Jazz Standard, New York (2017) 音源 |
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Ralph Towner : Classical Guitar
Feb 15 Day1 1st Set 19:30
1. Blue As In Brey [Towner] 6:44
2. My Foolish Heart [Ned Washington, Victor Young] 4:33
3. Saunter [Towner] 7:06
4. I'll Sing To You [Towner] 6:21
5. Jamaica Stopover [Towner] 4:21
6. Pilgrim [Towner] 6:06
7. Rewind [Towner] 4:16
8. Tramonto [Towner] 5:35
9. Dolomiti Dance [Towner] 7:00
10. I Fall In Love Too Easily [Sammy Cahn, Jule Styne] 5:16
Feb 15 Day1 2nd Set 22:00
11. Blue As In Brey [Towner] 6:35
12. Pilgrim [Towner] 3:53
13. Anthem [Towner] 7:16
14. Saunter [Towner] 6:29
15. My Foolish Heart [Ned Washington, Victor Young] 4:48
16. The Prowler [Towner] 5:52
17. I'll Sing To You [Towner] 6:05
18. Joyful Departure [Towner] 4:03
19. Always By Your Side [Towner] 2:44
20. Dolomiti Dance [Towner] 8:11
21. I Fall In Love Too Easily [Sammy Chan, Jule Styne] 7:24
Feb 16 Day2 1st Set 19:30
22. Blue As In Brey [Towner] 7:03
23. My Foolish Heart [Ned Washington, Victoe Young] 4:59
24. Saunter [Towner] 6:01
25. I'll Sing To You [Towner] 6:20
26. Jamaica Stopover [Towner] 5:24
27. Pilgrim [Towner] 5:54
28. Rewind [Towner] 4:41
29. Dolomiti Dance [Towner] 6:44
30. Anthem [Towner] 4:50
Feb 16 Day2 2nd Set 22:00
31. Joyful Departure [Towner] 7:12
32. I Fall In Love Too Easily [Sammy Kahn, Jule Styne] 5:38
33. I Sing To You [Towner] 4:30
34. Nardis [Mile Davis] 7:34
35. My Foolish Heart [Ned Washington, Victor Young] 5:33
36. Saunter [Towner] 4:55
37. Shard [Towner] 3:21
38. Dolomiti Dance [Towner] 8:03
39. Always By Your Side [Towner] 2:56
40. Anthem [Towner] 4:25
収録: Febuary 15 & 16, 2017, Jazz Standard, New York, NY
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ジャズ・スタンダードは、マンハッタンの27丁目イースト 27丁目にあったジャズクラブで、ニューヨークでも指折りのライブ・ハウスだったが、2020年コロナ禍のために閉店した。
ラルフのソロアルバム「My Foolish Heart」 R28 の発売が2月3日だったので、本音源はその直後のコンサートの模様を捉えたもの。オープニングのアナウンスの際に、マイクセッティングと思われる擦れる音が聞こえるので、オーディエンス録音と思われるが、その後は観客の雑音も入らない良質な音質で、クロージングのアナウンスも含めて、2日間4ステージがノーカットで録音されている。二日目のファーストセットのみ2つの異なる録音(音質良いが途中で「ブブブ」という大きな雑音が入るものと、音質は劣るが雑音が入らないもの)を聞くことができた。
「My Foolish Heart」 R28 収録曲が半分の曲目。あとは「Solo Concert」 1980 R9、「City Of Eyes」
1989 R13、「Open Letter」 1992 R14、「Oracle」 1994 R16、「ANA」 1997 R19、 「Anthem」
2001 R23 から愛奏曲を選んでいる。セット毎に微妙に曲が異なっているのが面白い。ファーストセットとセカンドセットの曲が一部重複しているのは、セットの合間が1時間半あり、ファーストセットで帰る人が多いため。席を立たなければ、両方とも見ることができるが、その間の待ち時間が長いので、私の現地経験では、酒を飲んで時間感覚を失わないと、かなりの忍耐が要る。
ラルフによる曲間のアナウンスから。「Pilglim (巡礼者)」は、彼の自宅から見える山 「Montagna Pellegrini」の英語訳とのこと。また「My
Foolosh Heart」の元となったビル・エバンスの演奏は、彼の人生を変える曲だったと語っている。
2日間にわたり、同じ曲の演奏を何度も聞くことができるのが本音源の価値で、ギターソロなので、演奏毎に全く異なる内容とまではいかないが、音選びやタイミングの違いは顕著で、彼の音楽を演奏するクラシック畑のギタリストとは異次元の自由さ、スリルを味わうことができる。時々微妙に音をはずしたりするけど、それこそジャズの醍醐味なのだ。
[2022年5月作成]
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Boundless Festival, Murnau, Gemany (2017) 音源 |
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Norma Winstone: Vocal
Ralph Towner: Guitar (2,3,4,6,7,8)
Glauco Venier: Piano (1,5,8)
Klaus Gesing: Sax, Clarinet (1,5,8)
1. Cucurucucu Paloma [Tomas Mendez Sosa]
2. A Breath Away [Towner] 5:48
(Vocal, C. Guitar)
3. Always By Your Side [Towner] 3:51
(Vocal, C. Guitar)
4. Pilgrim [Towner] 6:39
(Vocal, C. Guitar)
5. San Diego Sernade [Tom Waits]
Lipe Rosize [Glauci Venier]
6. Summer's End [Towner] 4:13
(Vocal, C. Guitar)
7. Celeste [Towner] 4:24
(Vocal, C. Guitar)
8. Everbody's Song But My Own [Kenny Wheeler, Jane White] 7:39
(Vocal, Soprano Sax, Clarinet, Piano, C. Guitar)
収録: Das Weltmusilfestival Murnau, October 15. 2017
注:黒字の曲はラルフ非参加
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ドイツ語の「Das Weltmusilfestival」は、英訳すると「Boundless Festival」で、音楽の垣根を取り払うことをコンセプトとして、ドイツのムルナウで2000年より始まった。毎年決められたテーマに基づき行われる小規模のフェスティバルで、そのテーマは「東洋と西洋の出会い」、「熱風」、「祖国」、「二人きり」、「自由」、「曲」、「新世界」など、多種多様。また本イベントのために特別に企画されたアーティストの共演によるコンサートの開催などの特色があり、その模様はバイエルン放送協会によりラジオ放送される。2017年は「声」というテーマで、10月13日から15日まで、本音源のノーマ・ウィンストンの他に、ラルフと縁があるマリア・ジョアオ(D43)、マリア・ピア・デヴィート(R22,
D46, D51)が参加した。本音源は、そのエアーチェックと思われる。
ノーマ・ウィンストン(1941- )はイギリス人で、ピアニストのジョン・テイラー(1942-2015)の奥さんだった頃、トランペットのケニー・ウィーラーと3人でアジマスというバンドを組み、「Depart」1980
D23というアルバムでは、ラルフが大々的にゲスト参加している。また彼女は、ケニー・ウィーラーやラルフの曲に自作の詩を付けることに執心のようで、ラルフの曲では、私が知る限り、上記の他に「Glide」や「Beneath
An Evening Sky」などがあり、正式に録音されていない曲も多い。二人による公式録音が前述のアジマス以外にないのが不思議。そのため、ノーマとラルフの共演をたっぷり堪能できる本音源は、とても貴重なものだ。
最初はノーマ・ウィンストン・トリオによる1.「Cucurucucu Paloma」。スペイン語で「ポッポー鳩」という意味のメキシコ民謡に英語の詩をつけたもの。イタリア人のピアノとドイツ人のサックスによる伴奏で、ラルフは非参加。2.
「A Breath Away」はアルバム「Lost And Found」 1996 R18が初出 (以下括弧書きで表示)。ノーマのカバー録音は、「Dance
Without Answer」 2014に収録されている。3.「Always By Your Side」(「Time Line」 2006 R24)、4.「Pilgrim」
(「My Foolish Heart」 2017 R28) 、6.「Summer's End」 (「Lost And Found」 1996
R18)は、ノーマによる公式録音はなし。 「Summwe's End」では、ラルフによるボサノヴァのリズムによる伴奏を聴くことができ、間奏のソロも含めて美味しい演奏。トリオによる
5.「San Diego Sernade/Lipe Rosize」は切れ目無しの演奏。7.「Celeste」 (「Old Friends, New
Friends」 1979 R8)は、「Somewhere Called Home」1986 に収録。評判が高いようで、多くのカバーがあり、マリア・ピア・デヴィートもラルフとの共演ライブ「Subway,
Coln」2001で歌っている。ここではラルフがいつものピアノでなく、ギターで伴奏をしており、それは私の知る限りここだけという珍品だ。最後の曲
8.「Everybody's Song But My Own」はケニー・ウィーラーの曲で、トリオとラルフの共演。ラルフとノーマの二人によるイントロの後、ピアノとソプラノ・サックスが加わる。サックス・ソロの最中に編集により音が飛ぶ場面があり、放送時間の関係でカットしたのかもしれない。大変良くかつ珍しい演奏なので、残念...。
珍しい顔合わせで、しかも歌詞付きのラルフの曲を本人の伴奏で聴くことができるお宝音源。
[2022年12月作成]
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Pancevacki Jazz Festival, Pancevo, Servia (2018) 映像 |
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Ralph Towner : Classical Guitar
1. Blue As In Brey [Towner] 5:37
2. My Foolish Heart [Ned Washington, Victor Young] 3:55
3. I'll Sing To You [Towner] 4:18
4. Guitarre Picante [Towner] 4:31
5. Anthem [Towner] 4:23
6. I Fall In Love Too Easily [Sammy Kahn, Jule Styne] 5:24
7. The Prowler [Towner] 4:39
8. Pilgrim [Towner] 4:39
9. If [Towner] 4:11
10. Always By Your Side [Towner] 2:33
11. Dolomiti Dance [Towner] 5:21
収録: Kulturni Centar, Pancevo, Servia, November 3. 2018
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パンチェヴォはセルビアの首都ベオグラードの郊外にある街で、そこで2018年に行われたジャズ・フェスティバルに出演した時の映像。1点カメラによるオーディエンス撮影で、曲毎に独立した動画になっていて、曲間のラルフのアナウンスはカットされている。各動画のタイトルには通し番号がついていて、上記の曲順はそれらの番号にならったもの。番号にはいくつか欠番があり、それらは撮影されたがカットされた曲、あるいはアナウンスの場面と思われる。11月という季節もあってか、オーディエンスの中に風邪をひいている人がいたようで、演奏中に咳の音が結構入り、特にマイクの側で咳をする人がいるのは残念。またPAか録音機材なのか原因不明であるが、「ピシピシ」という小さな機械音が聞こえる。ということで欠点が多い音源なんだけど、鋭角的な感じの音ではあるが、会場で聴いているかのような臨場感があって、曲数の多さとあわせて総合してまあまあといったところか。映像は、ステージ全体がわかる引いたショットと、ズームアップによるラルフ全身像の2通りで、カメラ操作の際に多少の手振れが起きるが、それほど気にはならない。
演奏曲の公式録音の初出は以下の通り。
1. Blue As In Brey : My Foolish Heart 2017 R28
2. My Foolish Heart : My Foolish Heart 2017 R28
3. I'll Sing To You : My Foolish Heart 2017 R28
4. Guitarre Picante : Always, Never And Forever (Oregon) 1991 O18, Six
Pack (Gary Barton) 1992 D32
5. Anthem : Oregon In Moscow 2000 O24, Anthem 2001 R23
6. I Fall In Love Too Easily : Open Letter 1992 R14
7. The Prowler : Anthem 2001 R23
8. Pilgrim : My Foolish Heart 2017 R28
9. If : Prime (Oregon) 2005 O27, Time Line 2006 R24
10. Always By Your Side : Time Line 2006 R24
11. Dolomiti Dance : My Foolish Heart 2017 R28
2018年のコンサートということで、2017年発表のアルバム「My Foolish Heart」 R28からの選曲が多くなっている。演奏内容として特筆すべき曲は
6.「I Fall In Love Too Easily」で、間奏のアドリブを経てテーマに戻った後のエンディングの部分において、2012年にパオロ・フレスとのデュエットで演奏していた「Stompin'
At The Savoy」の1節が出てくるのが面白い。
咳や機械音に悩まされながらも、つい聴き込んでしまう音源。
[2023年5月作成]
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Incontro con Ralph Towner, Casa Del Jazz, Rome (2022) 映像 |
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Ralph Towner : Classical Guitar
Luciano Linzi: Interviewer
1. Flow [Ralph Towner] 5:48
2. Make Someone Happy [Betty Comden, Adolph Green, Jule Styne] 4:17
3. At First Light [Ralph Towner] 5:28
収録: 2022年3月9日 Casa Del Jazz, Roma
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カーサ・デル・ローマは「ローマの家」という意味で、ローマ駅の南 2.5ヘクタールの公園内にあるジャズの多機能施設。そこではコンサートを初めとする種々のイベントが行われていて、本映像は、「ラルフ・タウナーとの出会い」というタイトルの公開インタビューを撮影して、YouTubeで公開したもの。映像は1時間45分の完全版と、50分の縮小版の2種類あり、後者は字幕機能によりラルフの英語の字幕が、一部不正確ではあるが、表示される。
観客を入れたコンサートホールで行われ、カーサ・デル・ローマのディレクター、ルチアーノ・リンツィがインタビューアー。英語によるルチアーノ(以下LLと略す)の質問とラルフ(RTと略す)の回答を、LLがイタリア語に翻訳する形式による進行。まずLLのイタリア語によるRTの紹介の後、RTがウェザー・リポートにゲスト参加した「Moor」1972
D7が流れる。1分半ほどでフェイドアウトするが、その間自分の演奏を神妙な表情で聴くRTの表情・仕草が面白い。以下リスニングの参考のため、インタビューの骨子を列挙する。
・ 母親はピアノ教師で、RTが3才の時に亡くなった父親は、トランペットを演奏したが、製材所で働いていた。
・ 年齢差が大きい 5人兄弟姉妹の一番下で、家族皆音楽の素養があった家庭環境。素晴らしい音楽プログラムがあった学校に通った子供時代、トランペットや他の金管楽器を演奏したこと(注:
RTがメロフォンを吹けるのはそのため)。大学で勉強した作曲のためピアノを弾き、ジャズに魅せられた。原点は、子供の頃に兄達が持っていたレコードと、学校の演奏で密かにハーモニーをつけて先生に驚かれ、以後インプロヴァイズを認められたこと。
・ 大学で歴史を学んでいたグレン・ムーアと出会ったこと。ビル・エバンスに傾倒したこと。
・ 大学卒業時は、自分を養うだけの演奏レベルに達しておらず、クラシック・ギターの演奏を聞いて、魅せられ、22才でマスターしようと決心した。ウィーンにカール・シャイト教授の素晴らしいギタークラスがあると聞き、応募してヨーロッパに渡った。
・ ウィーンには、一度帰国を含め4年滞在した。帰国後シアトルで 1年ピアノを弾いてお金を稼ぎ(注: その他 映像・音源 ラルフタウナーにある
「KOMO TV, Seattle」は、その時の映像)、ボサノヴァばかりでギターの腕が落ちたのでツアーバンドとして、、もう一度ウィーンに行き1年滞在。1968年ニューヨークに移った。
・ ティム・ハーディンは、ジャズ・ミュージシャンをバンドに起用し、演奏ピアニストのウォーレン・バーンハートとともにグレン・ムーアを雇った。ギター・プレイヤーが要るとのことで、グレンが自分を推薦してくれた。最初のギグは、ニューヨーク北部の小さなフォーク・フェスティバルとのことで、自動車で向かったが、渋滞に巻き込まれたため、ヘリコプターで会場に行ったが、上空から45万人の観客を見て「フォーク・フェスティバル」でないことに気が付いた。
ここで、ジョー・ザヴィヌル、ミストラフ・ヴィウトスがバックを務めたティム・ハーディンの「Georgia On My Mind」(「Bird On
The Wire」1971 RTは非参加、フェイドアウト)がかかる。
・ 当地は雨が降っていて状態が悪く、多くの観客に恐れをなし、リハーサルもなかったので、十分な演奏ができなかった。この音源が公開されなかったことは幸い(注:
RTにとっては残念なことに、ここでの演奏はライノから発売・発信 (D2参照) され、現在その全貌を聴くことができる)。でも多くの人々がハイになった様を見て感じたことは凄い経験だった。ティムとのギグはこれ1回だけ。その後ティムは、らりってアルバムを仕上げることが出来なくなったため、コロンビア・レコードが怒って、ウェザーリポートに手伝うよう依頼した(注「Bird
On The Wire」のこと。RTも1曲参加)。
・ ニューヨーク・シーンはジャム・セッションとリハーサルによって新しい音楽を試行錯誤する時代だった。ジャムセッションをした仲間についての言及。
・ そこでグレンを通じて、コリン・ウォルコットと知り合った。ポール・ウィンターのグループに加入する際に、グレンとコリンを推薦し、グループ・メンバーのポール・マッキャンドレスと一緒になった。
ここでポール・ウィンター・コンソートの「Icaus」 1972 D6 (フェイドアウト)がかかる。
・ ポール・ウィンターの勧めがなかったら。12弦ギターを弾く事はなかった。最初グループはジョニ・ミッチェル等のカバーを演奏していたが、この楽器を非常に気に入っていたので、自分で曲を書いて演奏するようにした。グループは10週間の全米ツアーを行い、その間4人で頻繁にジャムセッションした。カルテットでのより柔軟な音楽を目指すべく、全員の発案で独立することにした。
ここでオレゴンの「North Star」 1972 O2 (フェイドアウト)がかかる。この曲の響きが余りに斬新に聞こえるので、オーディエンスから拍手が起きる。
・ コリンはクラシックのパーカッションと指揮、ポール・マッキャンドレスはニューヨーク・フィルのオーディションを受けて、2位になる(結果落選、我々には幸運なこと)など、ジャズに加えてクラシック音楽の素養・影響があり、それに世界の音楽を織り込んだ。ピアノ・プレイヤーとしても、ジャズのトップ・ミュージシャンと一緒にプレイできるレベルになった。
・オレゴンを聴いて気に入ったマンフレッド・アイヒャーは、デイブ・ホランドの紹介で私と会い、ECMと契約した。最初はグレン・ムーアとのデュオ・アルバムの企画だったが、マンフレッドがオレゴンの他メンバーを加えたがった。しかし(オレゴンとしてのバンガードとの)契約があったため、トリオになり、そしてソロ演奏をたくさん入れた。
ここでホレス・アーノルドの「Sing Nightjar」 1974 D13 (フェイドアウト)がかかる。セットを間違えて、最初「Icarus」がかかるのがご愛敬。
・ ホレスは、ワイルドなドラマーで素晴らしい作曲家。彼はニューヨーク時代のベスト・フレンドで、今も連絡を取り合っている。
・ ECMとの契約は私の人生を変えた。アルバムは通常1年も経つと廃盤になってしまうが、ECMのアルバムはすべて、今も販売されている。3週間前に新アルバムのレコーディングを終えたところ。ECMのマジックは、静寂から生まれる。大抵のレコーディングはもっとヒステリカル。素晴らしいエンジニアとスタジオで、プライベート、パーソナルな環境で録音される。チック・コリアのピアノ・ソロのように、他がやらない企画をすることもポイント(注:当時、そのようなピアノ・ソロのアルバムを制作するレコード会社はなかった)。
・ ソルスティスは私がメンバーを選んで作ったベスト・レコード。成功の秘訣は、メンバーが皆何を演奏しいるかよくわかっている事。
他ミュージシャンとのコラボの話の後、ジョン・アバークロンビーとのデュエット「Nardis」 がかかる。これは公式録音ではなく、1984年5月8日のハンブルグでのライブ音源から。さらにLLがRTの映画音楽への取り組みを紹介して、RTが音楽を担当した映画「Un'
Altra Vita」の「Saverio's Theme」1992 R15をかける。
・ カルロ・マッツァクラーティー(「Un'Altra Vita」の監督)は、音楽を単なる背景としてでなく、人物そのもの表すものとして、私に求めてくれた。映画音楽の作曲は、監督の指示に振り回されて、拷問のような苦労をするものだが、彼は私の録音に立ち会い、気に入ってくれた。
ここでインタビューは終了し、LLは退場。RTは演奏用の椅子に移り、簡単な音出しの後、新曲1.「Flow」を弾く。ノーカットなので、インタビューが終わったばかりでも、いきなり弾くことができるんだ、と驚き...。そのせいか、また新曲で慣れていないせいか、はたまた加齢のためか、ミスタッチが目立つ演奏であるが、完璧を当たり前とするクラシック・ギター演奏と異なる世界であり、RTの持ち味と考えて聴くべき。
2.「Make Someone Happy」は、1960年のブロードウェイ・ミュージカル「Do Re Mi」からの曲で、これも恐らくRTのニューアルバム
(2023年初め発売予定)に収録されるものだろう。最後に新アルバムのタイトル曲という 3.「At First Light」を弾く。
英語とそれを翻訳するイタリア語との二本立てのため、長時間のインタビューになったが、LLがイタリア語で話している間は、その前に話していた英語を反芻でき、かつリスニングに要する集中力を休めることができるので、私のような非ネイティブには良い感じ。RTの新曲が3曲聴けるのもうれしい。
[2022年11月作成]
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