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中央大学

、中央大学は都心の真ん中、千代田区にあった。東京駅から中央線で御茶ノ水駅まで5分。聖橋口からニコライ堂の横を通り、徒歩5分足らずで着く。まさに東京の中心にあった。だから中央大学と名付けたのかどうかは知らない。八王子に移転してから、名前は同じでも別の学校のような気がすることもある。マスコミで母校の名を耳にすることも少なくなり、淋しい気持ちにもなっていた。
 そんな折、10日のスポーツ紙に我が母校「中大」の文字がそこそこ大きく載っていた。久しぶりに新聞紙面でキスマーク「C」を見た。この頃は甲子園の常連、智弁学園で有名になった感のあるあの唇形をした「C」である。中央大学が6月9日東都大学野球リーグの春季1、2部入れ替え戦で駒澤大学を(1部6位)を破り、2005年秋以来6季ぶりの1部昇格を決めたという記事であった。
 私が通っていた頃の中央大学は並みの大学ではあったが、国家資格の三大超難関試験と称されている司法試験と公認会計士試験の合格者数は最多を誇っていた。(もうひとつの国家公務員T種試験は昔からずっと東大であるが…)また、スポーツもあらゆる分野で強く、大学スポーツ界をリードしていた。私の回りにはオリンピックに出場するような選手もいて、一緒に麻雀をしたこともあった。箱根駅伝や東都大学野球でもよく優勝していて、そのような記事を見るのが楽しみでもあった。
 今ちょうど神宮球場と東京ドームでは全日本大学野球選手権が繰り広げられているが、大学野球は大学スポーツ界では駅伝とともに現在でも花形競技であり、その中でも東京6大学はハンカチ王子が早稲田大学に進学してから人気も再燃し、日本テレビが早稲田戦を平日に放映することもある。昔からプロ野球のセ・リーグ、パ・リーグの関係を模して、人気の6大学、実力の東都と言われてきて、東都は実力があっても人気面では東京6大学に遠く及ばなかった。
 それゆえ、東京6大学は大学受験生の目標校にもなってきた。人並みに勉強した生徒はなんとか6大学に入りたいと、Wが駄目なら、Mがあるさ。Mが駄目なら、Hがあるさと、なんとかHには入りたいとがんばったものである。6大学には日本の大学の頂点、東大。私立の雄、陸の王者、慶応。そして、人気の早稲田が名を連ねているから、どうしても受験生の関心は強くなる。
 それに比べると、東都大学はどのような大学が加盟し、どのような組織になっているかも知られていない。現在では受験偏差値が高く、知名度の高い大学では青山学院だけが何とか1部でがんばっている。そんな中、中央大学もこの秋のリーグ戦から1部で戦うことができるようになったというわけである。
 実は東都大学野球連盟には、21もの大学が加盟していて、4部リーグまである。3部には学習院大、上智大、4部には東工大、一橋大がいる。しかし、残念ながら文武両道は難しく、なかなか上部リーグに上がれずにいる。東大が東都大学にいたら、何部でプレーしているか興味深い。もしこの4校に、青山、中央が加わった東都6大学は、受験偏差値でも決して東京6大学に引けを取らない。そうなったら、受験生の大学への興味も変化してくるだろうと思う。
 少子化の中、各大学は生き残るために知名度を上げることに血眼になっている。私立の底辺校は募集定員の受験生すら集まらない。そのような状況の中、一番効果があるのはTVの中で校名を連呼してもらうことである。このことは大学ばかりでなく、私立高校の経営戦略にもなっている。よく放映される団体スポーツを強くし、校名を連呼してもらえれば受験生たちに学校の存在を知らしめることができるし、卒業生には母校愛を植え付けることもできる。
 特に、箱根駅伝に出場することはこの上ない宣伝効果だ。日テレのアナウンサーの興奮した大学名の連呼に、子供たちは社会科の用語より大学の名前を多く覚えてしまう。10年位前に中央学院大学が箱根駅伝に初出場したとき、冗談で「俺、本当は中央ではなくて、中央学院卒なんだ。」と中学生に言ったら、何の疑いもなくその話を鵜呑みにされたことを思い出す。実は内心ショックであったが、訂正する必要もないと思いそのままにしてきた。
 しかし、今年の箱根駅伝では中央学院大学は3位に入り、日テレのアナウンサーに連呼される回数も中央大学よりずっと多かった。もはや中央学院大学も全国区である。当時、私の冗談を素直な気持ちで聞いていたいたいけな卒業生の中には、私の出身大学を未だにそう思っている人がいるかもしれない。学歴詐称するつもりはなかったので、ここに訂正しておく。

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