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X1 Spring Flowers (1976) [Vasant Rai] Vanguard |
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Vasant Rai : Sarod, Acoustic Guitar, Flute, Tambra
Jerry Goodman : Violin
Dilip Naik : Ekectric Guitar Paul McCandless : Oboe, English Horn
Gren Moore : Bass, Piano
Colin Walcott : Tabla, Congas, Percussion, Sitar, Electric Bass, Producer
[Side A]
1. Smile Of Goddess Saravati [Vasant Rai] 4:34
[Sarod, Violin, Conga]
2. Distant Village [Vasant Rai] 5:15
[Flute, Sitar, Piano]
3. Spring Wind [Vasant Rai] 5:55
[Oboe, Violin, Sarod, Bass, Tabla]
4. Guitarist From Unjha [Vasant Rai] 4:34
[Classical Guitar, Tambra]
[Side B]
5. Saptak [Vasant Rai] 6:49
[Electric Guitar, Sarod, Violin, Tabla]
6. Leaving Home [Vasant Rai] 4:30
[Electric Guitar, Sarod, Violin, Tambra, Conga]
7. Midnight Medetation [Vasant Rai] 6:55
[English Horn, Sarod, Bass, Tabla]
注 写真上: レコード盤のジャケット 「Spling Flowers」
中: CD盤のジャケット 「Spring Flowers/Autumn Song」
下: Oregon 「Jade Muse」 2002
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2002年に発売されたオレゴンのベスト盤「Jade Muse」には、「Spring Wind」、「Late-Night Guitar」という耳慣れないタイトルの曲がある。これらはインド人のサロード奏者ヴァサント・ライ(1942-1985)がヴァンガード・レコードから出したアルバムに収録されていたもので、ラルフを除くオレゴンのメンバー3人(コリン・ウォルコット、ポール・マッキャンドレス、グレン・ムーア)
が参加していたため、オレゴンのアルバムに含まれたものだ。
サロード(Sarod) は、リュートのようなボディーに18〜19本の弦を張りピックでつま弾くインド音楽の弦楽器で、その名手であるヴァサント・ライは、1969年よりニューヨークを本拠地として活躍、シタールのラヴィ・シャンカール、タブラのアラ・ラカとともにインド音楽を世界に広めた功績で歴史に名を残している。また西洋の音楽にも精通し、両者を融合させた先進的な音楽を創造した。西洋人のミュージシャンに対する音楽指導も熱心に行い、コリン・ウォルコットは彼に師事してインド音楽の極意を習得した。彼はオレゴンと同じレーベル、ヴァンガードと契約しアルバムを2枚制作、その1枚目が本作で弟子のコリン・ウォルコットがプロデューサーを務めている。本作は1976年なので、オレゴンとしてはアルバム「Together」O6の時期にあたる。
1.「Smile Of Goddess Saravati」は、サロッド、バイオリン、コンガのシンプルな編成による演奏。冒頭の曲からヴァサントの凄いプレイが炸裂する。バイオリニストのジェリー・グッドマン(1949-
)は、シカゴ生まれで両親はシカゴ交響楽団の弦楽器奏者だった。クラッシック音楽の教育を受けた後、地元のジャズ・ロック・グループのザ・フロックに加入。その後ジョン・マクラグリンのマハヴィシュヌ・オーケストラに参加した。本作の録音は同グループから脱退後、ヤン・ハマーと活動していた時期にあたり、鮮やかなソロを聴かせてくれる。2.「Distant
Village」はヴァサントによるフルート、コリンのシタールとグレンのピアノによるシンプルな伴奏。オレゴンのベスト盤に入っていた 3.「Spring
Wind」は、アップテンポのリズムをバックにオーボエ、バイオリン、サロッドがソロを展開する。途中オーボエ、ベース、タブラのみになる部分があり、それは初期のオレゴンそのもののサウンドだ。終盤の急速調でのサロッドのプレイが驚異的。インド音楽と西洋音楽が見事に融合した名演といえよう。4.「Guitarist
From Unjha」の「Unjha」は、インドにあるヴァンサントの出身地の地名。タンブラが奏でる持続音をバックにしたナイロン弦ギターによる超絶演奏。
5.「Septak」で、エレキ・ギターを弾くディリップ・ナイックはインドで活躍するギタリスト。ニューヨーク滞在中は、ジョン・アバークロンビーやジョセフ・ロデュカ
(D26参照)等と一緒に演奏したが、同地では成功を得られずインドに戻ったとのこと。6.「Leaving Home」は、ミドルテンポによる穏やかな感じの曲。7.「Midnight
Meditation」でポールが吹いている楽器は、オーボエよりも音が低いので、イングリッシュ・ホルンだろう。アルバムのクレジットには記載がなく、その代わりに本アルバムでは聴かれない「French
Horn」の表示があり、恐らく記載ミスと思われる。
なお本作は後年CD化されたが、次作「Autumn Song」X2の6曲と合わせて「Spring Flowers/ Autumn Song」として発売された。その際にジャケットは「Spring
Flowers」を改変したものが使用された。
インド音階に彩られた瞑想感溢れるジャズ音楽。
注: ラルフ・タウナー不参加なので、「番外編」に掲載しました。
[2023年12月作成]
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X2 Autumn Song (1978) [Vasant Rai] Vanguard |
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Vasant Rai : Sarod, Piano, Flute, Shruti Box (Swarpeti)
Steve Kindler : Violin
Robert Kindler : Cello
Kokila Rai : Tambura Paul McCandless : Oboe, English Horn
Gren Moore : Bass
Colin Walcott : Tabla, Drums, Congas, Musical Bow, Percussion, Producer
[Side A]
1. Autumn Song [Vasant Rai] 7:12
[Oboe, Sarod, Shruti Box, Tambra, Bass, Tabla]
2. Country Wedding [Vasant Rai] 4:48
[Flute, Musical Bow, Percussion]
3. Bhairui (Dark Eyes Girl) [Vasant Rai] 4:48
[Oboe, Violin, Cello, Sarod, Tambra, Shruti Box, Bass, Drums]
[Side B]
4. Lullaby [Vasant Rai] 5:07
[Violin, Cello, Sarod, Piano, Tabla]
5. Late-Night Guitar [Vasant Rai] 3:42
[Sarod, Tabla]
6. Sunlight Dance [Vasant Rai] 7:58
[Oboe, Violin, Cello, Sarod, Tambra, Bass, Conga]
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コリン・ウォルコットのプロデュースによるヴァンガードからのアルバム2作目。前作同様、ラルフ以外の3人が参加。1978年なので、オレゴンとしてはアルバム「Violin」O8、「Out
Of Woods」O9の時期に相当する。音楽的には1枚目と同じだが、オレゴン以外のメンバーが入れ替わっている。スティーヴ・キンドラーは、マハヴィシュヌ・オーケストラ、ヤン・ハマー等と共演した人。チェロのロバート・キンドラーは彼の兄弟で、1987年に「Waters
Of Life」というアルバムを出している。
1.「Autumn Song」はタンブラの音からスタート。サロードによるスローなメロディーから、リズムがフィルインし、オーボエとバイオリンによるテーマメロディーが入る。バックに流れるシンセサイザーのような重低音はベースの弓弾きと思われる。2.「Country
Wedding」は、ヴァサントのフルートがメインで、コリンが演奏するミュージカル・ボウは、弓に張られた弦をスティックで叩くことにより音を出すアフリカの楽器。ブラジル音楽のビルンバウの起源と言われる。3.「Bhairui
(Dark Eyed Girl)」は本作のハイライト。急速調のテンポで目が眩むようなアンサンブル、各楽器の名手たちによる怒涛のソロが展開される万華鏡のような曲。コリンが珍しくハードな感じでドラムを叩いている。バックに聞こえるドローン音は、Shruti
Box(小型で鍵盤の代わりに奏でる音のスイッチが付いているハーモニウムのようなインドの楽器)だろう。オレゴンの急速調の演奏よりもハードな感じのサウンドは、お宝を見つけたような気分。
4.「Lullaby」は一転優しい感じのスローな曲。5.「Late-Night Guitar」は、オレゴンのベスト盤「Jade Muse」に入っていた曲。曲名では「ギター」となっているが、ヴァサントが弾いているのはサロードだ。サロードとタブラのデュオで、タブラのリズムに乗って飛翔するかの如くサロードを弾きまくるプレイが圧倒的で、二人の精神的な結びつきを強く感じる。6.「Sunlight
Dance」はミドルテンポによる自由で伸び伸びとした感じの演奏。終盤のサロードとコンガの掛け合いが面白い。
なお本アルバムは単独ではCD化されず、「Spring Flowers」X1 のCD化の際に一緒に収められた。
ヴァサント・ライはその後もニューヨークで活動を続けたが、1985年カーネギー・ホールでのコンサートを終えた後、自宅で43歳の若さで急死した。ちなみにコリン・ウォルコットの交通事故は1984年11月8日なので、コリンはその前に亡くなっていたことになる。
プロデューサーとしてのコリン・ウォルコットの趣向が色濃くでた作品で、初期オレゴンとの共通点を多く見出すことができる。
注: ラルフ・タウナー不参加なので、番外編に掲載しました。
[2023年12月作成]
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