億年前)
12月20日 両生類誕生(4億年前)
12月23日 恐竜誕生(3億年前)
12月26日 哺乳類、鳥類誕生(2億年前)
12月27日 恐竜黄金時代
12月29日 恐竜滅亡(6500万年前)
12月31日21時30分 ヒトの誕生 (500万年前)
12月31日23時57分 現人類ホモ・サピエンス(クロマニョオン人)誕生
12月31日23時59分25秒 メソポタミア文明(5000年前)
12月31日24時00分00秒 現在




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