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世界金融危機

境破壊、食の不信、犯罪の多発、そして経済不安。いやー、参りました。まさに人類は自分の欲望のために自らの首を少しずつ絞めているような気がしてなりません。いつ窒息死するのでしょう。私が天寿を全うするまでそんなに強く締めないで、時々コソッと息継ぎをして欲しい心境でいます。
 今回の経済不安は、社会の中でもリーダー的存在や上部に位置する企業や人間によって仕組まれたことで、彼らはそれなりの頭脳を持ちながら、社会全体の健全な姿よりも自分のことや会社の利益のことしか考えていなかった結果と考えています。そして悲しいことに、そのあおりを受けた人たちは、弱者や貧困者、あるいは底辺でひたむきにコツコツものづくりをしている人たちです。
 環境破壊、食の不信、犯罪の多発についてはすでに書きましたので、今回は恥を承知で経済不安について素人の考えを書こうと思います。日常の新聞、TVのニュース報道を理解する程度の知識しかなく、経済のことは詳しくありません。根本的な間違いがありましたら、金融機関にお勤めの卒業生の方、教えてください。
 そもそも、サブプライムローン返済の延滞が表面化してからよく使われるようになった「実体経済」とは一体何なのでしょう。最近ではNHKのニュースでもこの言葉がしきりに使われていますが、昔はどうもこんな言葉はなかったようです。実体経済という言葉は、現実経済を生産・消費などの実態面と貨幣・金融面に分ける際、実態面を取り出すときに用いる言葉のようです。中学生のときに勉強した国内総生産(GDP)という言葉はもともとケインズの流れを汲む近代経済学の用語ですが、その中でGDPを一国の実体経済の総量としています。なので実体経済とは、GDPのことだと考えていいと思います。
 また、マルクス経済学(科学的社会主義の経済学)においても、実体経済を国内総生産で示すことは間違っていないと考えられているようです。ただ、本当の生産をより厳密に分析して、教育や医療などのサービス分野の活動は本当の生産ではなく、農業や工業などの生産の基礎の上にあると見ています。
 それでは、今回この実体経済に大きな影響を与えたもうひとつの経済とは何なのでしょう。その対義語を探したのですが、案の定ありませんでした。言語的に創作すれば「虚像経済」ということになるのでしょうが、「博打経済」「ねずみ講経済」など過激な名称もありました。私が勝手に想像するに、金融、投資、証券、株取引などで資産価値を上げる商品を売買するマネー運用経済ではないかと考えます。いわゆるマネーゲーム経済です。
 2007年の全世界のGDPは、1ドルを当時のレート110円換算で6400兆円くらいと言われています。一方、金融資産の総額は2京2000兆円にもなります(10月11日「NHKスペシャル」より)。金融資産はGDPの4倍まで膨張しました。しかも、この金融資産はほとんどが通貨ではなく、イコール負債ということになります。信用、投機によって膨らんだ風船がいま急速に萎んでいるのが金融危機です。ここまで一般市民を巻き込むことになってしまった背景には、米国の失政、金融機関の投機の煽動があるような気がします。
 今回の世界金融危機で、アイスランドが国家破綻の危機にあります。自治体の夕張市、歌志内市の国家版です。アフリカの開発途上国では国家予算を組めない破綻状態の国がいくつもありますが、先進国では初めてのケースです。昨年までアイスランドは世界一住みやすい国でした。1980年代にそれまでの漁業と観光立国から金融立国に転換し、マネー運用経済で潤ってきました。しかし今回の世界金融危機で一気にそのバブルがはじけたというわけです。金融資産の崩壊は一国をも破綻させる甚大な破壊力を持っているということです。
 経済だけでなく環境も食も犯罪も、どの不安も人間の欲と驕りのもたらした人災です。現代人の心こそバブリー状態と言えます。豊かになりたい、幸せになりたいのは万人の望みです。そのためには、日々努力し、中身を充実させなくてはいけません。その結果として、努力と運に応じた楽しみを味わうことができます。張子の虎ではいけません。楽することばかり考えていてはいけません。身の丈の生活が実体経済です。

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