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学習指導要綱改訂

習指導要綱改訂に伴い、2012年度から中学校で使用される教科書が全面改訂されました。「ゆとり教育」が廃止され「みのり教育」への転換ということになっています。文部科学省は『「生きる力」を身に付けてほしい。そのような思いで、新しい学習指導要領を定めました』と言っています。
 英語の教科書も様変わりしました。これからのよりグローバル化する社会では、日常的な英会話くらいはできなくてはいけません。そのため会話文、基本表現、慣用句が多くなっています。指導英単語数も今までの900語から1200語程度に増加しています。
 さらに特筆すべきは、文法の難化です。高校生になって最初に学習する5文型を、これからは中学生にある程度理解させる授業が必要になります。これには賛成です。日本語を満足に話せない、もちろん読むこと、書くことのできない日本人が年々多くなる中で、英語の力を借りて「聞く」「話す」「読む」「書く」の能力を総合的に身に付けさせる意図はよいことだと思います。これは中学と高校英語のギャップをなくす上でも役立ちます。
 入試対象になる他の4教科も、「ゆとり教育」の内容に比べればレベルは上がっていますが、30年前、40年前(現在50歳以上のおじさん、おばさんが)使用した教科書の難度に比べたらまだかなり劣っています。しかし、あまり学力のない生徒にしてみると、今までがあまりにもスカスカの内容でしたから、少しは勉強するようにならないといけないかもしれません。簡単に言ってしまえば、「ゆとり教育」直前の内容に戻ったと考えておけばよいでしょう。
 今年から高校入試も大きく変わります。神奈川県の公立高校入試は、この20〜30年ほとんど変化なくパターン化されていました。さすがにこの春の入試から学習指導要綱改訂に沿って変わるはずです。変わらなくてはいけません。文部科学省からのお達しもあったようで、記述式解答問題が多くなります。
 神奈川県教育委員会の入学者選抜学力検査問題についての通達では、すべての教科において「これまでより思考力・判断力・表現力等をみることを重視し」と前置きして、次のようなことが教科ごとに記されています。
 国語は「文章の内容を理解したり、資料(グラフ、図、表など)から情報を課題に応じて読み取ったりしたうえで、それを説明したり、根拠や考えを述べたりすることを一定の長さの文章で記述する問題を出題する予定です」。社会は「資料(文章、グラフ、表、写真、図など)から必要な情報を収集し、思考・判断した結果を文章などで表現する問題を出題する予定です。数学は「解答を導く過程を記述したり、証明や説明の過程の全部または一部を記述したりする問題を出題する予定です」。理科は「解答だけでなく、解答を導く過程や観察・実験の考察を記述したり、グラフをかいたりする問題を出題する予定です」。英語は「基礎的・基本的な知識を活用したり、資料(グラフ、図、表、文章など)から情報を整理して表現したりする問題などを出題する予定です」と記されています。どれも抽象的ですが、このことからも記述式問題が多くなることはわかります。
 もう少し具体的に補充しますと、国語ではある程度まとまった文章を書かせたり、数学の証明問題も穴埋めでなく、初めから結論まですべて書かせたり、英語では英作文を書かせたりするかもしれません。社会・理科も人名、用語などを記述させる問題が増えることが予想されます。どの教科でも記号で答える問題はグッと減るはずです。
 そうなると、各高校の合格基準は10%〜15%低くなるという意見も出ています。各教科100点満点で計500点(今年から神奈川県も100点満点)。今まで、400点で合格できていた高校は340〜360点くらいになるということです。独自問題を作成していたTOP高も県作成の問題をやるようになり、今までの問題内容では満点近い生徒が多数いて選抜できない事態になります。その意味からも難化することは確実であると考えられます。
 いずれにせよ、出題傾向、難易度にどんな変化があるのか今から楽しみです。

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