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ズバリ言い返すわよ!

B会のHPを開設してから、「三宅先生の文章を読んでいると、細木数子と同じようなことを言っている。」と、複数の卒業生から言われています。私が細木女史のことを知るようになったのは、ほんの1〜2年前のことで、それまで顔は何度か見たことはありましたが、名前までは知りませんでした。最近ではTVにもよく顔を出すようになって、かなりの有名人になっていますが、何の興味もありませんでした。仕事柄夕方以降のTV番組はあまり見ませんので、彼女がどんなことを言っているのか知りませんでしたし、あの顔とあの態度ですから、聞く気にもなれず、「そうなの。」という程度の生返事で、受け流していました。
 ある授業のない夜、自室でTVのチャンネルを回していると、あの顔がアップで写っていました。人のことは言えませんが、相も変わらず横柄で生意気な口調でした。何よりも第一印象がよくありません。派手なあの化粧と衣装です。趣味もよくないです。いつもなら I would keep at a distance. I would do anything but that. の心境なのですが、どうもその日は私の機嫌が良かったのか悪かったのか、どの番組であったかは忘れましたが、彼女の話に耳を傾ける気になりました。聞いていくうちに、確かにいくつかの点で発想の近さを感じました。特に社会の乱れを憂い、その原因は個々の心の退廃にあるという点は同感でした。
 私は以前から、話題になった本や、話題になった人物の本は読むことにしています。それでなくては評価できません。最近では「蛇にピアス」で芥川賞を受賞した金原ひとみの作品も読みました。親しい飲み屋のオヤジに借りたもので、タイトルは忘れました。セックス描写ばかりで、あれは文学小説というより、若者向きのフェチ・エロ小説でした。そんな猟奇的な本を読んでしまった直後なので、受賞作の「蛇にピアス」まで読む気になれませんが、似たような内容なら、よく芥川賞を取れたなと思っています。
 細木女史の本も一冊読んでみることにしました。本屋に行くと、女史のコーナーができているほどで、確かに凄いブームなんだなと感心しました。「世界一占いの本を売った人物」ということでギネスブックにも載っていると、本の中でも自慢していました。その中から、私は「心の常識」という本を選びました。数時間で読み終えてしまう程度の内容で、目から鱗が落ちるような話はありませんでした。心の常識といっても本当に基本的なことばかりで、昔、年寄りが話していたり、していたことを書いているだけです。ただそれだけの内容でした。女史は「六星占術」師ということですが、書かれている内容のほとんどは人生論で、「六星占術」は申し訳程度に巻末に添えられているだけでした。ちなみに、私は木星人の+でした。平成18年は「再会」という運気らしいです。しかし、キーボードの変換キーを叩いたら、「最下位」と表示されました。
 科学の発達していない時代、昔の人は生活の中から得た知恵を大切にして生きてきました。それはまさに経験学習したものの積み重ねで、それらのものの中で、多くの人が感じ、認められたものが習慣や社会規範となって、今日に残ってきたのではないでしょうか。その中には現代人が忘れてはいけないことがたくさんあります。その点の指摘は同感です。ただ、金を取って教えるほどのことではないと感じました。少なくても昭和1ケタ以前(70歳以上)の親を持っている人間は、女史の書いていることは子供の頃に耳にタコができるくらい聞いています。私の発言や雰囲気が北野武とも似ているとよく言われますが、これも同じ団塊の世代ということだけでなく、ガキの頃に腕白坊主で、親に心配ばかりかけ、この歳になって人の何倍もその教えが身にしみてわかってきたから、彼はTV番組の中で、私は授業や日常会話の中で、そんな話を折に触れ、してしまうのだと思っています。それをうまく金儲けに結びつけるあたり、さすがに女史はやり手バ○○です。本の中にも金の亡者であるような文章が何箇所か出てきます。
 本の主旨はこうでした。なるべく原文のままに書きます。『自分をプロデュースするのに必要な約束事が五つある。それは、まず第一に健康を維持すること、第二に心を生かすこと、第三に社会人としてのルールを知り、守ること、第四に分相応のお金を儲けること、そして第五に世のため・人のために尽くすことである。』 しかし『現代人の多くは「貪(むさぼり)」「瞋(いかり)」「癡(おろか)」の三毒に犯され、欲に目がくらんで、頭も働かず、正しい判断ができなくなっている。』 というのです。更に、健全な心と体を維持するためには、『先祖の供養をして、気のパワーをもらいなさい。「生きている」ということは、すなわち「生かされている」ということであり、その意識を持ちなさい。』 ということも強調されていました。
 200ページの本一冊で、これだけの情報しかありませんでした。あとは女史の主義・主張を補強するための自慢話やエピソードの具体例が、これでもかというくらいに並べられていました。この本一冊だけでは女史の考え方をどうこう言えませんが、ただ、この本に書いてあるようなことは、私のような古い人間には、ブライオリティーや細部での異なる点はあっても、総論的には似通った考え方を持っている人が多いのではないでしょうか。ですから、卒業生から似ていると言われていることも、昔の人の多くが考えていたことであり、取り分けて女史とだけ似ていることにはならないと思っています。何も新しいことではないのです。
 彼女の言う『自分をプロデュースするのに必要な五つの約束事』を、『人生を楽しむ五つの約束事』に置き換えて、プライオリティ順に簡単に述べさせてもらうなら、私も第一は健康です。丈夫な体は何よりも幸せなことです。第二に、私は社会のルールを守ることを挙げます。社会の秩序の維持は争いごとを減らします。第三に、人格形成です。これは内面の豊かさだけでなく、人生の外的豊かさにも繋がります。いわゆる交友関係などです。そして、第四にお金。第五に「地球」という生命体を守る心ではないでしょうか。生き方はどうでもいいでしょう。言葉は悪いですが、本人の勝手です。最低限の社会ルールとマナーを守れば、自分の人生です。自分の価値観、人生観に素直に生きていける人は幸せだと思っています。金や名誉や欲に無縁な人でも、幸せな人はたくさんいるわけですし、好きな人と一緒にいられ、好きなことができれば、こんな幸せなことはないでしょう。逆に、人生はお金が全てであると思っている人は、それで幸せを感じているのですから、周りでとやかく言うことではありません。
 女史のあの生意気な態度は、自分は人生の成功者であり、金儲けもできたという自信からきているのでしょう。私と大きく違うのは、その点でした。私は人生の失敗者ですから(不幸せ者とは言っていません。誤解しないでください。)、 あそこまで独善的にはなれません。どの分野でも、お金持ちになったり、成功したと思っている(あるいは思い込んでいる)人間は、それに見合うだけの心が伴っていないと、生意気な人間や偏った人間になりがちです。女史の本を読んでみて、よく自慢する女だと思いました。内容が陳腐な割には、表現はTV同様、生意気でした。当然何人かのブレインを持っているのでしょうが、それなりの勉強をしていることも事実です。これが感想です。

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