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MPSの三大約束事

 MPSの三大約束事を覚えてくれていますか? 
 1. 宿題をやってくる
 2. 塾敷地内では一切の飲食をしない
 3. 授業中の私語を控える

のこと以外にも、私は自転車(駐輪)の整頓、提出物や時間の厳守など、人としての最低限のマナーを守ることをかなり口煩く言ってきた。勉強をさせることだけでなく、ごく一般的な社会通念くらいは持った人間になってもらいたいと思ったからである。このことを守れない中学生には『減点』を科し、半年間で100点に達したら退塾させてきた。その『減点』も10年程前に廃止した。ちょうど塾の行事を全面廃止した頃に符合する。今も減点を続けていたら、おそらく半数の中学生が退塾してしまうだろう。
 マナーに理屈はないと思っている。マナーは各個人の他人への配慮であり、その違いは、まさにグレーゾーンの認識の違いである。だから、MPSのルールが厳しすぎるというのであれば、やめてもらうしかない。そう考えてやってきた。今でもこのことは入塾時に、強く生徒と父母に伝えているのだが、今はいくら注意してもダメな生徒はダメである。宿題に関しては、マナーというよりも、最低限の義務として言っているのだが、やってこない生徒が多い。英単語も覚えてくれない。しかも、やってなくても平然と塾に来る。「嫌いな勉強を少しでもできるようになるために塾に来ているんだろう?何のために高い月謝を払っているんだ。」と、今でも口を酸っぱくして言っているのだが、わかってくれない。これ以上は家庭の中に入って指導しなくてはできないことなので諦めた。
 塾敷地内での飲食の禁止は、現代社会では難しい問題でもある。ガムを噛むことは脳の活性化によいとか言われているし、ペットボトルを机の上に置いて会議している映像もよく眼にする。ただ、車内で化粧する若い女性のように、今の子供たちは公私の空間の認識(けじめ)がないので、そのまま放っておくと他人への迷惑行為がエスカレートしていくことを危惧して禁止としている。違反行為をする生徒は年齢に関係していない。公私の区別のつかない人間は、むしろ年齢とともにその感覚は退化していく傾向にある。教室の中まで口の中に物を入れて、モグモグさせている者もいる。黙っていたら、授業が始まってもそのままの状態でいるだろう。勿論今でも一喝しているが、このような周りのことを一切気にしない子供は、今改善しておかないと社会人になっても直らないと思っている。
 授業中の私語は今も少ない。これはあまり叱らなくても守ってくれている。これだけが最後のMPSの自慢できることかもしれない。学校のように騒がしいことは、この40年間1度もなかった。私の説明が終わって問題を解かせている間でも、騒がしくすることはない。話し掛けて他人の邪魔をする生徒もいない。今でも「静粛と笑い」の授業は健在だ。ただ、静かにしてくれていることはよいのだが、私の説明を聞かないで、勝手に自分の好きなことをしたり、ボケッーとしている子供が多くなった気がする。
 この2〜3年、新たな問題が発生している。そう、社会の嫌われ物、携帯電話である。多くの学校では携帯電話の持込を禁止しているが、MPSでは持って来ること自体を禁じていない。遅くまで授業をしているし、遠くから通っている生徒もいる。今までにも数回、携帯のことで叱ったことはあったのだが、先日ついに、授業中に「携帯に出ていいですか?」と聞く馬鹿と、いきなり携帯に出て会話を始める馬鹿がいた。これには私も唖然とした。塾に来て勉強しなくてはいけない時まで、携帯の奴隷になっている。勿論強く叱りはしたが(本当は持たせている親が指導することだが‥‥)、世の中ここまできたかという思いがした。
 最近、「格差」という言葉がマスコミによく登場する。『希望格差社会』『恋愛の格差』なる本まで出版されている。現代はあらゆる分野において、完全な格差社会になってきて、しかも二極化する傾向にある。40年間子供たちを見てきて、子供たちの学力、体力、躾などの格差は年々広がっていると感じている。それでも私は比較的上部に位置する生徒たちと接してきた。そのような彼ら(彼女ら)でもこんな状態である。だから、世間のどうしようもないガキどもには、マナーという言葉すら彼らの辞書にはないのだろうと思う。そんな奴らとはムカムカするだけなので、接しないようにしているが、そうなってしまったのは、生産者の責任である。子供たち以上に社会規範を守っていない大人たちは多い。そんな親たちに育てられた子供は当然のこととしてマナーなど知る由もない。
 日本の将来が不安になるようなことをいろいろと書いてきた私だが、今の世の中にも素晴らしい子供はたくさんいると思っている。子供はみんな未完成だ。日本の宝だ。だから教え、鍛えるのである。誘惑や弱い自分と戦い、「メンドイ」「タリィ」に負けず、与えられた課題にコツコツ取り組む子供がいる。そして成長していく子供がいる。このようなまさに「build up」しようとしている子供を、社会は支援しなくてはいけない。努力、我慢する子が報われる社会であってほしいと願っている。すべきことはする、守るべきことは守る、「信賞必罰・勧善懲悪」、私はそんな思いで塾をやってきたのかもしれない。一部の阿呆の学者やマスコミが現代の子供たちの異常行動や劣化のことばかり議論したり、報道したりしているが、そこからは何も生まれない。教育は実践である。
 今でも、MPSには昔のあなたたちと同じような心を持った可愛い子供がいる(どういう訳か、男子生徒に多い)。昔のように楽しく厳しく接することのできる子供がいる。ルールもちゃんと守ってくれ、勉強も運動も自分なりに頑張っている生徒がいる。こんな子には昔のようにどこかに連れて行ってあげたいと思うことがある。教室の外に出て、「本気」「充実」の人生こそ、楽しいものだということを教えたい。しかし、なかなかそうしてあげられない状況になってしまったことを寂しく思っている。

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