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佑ちゃんと遼くん

 年夏の甲子園を沸かせた佑ちゃんフィーバーは、早稲田大学に進学した今も続いている。神宮球場でも活躍し、日米大学野球の代表にも選ばれた。集客力やTVの視聴率もプロ野球の上をいく。スポーツ紙に「(視聴率が)佑ちゃん、プロに勝つ」という大きな見出しがよく載る。1 年続いていた不敗神話も日米大学野球第5戦で敗戦投手になり「29」でストッブしたが、彼のコメントが「最近そういうことを言われて、少しその気になっていた。もう少し謙虚にならなくてはいけない。初心を思い出し、気持ちを引き締めたい。」 好感が持てる。
 ゴルフ界にもこの5月、新星が現れた。プロの試合、マンシングウェアKSBカップで日本ツアー最年少優勝を果たした遼くん。先日、フジTVでは遼くんの出場する「日本アマチュア選手権」を5日間延べ8時間にわたり放映した。アマの試合を地上波で放映するのは異例らしい。残念ながら実力を発揮できず、遼くんは予選で落ちてしまったが、もし彼が決勝に進出したら、7月7日(土)の午後に「ヤクルトVs巨人」の試合が組まれていたが、その中継をキャンセルしてまで放映する予定だったという。
 実は私、その試合の1日目の予選をTV観戦した。その日の遼くんは調子がよく、多くのギャラリーを喜ばせていた。しかし、翌日大きく崩れ、予選を突破できなかった。そもそも、ゴルフというスポーツは他の球技と違い、相手の球を奪ったり、相手からの球を返したりするのではない、球技としては珍しい個人競技種目である。審判もいない。トラブルの救済を受ける時に、競技委員やマーカー(ウィットネス的な同伴プレーヤー)の同意をもらうだけである。ゴルフとはミスのスポーツとも言われ、そのミスを誰のせいにもできない。自然ともう一人の自分との戦いのスポーツである。いかに平静心を保てるか。奢ったり、浮かれたり、腹を立てたり、キレたりしてはスコアにならない。運動神経より、精神力のスポーツで、私のような人間には向いていない。(だから、続けているのだが。) 遼くんのプレー態度を見ていて、還暦近いおじさんは恥ずかしい限りであった。
 佑ちゃん、遼くんにマスコミがつけたニックネームが「ハンカチ王子」と「ハニカミ王子」。二人とも笑顔がいい。今の若者には少なくなった爽快感がある。スポーツ選手にはひたむきで明るく憎めないキャラクターが必要だ。長島巨人軍名誉監督の現役時代を思い出す。スポーツ界の各団体はヒーロー、ヒロインの出現を待ち望んでいる。TVやスポーツ紙に取り上げられ、人気上昇を願っている。一人のヒーロー、ヒロインの誕生で、競技人口、観客動員はぐんと伸びる。今人気のあるスポーツ選手といえば、女子ゴルフの藍ちゃん、女子フィギュアの真央ちゃん、MLBで活躍する日本選手といったところであるが、各TV局は視聴率を稼げる人材探しに血眼になっている。(これはTVタレントにも同じことが言える。) うまくいけば、スポーツ紙やワイドショーが取り上げてくれ、相乗効果も生まれる。
 しかし、いくらTV局が視聴率アップのためといっても、いつも喚き散らしている「亀田三兄弟」だけはいただけない。TBSが彼らの試合の放映権を持っているらしく、この5月の試合の時も、何日も前から番組宣伝の画面に長男の顔がよく流れた。その映像を見るたび、「どうしてお前にメンチを切られなければいけないんだ!」 と、とても不快になり、その試合が終わるまでTBSの番組を一切観なかった。最近のマスコミには品位や社会常識がなくなり、話題になれば誰でもいいという傾向がある。(タレントやコメンテーターの起用にも見うけられる。) 取材側にも問題はあると思うが、人気者にはある程度の礼儀、マナーが求められる。大相撲のA、ゴルフのK、Uが、強いのに人気がないのはそこにある。スポーツは耐えている姿も美しい。そして、敗者の美学を知る日本人もまだいる。
 さらに、TBSは先日、とんでもない不謹慎な暴挙に出た。ハニカミ王子・遼くんの試合のゴルフコース上空にヘリコプターを低空飛行させたのだ。私の若い頃は「良識の東京放送(TBS)」と言われていたものだが、それも地に落ちた。そう言えば、亀田長男の世界タイトル戦のジャッジも、局側からの○○があったのではないかという物議をかもした。8月下旬に世界陸上大阪大会が始まるが、これもTBSの独占中継。何年か前、キャスターの織田君が「これからです。」「もうすぐです。」を繰り返して、国民注目の競技まで4〜5時間引っ張った体たらくを思い出す。これも非難を浴びた。(こんなことばかりしているから、天罰で楽天に敵対的買収の標的にされる?)
 話を戻そう。この歳になると、外見だけで人間を判断しないくらいの分別はある。佑ちゃんも遼くんも実生活での彼らを勿論知らない。画面に映るイメージに好感を持っているにすぎない。これからも成長を続け、今のままの(少なくても私にとって)人間であってくれたなら、勝手に応援したいと思っている。スポーツ選手だけでなく、スクリーン、ステージ、TVで活躍する役者や歌手の第一義はパフォーマンスとスキル。強い、上手いが最低条件。そして、共感である。彼らの印象が自分の感性に、そして彼らのパフォーマンスとスキルが自分の趣味に合っていれば好きになる。それだけのことである。
 アイドルを含めたヒーロー、ヒロインに求めるものは、当然、各人の興味・関心によって異なる。それは憧憬、郷愁、浪漫、心情、美意識だったりする。結局は、理想形をそばに置くことによって安らぎ、潤いを求めている。昭和30年代まではいろいろな媒体から英雄、人気者が生まれたが、近年はマスコミ、特にTVによって作られることが多い。これも今の映像の時代には仕方ない。打算や欺瞞に満ちた世知辛い世の中にあって、理屈なしに素直に、しかも純粋に応援できるスポーツ選手は一服の清涼剤である。

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