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子供の勉強を考える

記の表は文部科学省による神奈川県の公立小6年生と公立中3年生の学校外で勉強している児童・生徒の割合を示した調査結果です。

【平日】
3時間以上
全くしない
公立小6年生
18.3%
6.1%
公立中3年生
14.2%
9.3%
【休日】
4時間以上
全くしない
公立小6年生
12.3%
17.0%
公立中3年生
4.8%
19.5%

 地域格差や経済格差から、現代っ子の勉強量は勉強する子供と全く勉強しない子供の二極化がますます進行していると、5年、10年前からよく言われてきました。改めて、この具体的な数字を見てその実態に驚きました。今の小学生は5人に1人が平日平均3時間以上勉強しているのです。おそらく休みの日には10時間近く勉強している小学生も想像以上に多くいるのでしょう。教育関係の末席を汚している身でありながら、この数字を見て、喜ばしい現状というより何か違うなという気持ちのが強く残りました。ガキの頃には他に知っておくべきこと、経験しておかなくてはいけないことがいくらでもあるのにと感じました。
 この数字の中身のほとんどが私立中学進学のための進学塾での勉強ということは明白であり、純粋な自宅学習をしている児童は少ないと思っています。大手チェーン塾では父母が望み、多額の授業料を支払えば毎日でも通塾できます。実際、身近にそのような子供が何人かいることも知っています。このように、学校外学習のほとんどが塾や予備校での勉強であることに問題を感じます。
 そもそも、小学6年生が中学3年生より勉強しているというのはおかしな現象です。東京23区のデータですが、23区の公立小学生の40%近くが私立中学を受験しています。親たちは「人生は中学が勝負」と考え、名門私立に入れようと躍起になります。子供も親の思惑に答え(?)、無事合格したらしっかり勉強しなくなります。人生は長いのに、それから始まる「選択の時代」のが大事なのに、これもおかしな気がしてなりません。
 私は特別だったのかもしれませんが、小学生のときを振り返ると勉強した記憶がほとんどありません。中学生になってようやく、定期テストの前に机に向かうようになった記憶があるだけです。あまりにも勉強しなかったので、中学生になって塾に行かされるようになり、それが中学生時代の唯一の規則的な学校外学習であったような気がします。
 高校に入って大学を意識するようになってようやく、人並みに勉強し始めました。多少ではありますが、自発的に机に向かいました。このHPにも何度も書きましたが、学生時代の私は勉強が嫌いでした。しかし、嫌いであるがゆえに工夫し、集中しました。嫌いなこともしなくてはいけないことを学びました。自由が好き、拘束されることが嫌いな私には、責任と自発が必要であることも学びました。小学生まで全く勉強しない人間を、歳を経るごとに少しずつ机に向かうようにさせてくれた両親の育て方にも感謝しています。
 MPSでは昔から今に至るまで、多い人でも週に3回、6時間を maximum に学習指導してきました。残りの3日は自宅で学習、残りの1日は自分の好きなことをする時間、それが基本と考えてきました。勉強も、家事も、仕事も基本は自分の意思で、一人でするものであるというのが私の持論です。勉強に限らず自分の意思で行動することは、人生の中で大きな factor であることを、歳月も教えてくれました。缶詰にされたり、強要された時間の学習ばかりでは、点の効果しかなく、それから先の長い人生に役立つ線の効果があるのか疑問を感じます。今のような教育が続いていくと、いつの日か、日本人は考えることをしないマニュアル化された無機質な人間ばかりになってしまう気がしてなりません。
 嫌いな学校の勉強を自分の力で頑張ったということが、それから先の人生の経済面でのadvantage だけでなく、人生環境を豊かにしたり、精神的逆境の解決に役立ったりすることもあったと思っています。だから、子供たちには今でも「嫌いでも、学校の勉強はしておけ。」と、言い続けています。その気にさせるため「気付け。考えろ。動け。」と、付け加えています。いつの世も成人前に心・知・体をバランスよく鍛えられた子供は、社会人になっても多くの人に好かれます。その土台は「基礎の時代」の子育てと環境にあると考えています。

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