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命の値段(前編)
  〜医者だって、にんげんなのさ〜

 年齢を重ねるにつれ、事実を知る事によって、幸せになったり、不幸せになったり‥。日々窓口にやってくる患者さん(常務はお客さんと思っていると思う、サービス業だもん)を見ていると、こーゆう人が病気になるのねって思います。できたら病院いらずの人生を送ってもらえたらと思うので、参考にしてください。
1. 医療費のなぞ
 最初に断っておきますが、私はただの受付のSATOKO嬢(皆さんサトー製薬ってご存知でしょ? ユンケルとかサトちゃんの彼女でーす)。だから難しいことは厚生労働省とかに聞いちゃって!
 今日も60歳代くらいの男性が、薬局窓口に処方箋を持ってやってきたの。前に来たのが、確か一ヶ月くらい前かしら‥‥整形外科に初めてかかったらしいの。その時、シップと痛み止めを出してもらったらしいんだけど、今回は何でか、処方箋にはシップの名前しか書いてなかったの。とりあえずスタッフの皆さんが手分けをして(大げさに書いてるけど、処方箋をコンピューターに入力する人(事務)、薬袋(ヤクタイって呼びます)を作る人(ちなみに小田原市立HPは、コンピューター入力でプリントアウトされてくるらしい)、薬を集めてまとめる人(調剤)、それをほんとに出して良いかチェックする人(監査)、ってな感じで、細かくチェックされて作られているの。ソン所そこらの自動販売機とはわけが違うのよ! 時間がかかっても命を預かってるんだから、あんまり急がせないでよ!)いつものように処方箋通り「シップが4袋ですね。¥280です。前回の飲み薬で調子が悪いことありませんでしたか?(今回飲み薬がでてないって事は、蕁麻疹が出たとか、効果がなったとか推測するの)シップでかぶれたりしませんでしたか?」って、お渡ししようとしたら、その患者さんが、怒り出したのよ〜。(窓口ではよく見る光景なんですけど、あんまり怒らないほうが良いですよ。血圧上がるし、品がなく見られるし、どこの業界でもあることだと思うけど、ブラックリストに入るから‥。ブラックリストって作らなくても、2週間に1回、4週間に1度来ていたら、顔ぐらい覚えちゃうわよ。こっちだって、必死なんだもの。いかに患者さんを怒らせないようにするか。なんてったって常務はお客さんだと思っていると思うような営業方針だもの)っで、聞き耳をたてていたら、どうやらこの患者さん、「診察なしの薬だけ」ってパターンだったらしいの。病院慣れしていない人には、診察しなくても薬がもらえるの?って思われちゃうんだろうけど、これにはわけがあるのよ。いまどき、よっぽど暇で暇でどーしょうもない病院なら十分な診察を受けられるだろうけど。ちょっと大きくなると連日たくさんの患者さんがやってくるの。中には病院仲間みたいなのができて「あら、今日は○○さん来てないわね、どっか悪いのかしら」(‥元気だから来ないんだと思うんですけど。)、などと、まるで落語の世界じゃないけど、そういう病状の安定している方々には早く帰れるようなシステムが「診察なしの薬だけ」‥もちろん初回診察を受けて、同じ症状で3ヶ月以内なら(病名にもよるから全てではないけど)、Drが患者には会わずにカルテだけ見て薬だけ出しておあげなさい、って処方箋を書いてくれるの! ちょっと画期的でしょ。ちょっとだけ横道にそれるんだけど(本当にごく最近)薬も1度に長期の日数が処方できるようになったの。だって考えてみて! 3ヶ月も同じ薬飲むのに、何で薬は2週間分しかくれないのよー!って思いません!3ヶ月分一度にくれれば、1年間で4回来るだけですむじゃん!って思ったあなた、無精者! そんな認識じゃ成人病まっしぐらだわ。まぁコレステロールとか、ってあんまり急には数値が下がるものではないけれど、一ヶ月に1度ぐらいは病気の再認識をする為に病院に来て自分がいまどうゆう状態なのか気にするほうがいいと思うのよね。ほんとに最近までは一ヶ月以上は、一度にだしちゃダメとかってあったの。たくさん出しすぎると保険を斬られる事もあるのよ(甲状腺とか、俗にいう、てんかんとかの薬は90日OKでした。前から)、たとえば心配性のおばあちゃんが1日(ついたち)に、28日分もって行って、14日にまた28日分もって行って、28日にまた来たらもう処方箋は発行できませんって言われるの。まぁ考えてもみて、おばあちゃんだから1割よね。残りは税金よ!そういうこともあってか、あんまり長〜く処方はしてもらえなかったの。そうそう本題に戻らなくっちゃ。今回病院の窓口でどう話をしたのか、推測だけど「診察なしの薬だけ」で来て、病院にもお金を払ったのにここでもお金を払わなくちゃならないんだー!って怒っているおじさんの話。それもシップじゃなくて飲み薬の方が良く効いたんで、そっちが欲しかったんだって。ややこしい話‥。まず病院で何故お金を徴収されたか、診察なしなのに。Drに会ってないだけで薬を出して良いかどうか、Drは確認してるんです! 今の時代、処方箋の打ち出しはDr以外できないシステムになってるの! 昔はね、確かに紙切れ1枚にチョロット看護婦さんが書いて、Dr印を押せば出来上がりっていう時代もありました(薬局ではそれが誰の字だってわかってるんだけどね)。だから病院に支払うのも当然なんです。ただ、その保険点数を決めてるのは病院ではなく、厚生労働省と医師会がガッツリ組んで決めていることなので末端の病院ではそれに則って徴収しているだけです(異議のある方はお上にいってください。末端の病院の窓口で吠えても煙たがれるだけです。それじゃなくても忙しいのに)。それから何で希望したものが処方されなかったのか。それはどうやら病院のクラークさんとのやり取りがうまく行ってなかったみたい。薬だけの時には、クラークが患者さんの症状を聞いておいてくれて、Drにこんな感じで薬を希望されています、って仲介してくれるんです。でも今回は逆の事が起こってしまったようです。これは悪い例ですね。激込みの病院には看護婦の他にクラークを付けることによって事務以外のことで円滑に進めることがあるんです。そこでチェックするのが薬局です。医薬分業の出番!!! 
 昔はナイチンゲール以前、時代劇とかだと、医者っていうと一人で治療して薬を調剤してお会計をしてっ、て感じでやってるでしょ。今じゃ到底考えられないことだけど、まぁ患者数も少ないから時間もじっくりかけられただろうし、ミスなんてあったとしても、平均寿命も短いご時世だから見過ごされていたと思うけど、とにかく今は数こなさなきゃいけないのよ。1人のDrに100人単位の患者が付くとして、その患者さんがまた他のDrにもかかっていたとしたら、Dr同士話せる機会があれば良いけれど、なかなか忙しくて話せないのが現実。それに間違いがあるかも知れない。そんなときにはチームワークでしょう。お互いの情報を交換し合ってチェックしあう。それが医薬分業‥ときれいに書いたけど、実は昔ながらの大先生がいる個人病院では、まだ院内で薬を出している所も多々あります。理由としては、薬はその場所でもらうのが患者さんにとって楽だから(特に高齢の方とかね)、その他に実はトータルの支払いが安いから‥。言い換えれば保険点数が少ない。でもこれって利益が低いの。でも患者さんの為思ったら安いほうがいいでしょ? 外に行ってもらっていただいたほうが、自分の所に薬を置かなきゃいけないっていうリスク(薬って高いわよ〜。保険が利いてるから良いけど)もなくなるのに良心的よね。とにかく、今ほとんどの病院・クリニックでは定期処方の薬は全て外の薬局でもらってくださいね、ってなっていて、よく目の前に薬局あるの見ますよね。俗に言う門前薬局。大抵その病院の経営者の関係者がオーナーです。理由は分けたほうが儲かるから!!!「あんまり言うと、まずいんじゃない(サトちゃん乱入)」。お上の言うとおりの保険請求してるんだから悪い事してるわけじゃないんだし、いいんじゃないの?儲けがなかったらお給料でないじゃん。結構ハードよ、この仕事。人様の命を預かってるんだから、命はお金にかえられないのよ!! 毎日薬をただ渡すだけじゃなくて、Drの意思を汲み取りながら効果的に薬を飲んでもらって、元気になってもらうっていうのが仕事なの。こっちが病気になりそうな時も体を張らなきゃいけないんだもの〜。
 話がちょっとそれかかったけど元に戻すわ。門前薬局の長所:安い目の前の病院のオーダーにあった薬が備蓄してあるDrの癖を把握しているのでチェックがしやすい。何かあればすぐDrに照会の電話をしてくれる(小田原市立病院は、患者に説明してありますから、の一点張りで困ることがある)。短所:混む。安いってどういうこと?って思うでしょ? 例えば一日に400枚来る門前薬局と10枚くらいしか来ない地域密着の薬局を保険点数を一緒にしていたら、町の薬局潰れます。困るでしょ? 仮の話ですけど、A病院から出ている処方箋の70%以上を受け取っているB薬局では、10点取りなさい。C薬局は10%くらいしか来てないので20点取って良いですよ。1点10円ですから、100円違ってくるんです。それを知っている人もいます。知らなくて町の薬局に行く人もいます。通りすがりで楽なんだもの。っていうのが答えです。別に引き止めるつもりもないのでかまわないです。ただ今の支払いの仕組みってそんな感じ。でも、コロコロと保険点数の改正があるから今後どうなるかわからないけど。とにかくうまく利用してちょ〜だい。
 2. Drも人間
 先ほどの男性の患者さん納得していただく為にもう一度病院に戻ってもらい、Drと会って戻ってこられました。ちょっと一安心。なんでかって? 整形の先生ちょと一癖あり(他の先生もあるけど)。コンピューターをうまく活用されている方で、キーボード入力より、ボイス入力“命”って感じ。だから窓口で患者さんから「先生にこの薬も頼んだんですけど、書いてありませんか?」っていわれて電話しても「いや、そんな話は聞いてないよ」と切り返しが早い。そりゃーそーよねー。キーボードなんてまどろっこしいもの使わないんだもの(でもそれ正解よ)。そんなDrなので、うまく会話ができて安心したの。もちろん患者さんは納得されて帰られていました。良かった。そうそうDrも人間。ご機嫌ナナメな時だってあります。ミスだってあります。ナナメな時には、クラークさんをフル活用。看護婦と違って、そのDr専属なので女房役ですね、まずクラークさんにおかしいけど「これでいいの?」って聞いて、Dr承知が出れば、それで処方内容は大丈夫。下手に聞くと内容によってはおこられちゃうもの。かと思えば妙に低く出てきて、今日はご機嫌なんだ〜って、スタッフに「いまなら電話大丈夫。」って伝言しちゃうもの。ナナメくらいならいいわよ。ミスはまずい。前に患者さんから聞いた話だけど、内科の中堅どころの先生に診察をしてもらった時の事。どうやら症状からみて薬を替えたいけど、自分の今までのデーターでは症例がなかったので、内線で大先生の所に電話をかけたそうなの。「こういう時にはDが良いですかね?」。大先生:「いやいや、Eの方がいい」。「Eですか」。「Eが、いいんじゃ!」‥。患者さんの再現なので細かい部分は省きましたが、大体の内容はこんな感じ。まぁ中堅の先生も信じてEを処方しました。薬局もEを調剤して、お渡ししました。もちろん窓口では薬が変わったので、どうして変わったのかお伺いしながらです。そして2週間後、その患者さんは大先生に診察を受けたんです。その時事件は起こった!!「誰だ、こんな薬処方したのは。こんな薬効くわけないじゃないか」‥あんただよ!‥だから、そう聞いたじゃん。この診察室にも音声マイクがあったらよかったのに,残念ながらありませんでした。まぁ患者さんが覚えて下さっていたので、中堅の先生も命拾いですようね。
 ※続きは次回に。

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